JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQTキューバ戦

2012-10-19 12:53:31 | メディア注目選手のその後
OQTキューバ戦は、フルセットの激闘となりました。1、3、5セットを取った日本が勝ちました。

今回も、前衛2枚ローテと2枚替えローテで得点-失点数を計算しましょう。

第一セット
前衛2枚ローテ 3得点4失点→-1点
2枚替えローテ 4得点5失点→-1点

第二セット以降は2枚替えなし

これを見れば分かるように、この試合では2枚替えは効果がありませんでした。第一セットは日本が取ったものの、それは木村沙織選手のサーブで土壇場で7連続得点があったからです。それが無ければ負けていた試合で、2枚替えもその敗因になっていたはずです。あの場面では、既に4人の交替枠を2枚替えで消費していたので、第二セット以降有効に行われたライトや裏センターや裏レフト同士の交替が難しい状況になっていました。チーム力と有効なメンバー交替で得点するはずの全日本女子が土壇場で個人技に頼らざるを得なくなったのは、2枚替えという無効な交代で4人の交替枠を使い切ってしまったからなのです。

このように書くと、あたかも狩野舞子選手が準戦犯であったかのようですが、それは違います。第五セットの終盤で、狩野舞子選手はピンサで大変素晴らしい活躍をしました。それが無ければ負けていたかも知れません。第一セットから継続的に狩野舞子選手をピンサで使っても良かったはずです。それなのに2枚替えにこだわってしまった起用法に問題を感じます。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQT韓国戦

2012-10-12 13:01:44 | メディア注目選手のその後
OQT韓国戦は、第二セットは取ったもののまさかの1-3負け。この試合の狩野舞子選手2枚替えは、どれほど効果があったのでしょうか。

前衛2枚ローテと2枚替えローテの得点-失点数を計算してみましょう。

第一セット
1回目の前衛2枚ローテ 4得点3失点→+1点
2回目の前衛2枚ローテ 4得点6失点→-2点
2枚替えローテ(0.5ローテで終了) 0得点1失点→-1点で、これが3ローテ続けば-6点

第二セット
1回目の前衛2枚ローテ 4得点4失点→±0点
2回目の前衛2枚ローテ 5得点5失点→±0点
2枚替えローテ 4得点3失点→+1点

第三セット
前衛2枚ローテ 5得点8失点→-3点
2枚替えローテ 5得点6失点→-1点

第四セット
2枚替えなし

このデータより、第一セットは-5.5点、第二セットは+1点、第三セットは+2点の効果が2枚替えによりもたらされたことが分かります。これだと、2枚替えをする意味はありません。また勝った第二セットも、2枚替えが終了後にキムヨンギョン選手をブロックできて、日本に流れがきました。本来は狩野舞子選手が2枚替え中にやるべき仕事だったはずです。

さらに疑問なのは、ライトと裏レフトの起用法です。この試合、なぜか前衛3枚のローテが回せないという不可解な現象が何度も見られました。ということは、ライトスタメンの山口舞選手と裏レフトスタメンの江畑幸子選手に問題があったのではないでしょうか。これには、ブロード主体のライトであるキムヒジン選手の存在が関わっています。キムヒジン選手は、韓国のBチームで、ライトから何回もブロードで打っているはずで、韓国のAチームのレフトの選手はそういった動きに慣れています。つまり、山口舞選手は怖くないわけです。では、山口舞選手を新鍋理沙選手になかなか替えなかったのはなぜでしょうか?さらに、全日本では、Aチームの山口舞選手がライトからブロードで打つのをBチームの迫田さおり選手が止めているはず。であれば、裏レフトに迫田さおり選手を積極的に使うべきだったはずです。迫田さおり選手投入が遅れたのはなぜでしょうか?

その答えは、まさに2枚替えです。2枚替えする前提では、ライト同士の交替は使えなくなります。また、2枚替えで4つの交替枠を使うと、残る交替枠は2となり、裏レフト同士の交替をしにくくなるのです。2枚替えにこだわって他の有効な交替が出来なくなったのも敗因の1つです。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQTタイ戦

2012-10-10 15:18:18 | メディア注目選手のその後
OQTタイ戦も全日本女子のストレート勝ちでした。

前記事と同じように、前衛2枚ローテと2枚替えローテの得点推移の比較をしましょう。

第一セット
前衛2枚ローテ 4得点6失点→-2点
2枚替えローテ 4得点3失点→+1点

第二セット
1回目の前衛2枚ローテ 7得点6失点→+1点
2回目の前衛2枚ローテ 3得点4失点→-1点
2枚替えローテ(0.5ローテで終了) 2得点0失点→+2点で、これが3ローテ続けば12点

第三セット
前衛2枚ローテ 5得点6失点→-1点
2枚替えローテ 4得点3失点→+1点

このように、タイ戦では2枚替えにより、第一セットは3点、第二セットは12点、第三セットは2点の効果がありました。特筆すべきはその得点の中身です。2枚替えで入った狩野舞子選手が、相手のレフト攻撃に対して多くの素晴らしいブロックを見せました。やや足踏み感があった第三セットの2枚替えローテですが、不用意な江畑幸子選手のサーブミスが無ければもう少し数字は上がっていたはずです。

