「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

小田急電鉄に特急券シートマップ席番指定可能時間の延長等の要望書を送付しました

2015-02-25 18:39:53 | 日記
皆様、こんにちは。

一昨日、小田急電鉄株式会社の経営幹部宛に、今月15日のチケットレス特急券予約サービス「ロマンスカー@クラブ」「e-Romancecar」におけるシートマップ席番指定機能サービス開始への謝意とともに、同サービス利用可能時間の延長、ロマンスカーへの電源コンセント導入、およびロマンスカーの海老名停車の実現を要望する書簡を送付しました。

「ロマンスカー@クラブ」「e-Romancecar」におけるシートマップ席番指定可能時間は、発車45分前までの利用に限定されています。

一方、以下の表に示すとおり、シートマップ席番選択サービスを導入している鉄道事業者の多くが、発車前10分以内を申込みの締め切りにしています。



表から分かるとおり、小田急電鉄の「ロマンスカー@クラブ」「e-Romancecar」の申し込み締め切り時間が顕著に早いことが分かります。発車時刻直前まで利用可能となるよう改善が望まれます。

次に、ロマンスカーへの電源コンセント導入を是非実現して頂きたいと思っています。50000形VSEでは一部の車端部とサルーン席に電源コンセントが設置されましたが、最新形式である60000形MSEでは電源コンセントの設置が見送られました。

ある鉄道事業者の関係者とお話しした際、その関係者は「今の時代、特急列車での電源コンセント設置は必須です。まだ当分先になりますが、新型車両には電源コンセントを設置する方向で検討しています」と打ち明けてくださいました。小田急電鉄にとっても、参考になるお話しではないでしょうか。

そして、2013年3月16日、小田急小田原線海老名~本厚木間2.9kmと全く同距離の、西武新宿線東村山~所沢間で特急停車駅が連続する事例ができましたので、ロマンスカー海老名停車も併せてご検討頂きたいと思っております。

この度の小田急電鉄によるシートマップ席番指定導入は、顧客の声に真摯に耳を傾ける同社の企業姿勢を示すものであり、高く評価されるものと思われます。更なるサービス向上に向けて、もう一歩踏み込んだ施策が望まれるところです。

今後も、小田急電鉄への働き掛けを続けてまいりますので、皆様のご支援をお願い申し上げます。

以下、過去の関連記事です。

「小田急電鉄『ロマンスカー@クラブ』シートマップ席番指定導入!」

【提言】伊予横田駅周辺の街づくりとJR予讃線特急の伊予鉄道松山市駅乗り入れを!

2015-02-13 12:00:00 | 日記
皆様、こんにちは。

本日発売の『週刊 東洋経済増刊 鉄道完全解明2015』の「part03 戦う在来線」の項において、「客数減に苦しむJR四国 再生へ三つの処方箋」において、JR四国の持続的運営を実現するための方策として、(1)四国内交通事業者との経営統合、(2)大手小売業者との駅ビル共同開発、(3)駅直結医療機関設置で乗車人員増、の3つの提言を行いました。

本記事では、上記(2)および(3)の具体的な提言を試みたいと思います。

JR予讃線伊予横田駅(愛媛県伊予郡松前町)は、松山駅から8.6km、普通列車で10分程でアクセスできます。

当駅は普通列車のみが停車する無人駅です。駅周辺は農地が広がり、住宅が所どころに見られるだけです。



松山駅から近い好立地である利点を生かさない手はありません。当駅を核とした街づくりを進め、駅直結の大型ショッピングセンター、大型病院、そしてマンション等を整備すれば、予讃線の乗車人員と地域活性化の両方につながるでしょう。

