JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQT韓国戦

2012-10-12 13:01:44 | メディア注目選手のその後
OQT韓国戦は、第二セットは取ったもののまさかの1-3負け。この試合の狩野舞子選手2枚替えは、どれほど効果があったのでしょうか。

前衛2枚ローテと2枚替えローテの得点-失点数を計算してみましょう。

第一セット
1回目の前衛2枚ローテ 4得点3失点→+1点
2回目の前衛2枚ローテ 4得点6失点→-2点
2枚替えローテ(0.5ローテで終了) 0得点1失点→-1点で、これが3ローテ続けば-6点

第二セット
1回目の前衛2枚ローテ 4得点4失点→±0点
2回目の前衛2枚ローテ 5得点5失点→±0点
2枚替えローテ 4得点3失点→+1点

第三セット
前衛2枚ローテ 5得点8失点→-3点
2枚替えローテ 5得点6失点→-1点

第四セット
2枚替えなし

このデータより、第一セットは-5.5点、第二セットは+1点、第三セットは+2点の効果が2枚替えによりもたらされたことが分かります。これだと、2枚替えをする意味はありません。また勝った第二セットも、2枚替えが終了後にキムヨンギョン選手をブロックできて、日本に流れがきました。本来は狩野舞子選手が2枚替え中にやるべき仕事だったはずです。

さらに疑問なのは、ライトと裏レフトの起用法です。この試合、なぜか前衛3枚のローテが回せないという不可解な現象が何度も見られました。ということは、ライトスタメンの山口舞選手と裏レフトスタメンの江畑幸子選手に問題があったのではないでしょうか。これには、ブロード主体のライトであるキムヒジン選手の存在が関わっています。キムヒジン選手は、韓国のBチームで、ライトから何回もブロードで打っているはずで、韓国のAチームのレフトの選手はそういった動きに慣れています。つまり、山口舞選手は怖くないわけです。では、山口舞選手を新鍋理沙選手になかなか替えなかったのはなぜでしょうか?さらに、全日本では、Aチームの山口舞選手がライトからブロードで打つのをBチームの迫田さおり選手が止めているはず。であれば、裏レフトに迫田さおり選手を積極的に使うべきだったはずです。迫田さおり選手投入が遅れたのはなぜでしょうか?

その答えは、まさに2枚替えです。2枚替えする前提では、ライト同士の交替は使えなくなります。また、2枚替えで4つの交替枠を使うと、残る交替枠は2となり、裏レフト同士の交替をしにくくなるのです。2枚替えにこだわって他の有効な交替が出来なくなったのも敗因の1つです。