JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

メディア注目の「世界最小最強セッター」こと竹下佳江選手

2012-10-01 13:45:51 | メディア注目選手のその後
竹下佳江選手は世界バレー2006でベストセッター賞と大会MVPを受賞しました。それを根拠に、竹下佳江選手を「世界最小最強セッター」と呼ぶような報道がなされ、その単語は最近でも聞かれます。しかし、私は当時の竹下佳江選手は単なる「世界最小セッター」でしかなかったと思います。

では、ベストセッター賞の根拠は何だったのでしょうか。ベストセッター賞は、ランニングセットの成功数を元に算出されます。ランニングセット成功数は、Bパスの数のうち、それを打てるトスにできた数を指します。当時のリベロは、前年まではアタッカーをしていた「かおる姫」こと菅山かおる選手です。そのような急造リベロが守備の要を担っていて、全日本女子のBパス数はかなり多くなっていました。つまり竹下佳江選手がランニングセットをしなければならない場面が多かったのです。では、そのランニングセットは誰が打ったのでしょうか。それは、乱れたレシーブからの平行トスからブロックアウトを取るのが真骨頂の高橋みゆき選手です。つまり、ランニングセットの質に関わらず、竹下佳江選手がお決まりのぶん投げる平行を上げれば、高橋みゆき選手がブロックアウトを取ってくれたわけです。

結局、竹下佳江選手のベストセッター賞とは、「リベロが下手だったで賞」と「高橋みゆき選手の乱れたトスのブロックアウトが上手かったで賞」が生み出した幻想でしかなかったわけです。

MVPは素人記者の投票で決まります。背が低いのが目に留まったのでしょう。

当時の竹下佳江選手には組み立てという考え方がなく、いま以上にバックトスがバレバレなフォームでした。ブロックも上を抜かれまくり。これで最強セッターなんて考えられません。

竹下佳江選手は、いくらメディアに「世界最小最強セッター」と呼ばれようと、自らを律することを忘れず、猛烈な努力を重ねました。WGP2008イタリア戦や北京ポーランド戦を皮切りに、2009年ごろから組み立てという考え方が実践できるようになりました。バレバレバックトスは完全には治りませんでしたが、それでも溜めを作ったりとトスがバレないような工夫をしました。ブロックは独自のフォームの改良とジャンプ力の向上で159cmには思えないレベルになりました。

アイドルとしてではなく選手として大成し、ロンドンの銅メダリストにまで登り詰めた竹下佳江選手。これからも全日本女子有数の選手として、永遠に記憶されることでしょう。

メディア注目選手は本当に実力のある選手なのか?

2012-10-01 12:51:44 | メディア注目選手のその後
バレーボールは、低迷期にもゴールデン放送があるほど、メディアに注目されているスポーツです。もちろん、それによって、私たちバレーファンが気軽にバレーボール観戦を楽しめます。また、海外映像と比べて、設置しているカメラの数も多く(アングルは気に入りませんが)、それだけバレーボール中継に予算がつぎ込まれていることに対して、メディア各社に敬意を表したいと思います。

しかし、解説や実況の内容については、かなりの疑問があります。特に、メディアが「世界最小最強セッター」だとか「メグカナ」だとか「宇宙一のリベロ」だとか「ナナリサ」だとか「マイコ」だとか「ゴリ」などと騒ぎ立てた選手たちは、選手としてではなくアイドルとして扱われていたようにしか思えません。

このカテゴリーでは、そういったメディア注目選手のその後を分析し、メディアによる選手のアイドル視を徹底的に批判します。もちろん厳しい表現が並びます。しかし、それはトップにも書いたように私が「全員応援」の立場にいるからです。選手をアイドルではなく選手として評価することが応援につながる、そしてアイドル視されなかった実力派の選手にも光を当てたい、その思いでこのカテゴリーを綴ろうと思います。

なお、噂として、全日本にはアイドル性を選考基準とした「テレビ枠」なる枠があるのではないかという噂があります。これは噂ですから、真偽の判断はいたしません。そういった枠があるかどうかではなく、そういった噂がまことしやかに囁かれる現状を批判したいのです。

背番号18番レフト木村沙織選手のコンビ

2012-10-01 12:17:14 | 全日本女子 コンビ
・セッター
木村沙織選手は竹下佳江選手と共に高速コンビを追求してきました。北京オリンピックの時点で、木村沙織選手も竹下佳江選手も納得のいく速度での攻撃ができていました。しかし、それ以後はそれ以上の高速化を求めてしまい、失敗してトスを戻したりまた高速化したりの繰り返しとなっています。そのため、ロンドンでも、バックセンターはほとんど軟打になってしまいました。中道瞳選手のトスは、低すぎなければ打ちやすそうに打ちます。

・裏レフト
裏レフトの選手と2人で打ち屋を担当します。そのため、どちらかの調子が悪いともう片方にトスが集まる傾向があり、それが引き金となって敗戦することがあります。木村沙織選手のサーブレシーブが乱れた際、裏レフトの選手が2段を積極的に打ち、木村沙織選手のミスをカバーしてくれます。

・ライト
山口舞選手が入ると、ブロッカーがライト側に張り付くため、レフトは打ちやすくなります。しかし、その恩恵を被るのは主に裏レフトであって、表レフトの木村沙織選手が恩恵を被るのはS1の日本サーブのローテだけです。S1の相手サーブのローテでは、山口舞選手がレフトから打てないため木村沙織選手のライト攻撃に偏ったり、2枚レシーブになったりと、かなり大変です。さらに、山口舞選手はサーブレシーブの守備範囲が狭いため、木村沙織選手の守備範囲が広まってしまいます。ただ、木村沙織選手が後衛時には、サーブで狙われてバックセンターの助走に入れない時に、山口舞選手がライトからセンターセミに切り込み、木村沙織選手のバックセンターの代行を行います。これはかなり効果的でした。新鍋理沙選手が入ると、新鍋理沙選手がサーブレシーブで広大な範囲を守るため、木村沙織選手の負担が減ります。また、新鍋理沙選手はレフト打ちも出来ますので、S1ローテでも木村沙織選手に負担がかかりません。

・センター
木村沙織選手はブロックで並ぶ以外センターとのコンビは少ないです。クイック囮のBセミはあります。

・リベロ
佐野優子選手とはサーブレシーブで隣り合います。しかし、本来は佐野優子選手が木村沙織選手のカバーに行くべき場面で、なぜか木村沙織選手が佐野優子選手のカバーに行くことがあります。これは修正して欲しかったです。スパイクレシーブでも、木村沙織選手は佐野優子選手と並びます。これは鉄壁の守備でした。佐野優子選手のアンダーを木村沙織選手が打つコンビは、失点源になりました。