駅周辺は市街化調整区域となっていますので、開発には県知事の許可が必要になると思われますが、事業化を検討する価値は十分にありそうです。

それと同時に、予讃線の利便性向上策もセットで行うことで、鉄道と地域の双方への便益がより高まることは確実です。

伊予横田駅の開発完了とともに、特急停車駅に昇格させることで、伊予横田駅周辺の発展と集客がより見込めるはずです。

特急料金と特急定期券も割安な価格設定とすることでより効果が高まります。

予讃線松山~伊予横田8.6kmとほぼ同距離の博多南線博多~博多南8.5km(全列車在来線特急扱い)を比較すると、以下の通りです。

予讃線松山~伊予横田8.6km:普通定期運賃(1か月)6,480円
博多南線博多~博多南8.5km:普通定期運賃(1か月)9,600円(特急料金込み)、特急料金100円

JR四国でも10km以内の特急料金を100円にすると、1か月の同距離の定期運賃は10,000円程度になると予想されます。

私はイールドマネジメントに基づいて、JR四国牟岐線特急「ホームエクスプレス阿南」の特急料金値下げを提案しています(『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』152~155ページ)。乗車距離と乗車率に基づく特急料金の柔軟な変更は、街づくりや地域開発の便益を高めるものと考えられます。

そして、最終的には、予讃線沿線から松山市中心部へのダイレクトアクセスを実現させることが、予讃線活性化につながります。

予讃線松山~市坪間で伊予鉄道郡中線と、そして予讃線三津浜~松山間では伊予鉄道高浜線と立体交差しています。

思いきって、予讃線と郡中線、予讃線と高浜線の線路をそれぞれつなげて、JR四国の特急列車を伊予市駅に乗り入れるようにしたら面白いと思っています。

特に、伊予鉄道高浜線西衣山駅付近では、JR予讃線と近接しています。



同駅付近には、四国で屈指の進学校愛光学園があり、通学時間帯は高浜線は通学生でにぎわいます。



予讃線にも西衣山駅を設置し、朝夕の特急を停車するようにすれば、今治等の東予地区かの特急通学生の利便性が向上し、愛光学園もスクールバスの運行から解放されることとなるでしょう。

もちろん、中予地方・南予地方からの通学生にとっても、松山駅でのスクールバスへの乗換が不要となるため朗報となります。西衣山新駅に停車する特急への松山駅での乗継により、西衣山駅・愛光学園へのアクセスが大幅に向上します。

また、周辺住民にとっても、南予、東予、香川、本州へのアクセスが向上し、JRの利用機会の向上にもつながりそうです。

予讃線は西衣山駅付近の今治方に急カーブがあり、新駅設置には技術上の課題があるようですが、都内にも東武東上本線大山駅やJR中央本線飯田橋駅のような急カーブに設置された駅もありますので、不可能ではないと思われます。



予讃線と高浜線の連絡線を今治方で接続すれば、予讃線への新駅設置は不要になりますが、急カーブがあるため技術上困難かもしれません。以下の写真のように、松山方は両線が平面で近接しており、連絡線設置は比較的容易に見えます。連絡線を松山方に設ける場合は、予讃線にも新駅を設置してほしいと思います。



連絡線設置位置の検討も含めて、設置に向けて検討してみてはどうでしょうか。

また、予讃線と郡中線の接続については、予讃線伊予市方から郡中線土橋方への高架橋による接続とするのがよさそうですが、事業費が相当かかりそうです。

ただ、中村時広愛媛県知事は伊予鉄道市内線の松山空港への延伸を表明しており、公共交通活性化の意思をお持ちです。さらなる公共交通活性化のために、予讃線と伊予鉄道の連絡線建設も是非検討していただければと思っています。

伊予鉄道松山市駅のホーム長は以下の通りです。

1番線(高浜線・横河原線):18メートル車5両分、2番線:18メートル3両分(高浜線・横河原線・郡中線)、2番線:18メートル3両分(郡中線)

