JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQTセルビア戦

2012-10-26 14:16:25 | メディア注目選手のその後
セルビア戦は2セット取ればロンドンへの出場権が獲得できる試合で、全日本女子は第一セットと第三セットを取りました。その後の第四セットと第五セットは負けておいた方がロンドンで有利になるため、全日本女子は有り得ないミスを演出して綺麗に負けました。そのため、今回は両チームが本気で戦っていた第一~第三セットのみを分析します。

第一セット
前衛2枚ローテ 5得点6失点→-1点
中道瞳選手と山口舞選手のピンサワンブロ 3得点1失点→+2点

第二セット
前衛2枚ローテ 3得点6失点→-3点
中道瞳選手と山口舞選手のピンサワンブロ 3得点1失点→+2点

第三セット
前衛2枚ローテ 11得点3失点→+8点
中道瞳選手と山口舞選手のピンサワンブロ 0得点1失点→-1点

このように、この試合ではライトとセッターが中道瞳選手と狩野舞子選手に交替する通常の2枚替えはなく、表センターの荒木絵里香選手サーブ時に荒木絵里香選手を中道瞳選手に、前衛の竹下佳江選手を山口舞選手に替えるピンサワンブロの形の2枚替えが行われました。後衛では中道瞳選手がバックライトを守り、本来バックライトを守る新鍋理沙選手がバックレフトを守りました。リベロ不在を補う狙いです。ロシア戦の反省から、中道瞳選手は山口舞選手にはトスを上げず、完全に囮として使用。この使い方で、+2点、+2点、-1点と、かなりの効果が出ました。狩野舞子選手は、第一セットと第三セットに裏センターのサーブでピンサで出場し、第一セットは実質的にサーブポイントを取りました。またここでもリベロ不在ローテが回避されています。第二セットは、新鍋理沙選手を迫田さおり選手に替えるワンブロがありました。

この形、新鍋理沙選手がスタメンなら非常に効果があります。
・竹下佳江選手を前衛で使いたくない
・山口舞選手にサーブを打たせたくない
・山口舞選手にサーブレシーブさせたくない
・山口舞選手に中道瞳選手のトスを打たせたくない
・リベロ不在ローテを減らしたい
・狩野舞子選手に攻撃させたくない
・新鍋理沙選手のレシーブに頼りたい
このような全日本女子の事情を全て解決出来るからです。また、ロンドン本番では、新鍋理沙選手スタメンなら荒木絵里香選手が裏センターに回る予定だったはずなので、ロンドン本番ではサーブが苦手の大友愛選手サーブ時に中道瞳選手と山口舞選手のピンサワンブロを使えるはず。良い形を見いだせました。