これほどの効果があり、またその得点に狩野舞子選手がかなり絡んでいたので、この試合では2枚替えは非常に有効であったと言えます。4つの交替枠は無駄にはなりませんでした。

もちろん文句なしの結果ですが、実況には文句を言わせていただきます。この試合、第一セットの2枚替え時、つまりまだ2枚替えが成功するかどうか分からなかった時点で、実況は「ここまで2戦を見て、吉原さん、この2枚替えですね、効果というのは出てますよね。」と発言。解説の吉原さんは微妙に口ごもりつつ、中道瞳選手のサーブについてのみ誉めました。ここまで2戦の2枚替えについては、前記事と前々記事で分析したとおり、ほんの僅かな効果しかありませんでした。4つの交替枠を使ってでも2枚替えをした方が良いと断言できる効果ではありませんでした。実況アナウンサーの方には、私が前記事と前々記事で行ったような分析をしていただき、その上で責任を持って正しいと言えることのみを発言していただきたいと思います。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQT台湾戦

2012-10-10 14:06:23 | メディア注目選手のその後
台湾戦も日本がストレート勝ちでした。

前記事と同じように、前衛2枚ローテと2枚替えローテの得点-失点数を計算しましょう。

第一セット
2枚替えなし

第二セット
前衛2枚ローテ 6得点4失点→+2点
2枚替えローテ(2.5ローテで終了) 9得点2失点→+7点で、これが3ローテ続けば+8.4点

第三セット
前衛2枚ローテ 5得点4失点→+1点
2枚替えローテ 9得点4失点→+5点

この試合では、第二セットは2枚替えにより6.4点、第三セットは4点を獲得したことになります。このくらいの効果があるなら、4つの交替枠を使ってでも2枚替えをする価値はあると言えます。

しかし、この2枚替えローテ中の得点-失点数は、本当に2枚替えによる効果なのでしょうか。それを確認するには、2枚替えをしなかった第一セットを分析すれば良いですね。

第一セット
1回目の前衛2枚ローテ 4得点5失点→-1点
2回目の前衛2枚ローテ 7得点3失点→+4点

なぜな、2回目の前衛2枚ローテでは1回目より5点も多く取れています。これは非常に不思議ですし、もしたまたまでなければ第二セットや第三セットでの2枚替えによる8.4点や4点という効果も色褪せて見える結果です。

ではこの謎の解明のために、実際に試合の中身を見てみましょう。

台湾は、毎セット新たなコンビを解禁し、セット序盤に相手が対応できない中得点を重ねます。しかし、セット後半からは集中力が切れて、サーブレシーブが全く返らなくなります。実際、第一セットの2回目の前衛2枚ローテでは江畑幸子選手のサーブに苦戦しましたし、第二セットの2枚替えローテでは荒木絵里香選手のサーブに苦戦しました。

つまり、台湾はセット前半に点を取り、セット後半にサーブレシーブミスから点を失うチームなのです。そのようなチームと対戦すれば、セット後半に行われる2枚替えが有効に見えてしまいますが、2枚替えせずともセット後半に連続得点できるのは第一セットが証明しています。

仮に第一セットを基準として考えると、第二セットの2枚替えによる効果は3.4点、第三セットは-1点です。この数字からは2枚替えに4つの交替枠を使うメリットがあるようには思えません。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQTペルー戦

2012-10-08 00:07:21 | メディア注目選手のその後
OQTペルー戦は日本がストレート勝ちしました。全セットで狩野舞子選手による2枚替えがありました。

まずは得点-失点数を計算しましょう。

第一セット
前衛2枚ローテ 10得点3失点→+7点
2枚替えローテ(1.5ローテで終了) 5点1失点→+4点で、これが3ローテ続けば+8点

第二セット
前衛2枚ローテ 2得点5失点→-2点
2枚替えローテ 4得点4失点→±0点

第三セット
前衛2枚ローテ 3得点3失点→±0点
2枚替えローテ 6得点4失点→+2点

このように比較すると、狩野舞子選手2枚替えにより、第一セットは+1点、第二セットは+2点、第三セットも+2点の効果があったことが分かります。つまり、めでたく2枚替えの最低条件はクリアできています。

しかし、だからと言ってこれは良い数字ではありません。前衛2枚ローテと比較して絶大なメリットがあるはずの2枚替えをしても、その効果はセットあたり1点や2点です。この効果を出すのに、1セットの上限が6つのうち4つの交替枠を使っているわけです。最低条件はクリアでも、1点や2点の効果なら、2枚替えに4つの交替枠を使うだけの絶大なメリットがあったと主張できるほどの効果とは言い難いです。(もちろん、交替枠の消費というデメリットさえなければ、僅かな効果とは言え積極的に使うべきですが。)

次回もこのような形で狩野舞子選手2枚替えを分析します。