1番線は20メートル車4両分の停車が可能ですが、2番線・3番線は20メートル車2両分が限界があり、JR四国の列車の乗り入れには課題が残ります。



四国には、開発余地のあるところが他にもありそうです。四国発展のための道筋をみんなで考えることが、四国発展のカギを握っています。


【ご参考】博多南線については、こちらをご覧下さい。

「生活路線感覚の『通勤ライナー』博多南線を見る」

以下、過去の関連記事です。

「週刊東洋経済の取材でJR四国泉雅文社長と面談いたしました」

「通勤・通学の貴重な足!JR予讃線特急「しおかぜ10号」「いしづち10号」」

週刊東洋経済の取材でJR四国泉雅文社長と面談いたしました

2015-02-13 06:00:00 | 日記
皆様、こんにちは。

本日発売の『週刊 東洋経済増刊 鉄道完全解明2015』の「part03 戦う在来線」の項において、「客数減に苦しむJR四国 活性化へ三つの処方箋」と題して、四国旅客鉄道株式会社(JR四国)に関する記事を執筆いたしました。

2014年12月12日(金)、週刊東洋経済臨時増刊号大坂直樹編集長とともに、香川県高松市にあるJR四国本社を訪問し、同社の四之宮和幸総合企画本部担当部長、宮脇正行地域連携室長、土居圭一広報室長の同席の下、泉雅文代表取締役社長への取材を行いました。



1時間半にも及んだ面談の中で、私からは完全民営化への見通し、不採算路線活性化策、収入確保策、四国のまちづくりに向けたJR四国の役割等について、時には突っ込んだ質問をさせて頂きました。

泉社長との面談終了後、泉社長と記念撮影をさせて頂きました。



その後別室に移動し、四之宮部長と宮脇室長から、観光列車と地域連携について、さらに詳しいお話しを伺いました。また、数多くの資料のご提供を頂きました。

今回の記事の本文と図表は、大部分を同社提供資料を活用して執筆・作成しました。資料をご提供下さった四之宮部長と宮脇室長に感謝申し上げます。

土居室長には、取材の窓口役として、様々なご配慮を頂きました。心より御礼申し上げます。

そして、泉社長には長時間にわたり、こちらからの質問に丁寧にお答え頂きました。誠にありがとうございました。

また、週刊東洋経済臨時増刊号の大坂直樹編集長には、JR四国の記事執筆という大役をお任せ頂きました。厚く御礼申し上げます。

なお、同記事中の図表の大部分はJR四国提供資料に依拠していること、また決算数値の一部はJR四国提供資料に基づいて、大塚が試算しておりますことをお断りいたします。

同記事では、JR四国活性化に向けた3つの私案を提言しています。記事の中では紙幅の関係で具体案までは触れることができませんでした。本ブログで記事の続きとして、本日12時に活性化の具体案を公開する予定です。

皆様におかれましては、ぜひご高覧の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

2015年2月13日 鉄道経営学者 大塚 良治

小田急電鉄「ロマンスカー@クラブ」シートマップ席番指定導入!

2015-02-10 23:55:55 | 日記
皆様、こんにちは。

小田急電鉄株式会社は2015年2月10日、特急券携帯・オンライン予約サービス「ロマンスカー@クラブ」のシートマップ席番指定サービスの同15日開始を正式に発表しました。同日以降、発車45分前まで任意の席番をピンポイントで自由に選べるようになります。



拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版、2013年)において、ロマンスカー海老名停車案(同書166~167ページ)とJR・私鉄各社特急の電源コンセント・特急券シートマップ席番指定導入状況の一覧表(同書66ページ)を掲載し、小田急電鉄の重役および経営幹部の方々に口頭でそれらの実現・導入を要望するとともに、拙著をお渡しすることやFacebookでの発信などを通して、働き掛けを続けてきました。

今回のシートマップ席番指定導入は、私の要望だけで実現した訳ではもちろんありません。利便性向上を希求する利用者の方々の声が、小田急電鉄の背中を後押ししたからこそ実現したものと思っております。

