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主夫の徒然なるままに

英語・英語・英語(1)

 来年の高校入試で、東京都はスピーキング能力を測るテストESAT-Jを導入するそうである。ESAT-Jは、English Speaking Achievement Test for Junior High School Studentsの略称で、テストは「A:英文を読み上げる」「B:質問を聞いて応答する・意図を伝える」「C:ストーリーを英語で話す」「D:自分の意見を述べる」の4パート で構成される。
 英語の4技能「読む、書く、聞く、話す」の能力を上げることを最近の英語教育の中での重点を置かれてきた。英語でのコミュニケーション能力を上げようという試みのなか、最後の「話す」能力をテスト化することでより皆が自由に英語を話せるようになるという目的である。

 1980年代以降、塾講師として英語を教えてきた中で、福岡県の入試問題は、いろいろと変化を見せた。当初は、単語力や発音問題、そいて文法問題と長文とは言えない短い文の長文問題を解かせるものであった。塾がまだ一般的でなかった時期は、この程度でも大きな学力の差があった。学校の英語の先生の説明をきいて問題練習をして高校入試に臨んだ。発音の問題など誰も教えてくれないのに当然のように高校入試の問題の中に登場することが不思議であった。ちなみに、福岡県の英語長文問題は、B5のたて3分の2程度でその下に多くの単語の日本語訳が付けられていた。福岡県の私立高校の英語長文は、その2倍から3倍程度長さで、大問2問で問われることが多かった。また、神奈川県の公立問題の長文は、福岡県の4倍程度の長さがあり、県によってこれほどの差があるのにおどろいた。

 さて、その後、リスニング問題が登場する。塾では、「数字や日付、名前」をメモっておこうと指導した。それほどゆっくりとした英語リスニング問題であった。平成になってくると、リスニング問題にメモを取ることはやめるように指導した。それほど早いペースのリスニングになっていた。リスニング問題の明確な指導もなく、ただ、何度も聞かせるだけの授業では、記号を適当に答える生徒が続出した。ポイントを押さえた指導もなく、ただただ英語を聞かされる。大半の中学生は、そこでリスニング問題を捨てる。塾での指導方法は、英語特有の話し方の特徴を日本語でしっかりと説明することと英文を速読する努力を惜しまないことを教える。練習問題は2度流す。ただし、リスニング練習は、集団指導塾にとって大敵である時間の浪費が壁であった。

 さらに英作文が入試に登場した。それも自由英作文である。作文を書くには、単語力、文法力がなければ、書けない。そこで、中学で学習するすべての文法を終えてから英作文の指導にあたることになるが、難しいコツはない。自由英作文では、正しい英語の順番に気を付け、知っている単語と文法で解決できる。それも、20くらいの少し長い例文の暗記でたいていの問題は解決する。自由英作文というこんなに間の抜けた問題で、英語力を判断できるのかと思って指導していた。


 そいて今度はスピーキングだ。難しいといえども英検準2級程度の2次試験レベルであろう。対策はそうむずかしくはない。自分の知っている単語と文法で勝負できる。例文暗記は、100程度の短い英文で大丈夫であろう。塾での対策は、完璧となるであろう。

 

 そこで思うのだが、英語4技能能力を増すために中学の英語授業時間を増やし、ましてや小学校の英語科目を必修化という変革してきた。惜しみない努力を教師も生徒にもしてきたが、日本人の英語レベルは、どうなったか。
 2011年度より実施されている「EF EPI 英語能力指数」という判定基準によると、2021年の日本の順位は、昨年の100ヶ国中55位から大きく下がり、112ヶ国・地域中78位に。調査開始以来初めて、全参加国・地域中、下位3分の1のグループに位置する結果となったそうである。世界4位のシンガポール、18位のフィリピン、28位のマレーシア、近隣では32位香港、37位韓国、49位中国という結果である。

 不思議である。日本中が、「英語、英語、英語」と叫んでおり、幼稚園から英語に慣れるように英語幼稚園や塾に通わせ、小学生からは授業へ、中学では、文法用語をなるべく使わずに英語を教え、高校では、授業を英語で行う。その結果が、日本人の英語能力は下位レベル。ある意味、英語を教えて、「英語嫌い」「英語わからない」を大量に増やしているだけではないか。

 英語・英語・英語(2)に続く。




<主夫の作る夕食>
マーボナスをソースから作ってみた。やさしい味が心地よい!
大根がだいぶ安くなったので、サラダに!

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