JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 最低条件は厳しくない

2012-10-07 23:23:36 | メディア注目選手のその後
一つ前の記事で、2枚替えの最低条件を書きました。これは、厳しい条件ではありません。

2枚替えすると、

・前衛の竹下佳江選手の159cmの大穴が無くなります。
・前衛に長身アタッカーが加わります。
・必ずAパスで返される山口舞選手のサーブが無くなります。
・サーブの良い中道瞳選手が入ります。
・ライトは攻撃力と高さのある表レフトと表センターに囲まれます。
・中道瞳選手は竹下佳江選手ほどのセッターではありませんが、大差はなく、前衛に上がる木村沙織選手と荒木絵里香選手とは東レで普段から合わせています。
・サーブレシーブで崩されやすい山口舞選手がいなくなります。

これだけの利点がある交替で、狩野舞子選手は使われるわけです。そのため、前記事で書いた最低条件は、何も厳しい条件ではありません。この最低条件をクリアできないなら、それは狩野舞子選手の2枚替えライト起用が相当のマイナスに働くということを意味します。

狩野舞子選手2枚替え分析 2枚替えの最低条件

2012-10-07 23:07:16 | メディア注目選手のその後
2枚替えとは、セッターが前衛の3ローテで、セッターをライトに、ライトをセッターに交替することです。こうすることによりセッターが前衛に来なくなるため、セッターが前衛の3ローテで失点が多い場合、その対策には持って来いの戦略です。

全日本女子では、セッターはブロックが低すぎる竹下佳江選手で、彼女が前衛に上がるのとレフトオープンで楽々決められてしまいます。また、ライトの山口舞選手と新鍋理沙選手はバックライトを打てないため、後衛にいても攻撃参加できません。山口舞選手に至っては、サーブが笑っちゃうくらい下手でサーブレシーブも崩されることが多いため、後衛にいる存在意義が少ない選手です。そのため、2枚替えは全日本女子には有効な戦略と言えます。

では、2枚替えの最低条件とは何でしょうか。それは、セッター前衛の3ローテでの得点-失点数より、2枚替えの3ローテの得点-失点数を増やすことです。これが出来ていれば、どれだけ下手なセッターやライトが2枚替えをやろうと、最低条件はクリアと言えます。

全日本女子の場合は、竹下佳江選手にワンブロを入れたり、センターにピンサを入れて山口舞選手を後衛でリベロと交替したり、単純にセット途中で山口舞選手と新鍋理沙選手を交替するオプションもあります。このように他の交替オプションもありますので、それを捨ててまで2枚替えをするなら、上記の最低条件+αを満たして欲しいところです。

では、狩野舞子選手を起用する2枚替えは、この最低条件を満たしているでしょうか。OQT初戦から分析します。

メディア注目の「マイコ」こと狩野舞子選手

2012-10-07 22:41:31 | メディア注目選手のその後
狩野舞子選手は、中学生時代に全日本にメンバー入りしましたが、本格的に試合に出場するようになったのは2009年からです。怪我さえなければ北京出場もあり得た選手で、メディアは非常に注目していました。確かに2009年はWGPのロシア戦などでは、ライトで出場し、守備に攻撃に大活躍でした。

しかし、2009年のグラチャン直前に怪我で離脱し、その後は主要大会での出場機会に恵まれません。2011年秋、大友愛選手が怪我で離脱、そのポジションにライトの山口舞選手が入り、抜けたライトポジションで狩野舞子選手が全日本復帰を果たします。

そのまま、WC2012の初戦は、山口舞選手がセンター、狩野舞子選手がライトの布陣で臨みました。メディアは水を得た魚のように狩野舞子選手賛美を開始しました。しかし、狩野舞子選手はスパイクが全く通用せず、ぼろ負けに終わりました。その後、山口舞選手をライトに戻し、新鍋理沙選手もライトでデビューし、レフトへのトスの高さを調整し、また岩坂名奈選手のサーブとブロックが大当たりし、狩野舞子選手を含まない全日本女子はWC2012後半戦でブラジルとアメリカをストレートで下す快進撃を見せました。