「ロマンスカー@クラブ」でのシートマップ席番指定導入で、小田急ロマンスカーのブランド力が向上することは間違いありません。

今後も、小田急ロマンスカーのさらなるブランド力向上と小田急電鉄の企業価値向上の良策として、席番指定可能時刻の出発直前時刻までの延長(できれば出発1分前まで可能となることを希望します)、ロマンスカー車内の電源コンセント設置、およびロマンスカー海老名停車等のサービス向上を要望してまいります。

なお、2015年2月15日以降、特急券携帯・オンライン予約システムでシートマップ席番指定サービス未実施の関東大手私鉄は、西武鉄道と東武鉄道の2社となります(京浜急行電鉄の「ウィング号」は、座席定員制自由席のため対象外)。

この度の小田急電鉄のご英断に、心よりの感謝と敬意の念をお伝えする次第です。

ありがとうございました。

2015年2月10日 鉄道経営学者 大塚 良治

【ご参考】ロマンスカー@クラブの沿革
2001年7月8日 ロマンスカー@クラブ予約開始(同15日 チケットレスサービス開始)
2010年9月19日 号車指定開始
2012年2月26日 スマートフォン対応機能・個室指定機能追加
2013年3月18日 e-Romancecar開始
2015年2月15日 シートマップによる席番指定開始(予定)

通勤・通学の貴重な足!JR予讃線特急「しおかぜ10号」「いしづち10号」

2015-02-05 01:06:45 | 日記
皆様、こんにちは。

2月4日早朝、ホテルクレメント宇和島をチェックアウトして、宇和島駅改札口に向かいました。駅ビルがホテルですので、とても便利です。

JR予讃線宇和島06時35分発特急「しおかぜ10号」岡山行き・「いしづち10号」高松行き(列車番号:宇和島→岡山10D、宇多津→高松1010D)2号車普通車自由席に乗車しました。

JR四国松山運転所2000系2005編成3両+他2両+2両による運行でした。



40人の旅客を乗せて宇和島を出発し、2号車では、伊予吉田2号車±0人、卯之町+3人、八幡浜+18人、伊予大洲-3人+30人、内子+5人の変動がありました。特に、伊予大洲で多くの高校生が乗車しました。女子生徒の割合が圧倒的に高く、男子生徒は若干数にとどまります。

なお八幡浜と内子では、下り普通列車に多くの生徒が乗り、混雑していました。こちらはサラリーマンの姿はあまりなく、大多数が通学利用のようでした。



その後、伊予中山と伊予市では2号車の乗降がありませんでした。

女子生徒たちは慣れた様子で、通路側の空席に着席します。隣が男性でも全く意に介しません。私も内子で女子高生と相席となりました。



08時03分定刻に到着した松山では、約300人の下車がありました。乗車は50人程度にとどまったようです。相席の女子高生もここで降りました。



下車した旅客の圧倒的大多数はサラリーマン、OL、学生・生徒で、皆足早に駅を去っていきました。愛光学園のスクールバス3台も生徒たちを乗せて、あっという間に松山駅を出発していきました。特急列車到着後5分も経っていません。そういえば、同校の生徒たちは、特急列車を下車した後は、駆けるように改札を通過していました。



西衣山に予讃線の新駅ができれば、スクールバスに乗り換えずに、愛光学園へアクセスすることができます。幸いにも「しおかぜ10号」岡山行き・「いしづち10号」高松行きは、松山からさらに予讃線を東進しますので、もし西衣山新駅ができた暁には、朝夕の通学時間帯に特急を停車させることで、同校生徒の利便性向上につながります。また、周辺住民にもメリットがもたらされることは言うまでもありません。詳しくは別稿でご説明いたします。

今回の視察では、予讃線特急は通勤・通学の貴重な足として重要な役割を果たしていることを目の当たりにしました。予讃線をさらに便利にする施策を考えていきたいと思います。