JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 ロンドンアルジェリア戦

2012-10-27 23:01:34 | メディア注目選手のその後
一つ前の記事で書いたとおり、OQT期間中で狩野舞子選手2枚替えは格下にしか通用しないことが分かりました。なのに、ロンドンでも狩野舞子選手が2枚替えで出場しました。分析しましょう。

第一セット
前衛2枚ローテ 7得点4失点→+3点
2枚替えローテ 4得点4失点→±0点

第二セット
2枚替えなし

第三セット
前衛2枚ローテなし

この試合で比較分析が可能なのは第一セットのみです。第三セットは2枚替えがありましたが、前衛2枚ローテがなく、メンバーもローテも代わっていたので比較対象がありません。

さて、格下ということで2枚替えの最低条件は満たされると期待したいところですが、なんと第一セットでは-3点の効果。これは目を疑う結果です。そのうち-1点分は狩野舞子選手自身のスパイクミスでした。

もちろん、この2枚替えが完全に失敗であったわけではありません。アルジェリアが狩野舞子選手のブロックを警戒し、頼りないライト攻撃を主体とした単調なバレーを展開したからです。しかしやはり最終的には点数が全てです。

このような具合で、ロンドンの初戦は2枚替えによる-3点というハンデを追ってスタートしたのでした。

もちろん、狩野舞子選手は一本良いブロックをしましたし、繋ぎの部分ではサイドアタッカーとは思えないような質のトスを上げていました。サーブもかなり良かったです。このあたりは、2枚替え分析連載が終わってから取り上げます。それまでは狩野舞子選手に対して批判的な言葉が並びますが、連載終了後までお読みいただいてから総合的に考えていただければと思います。

狩野舞子選手2枚替え OQT総括

2012-10-27 13:59:34 | メディア注目選手のその後
ここまでOQTの各試合について狩野舞子選手の2枚替えの効果を数値化して考察してきました。ここでまとめをしたいと思います。

まずは、時系列順に、狩野舞子選手が2枚替えで入ったセット数を見てみましょう。

ペルー戦 3/3セット
台湾戦 2/3セット
タイ戦 3/3セット
韓国戦 3/4セット
キューバ戦 1/5セット
ロシア戦 1/3セット
セルビア戦 0/5セット

このように比較すると、狩野舞子選手の2枚替えの使用回数は日を追うごとに減っていきます。狩野舞子選手2枚替えが交替枠の消費数に見合わないという判断が徐々になされてきたものだと考えられます。

次に、1セットあたりの狩野舞子選手2枚替えによる効果を、参加国の最終順位で並べてみました。

1位 ロシア ±0点
2位 韓国 -0.83点
3位 セルビア 出場なし
4位 日本
5位 タイ +5.67点
6位 キューバ ±0点
7位 ペルー +1.67点
8位 台湾 +1.2点

このように見ると、狩野舞子選手2枚替えがプラスに働いたのはいずれも格下相手の試合ばかりです。逆に、格上相手の試合ではプラスに働いていません。また、セルビア戦では、中道瞳選手と山口舞選手が表センターがサーブ時にピンサとワンブロで入る新戦略が打ち出され、狩野舞子選手2枚替えに代わる道が開けました。

ロンドン本番では、もちろん格下相手との試合もありますが、勝敗が大事になってくるのはあくまでも格上相手との試合です。そのため、格下相手にしか通用しないとOQTで判明した狩野舞子選手の2枚替えは、OQT終了時点で白紙に戻すべきでした。データはそれを支持しています。

狩野舞子選手の2枚替えが格上相手に通用しないのは、OQTだけではなくWC2011から見られた傾向です。その傾向がOQTでも繰り返されたわけですから、ロンドン本番でもそうなる可能性が高いと言うことは明らかでしょう。

もちろん、格下キラー的な枠はあってしかるべきです。格下相手時に主力を休ませる役回りも必要だからです。しかし、狩野舞子選手はその役回りもできません。1試合通して出場することができず、2枚替えの3ローテ分しか主力を休ませられないからです。また、ライトには既に新鍋理沙選手と山口舞選手がいますから、分担すれば負担もありません。既にライトが2人いる中で、2枚替え専用ライト枠を設けて狩野舞子選手をロンドンに連れて行くのは不自然です。