JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

S1対策 韓国女子の場合

2012-09-14 21:54:19 | 用語解説
韓国女子は、世界的には珍しくフロントオーダーを敷いています。そのため、ライト前衛のローテは次のようになります。

S1
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R L C
C L S

S6
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C R L
L S C

S5
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L C R
S C L

レフトとライトが入れ替わるローテがS1とS6の2つもあります。

・問題点
ライトのキムヒジン選手はセンター出身で、レフト打ちが苦手です。そのため、キムヒジン選手がレフトに取り残された場合、かなり厳しくなります。また、同じくライトのファンヨンジュ選手は左利きなので、同様にレフト打ちは苦手です。さらに、フロントオーダーでライトとレフトが入れ替わるローテを2回も作っていて、まさに二重苦です。

・解決策1 ライトはサーブレシーブせず、ライトにダッシュして戻る
一番まともな解決策ですね。キムヒジン選手は右利きのセンター出身なので、左端から右端までダッシュすればブロードで楽に打てます。ファンヨンジュ選手は左利きなので本来は左端から右端に走って打つのは苦手のはず。なのに、なぜかファンヨンジュ選手はこれを楽々とやってのけます。また、ファンヨンジュ選手とセッターのキムサネ選手とのコンビは良くて、ライトの端まで走ったり1m内側で止まったり、かなり凝ったことをしています。

・解決策2 レフトはレフトに戻らずロングBセミを打つ
レフトの選手はサーブレシーブに参加するので、なかなかレフトまで戻れません。そのため、ロングBセミまで戻ります。その際、センターはBクイックに入っているので、センターのBクイックとレフトのロングBセミで時間差の効果を出せます。また、このレフトによるロングBセミもタイミングや場所が多様で、さらにセンターのBクイックの背後から出てくる感じなので、なかなかブロックできません。

このように、韓国女子は本当に変則的な動きでライトとレフトの位置を毎回修正していきます。このため、前衛がごちゃごちゃ動きます。しかし、実はこのごちゃごちゃした動きがブロックの的を絞らせません。このごちゃごちゃした動きの回数を増やすことが、フロントオーダーの理由なのでしょう。まさにピンチをチャンスに変える発想です。

ただ、ライトが左端から右端まで走る動線上にサーブを落とされると、ライトが立ち往生してしまい、攻撃が単調化します。実際韓国女子は弱いチームですから、参考にすべきかどうかは疑わしいです。

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