この時点で、狩野舞子選手を含まない全日本女子の形が定まり、また狩野舞子選手自体が腰痛でプレーできないということで、狩野舞子選手はロンドンは絶望的となったはずです。

しかし、なぜか狩野舞子選手は2012年もメンバー入りし、OQTやロンドンに主に2枚替え専用ライトとして出場しました。この采配は、結果論ですが大失敗でした。狩野舞子選手がこの形で活躍したのは、OQTタイ戦のみです。どうして毎試合失敗すると分かっていて狩野舞子選手の2枚替えを使ったのか、非常に疑問です。木村沙織選手に体重を乗せたスパイクを覚えさせ、江畑幸子選手を発掘し、竹下佳江選手の長年の弱点を修正し、ライトに山口舞選手を起用するような名将眞鍋監督が、どうして狩野舞子選手の2枚替えにこだわったのでしょう。

次回記事からは、狩野舞子選手の2枚替えについて、各試合を追って分析していきます。その中で、狩野舞子選手は2枚替え専用ライトではなくワンポイントブロッカーかピンチサーバーとして起用すべきだった、という主張を展開しようと思います。

メディア注目の「ナナリサコンビ」こと岩坂名奈選手と新鍋理沙選手

2012-10-05 23:06:31 | メディア注目選手のその後
この「ナナリサコンビ」は、全日本女子最年少かつ所属先が同じということで付けられたニックネームです。また、岩坂名奈選手は新鍋理沙選手と並ぶ裏センターなので、コートでも隣り合います。

しかし、これだけでコンビという言葉を使って欲しくない。この2人が並ぶと、お互いの良さが打ち消されるのです。

まずは新鍋理沙選手の視点から見てみましょう。新鍋理沙選手は、クロス側のブロッカーが遅れたり剥がれたりした時に、そこを利用したりそのカバーに入るストレート側のブロッカーを利用して得点します。するとこのように2人ブロックを引き受けて、レフトへのマークを減らすのが新鍋理沙選手の役割です。すると、岩坂名奈選手にはCワイドに走ってもらいたいはずです。しかし、岩坂名奈選手はCワイドを打てません。また、コンビで新鍋理沙選手がCセミに切り込むパターンがありますが、これはセンターのLが前提です。

次に岩坂名奈選手の視点から見てみましょう。岩坂名奈選手は、新鍋理沙選手のサーブレシーブの良さの恩恵を受けるので、これはコンビと言えるかもしれません。しかし、新鍋理沙選手は打数が少ないため、Bパスになるとレフトにトスが集中します。すると、岩坂名奈選手の一番得意なBクイックの周辺にはレフトを警戒しているブロッカーが待ちかまえている状況になってしまいます。岩坂名奈選手は、レフトもライトも2段を打ち、平均的に両側から攻撃のあるチームの方が活躍できます。

このように、この2人は歯車が噛み合いません。ロンドンで新鍋理沙選手と大友愛選手のコンビが見られましたが、あのレベルでないとコンビとは言い難いです。

年齢や状況だけで勝手にコンビと呼ぶのは、いい加減やめてほしいと思います。

メディア注目の「メグカナコンビ」こと栗原恵選手と大山加奈選手

2012-10-04 11:46:47 | メディア注目選手のその後
この2人は「メグカナコンビ」というニックネームを付けられ、2人の高校生選手としてメディアに大注目されました。

しかし、この「メグカナコンビ」という呼び方には違和感を感じます。なぜなら、この2人はポジションが被るため、滅多に同時にコートに入ることは無かったからです。

WC2007では、栗原恵選手サーブ時に大山加奈選手がワンブロで前衛に入りました。そして、栗原恵選手の強烈なジャンプサーブをレシーバーが弾いてネットを越えて返ってきたボールを、大山加奈選手がダイレクトで打って得点しました。中継はそれを見て「メグカナコンビの復活」だとか叫んでいました。こんな偶発的なコンビ、コンビとは言いません。また、大山加奈選手はジャンプできずに変なスパイクになっていましたが、それでも「復活」だそうです。

単に年齢が同じだけでコンビだとはやし立て、逆に他に注目すべきコンビは無視。これはメディアによるバレーボール中継の質がいかに低いかを表しています。