JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

S1対策 全日本女子ロンドンのロシア戦等の場合

2012-09-18 16:28:33 | 用語解説
全日本女子のS1は、山口舞選手というセンター系ライトの存在でかなりの危機になる、ということを以前解説しました。詳しくは過去記事をご覧ください。

私も、山口舞選手が出るなら、ロンドンでもS1はかなり厳しくなると思っていました。しかし、ロシア戦では、全く新しいS1対策を全日本女子が展開し、本当にびっくりしました。

S1では、
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R C L
L C S
と並んでいる中で、前衛ライトがレフト側、後衛センターに替わったリベロが中央、前衛レフトがライト側でサーブレシーブをします。そのため、レフトとライトが前衛で逆転するのです。

それをなんと、山口舞選手をサーブレシーブから外して、前衛レフトをレフト側、後衛センターに替わったリベロがライト側、という2人だけでサーブレシーブをしたのです!これにはびっくりです。そして、レフトの端に固まっていたセンターの井上香織選手はL、山口舞選手はCワイドのダブルブロード、そしてサーブレシーブした木村沙織選手はそのままレフト打ちに入ったのです。女子では珍しい2枚レシーブ隊形にし、ブロードで山口舞選手をライト側に戻す、これは予想すらしていませんでした。

この形、実はアルジェリア戦で1回、ドミニカ戦でも1回試していました。秘密兵器として、ずっと開発してきたのでしょうね。

このS1対策は、言わば他を犠牲にしてまで山口舞選手を最大限に活かすためのもの。それを予選リーグで強豪相手に見せたわけです。その次の格下のイギリス戦では新鍋理沙選手を起用して、山口舞選手は出番なし。この状況から、対戦国は、山口舞選手が決勝リーグのスタメンに入ると予想したはずです。しかしそれもカモフラージュに過ぎなかった!決勝リーグでは新鍋理沙選手を主力として戦い、データの裏をかきました。そして韓国戦では、その新鍋理沙選手を全く異なる使い方で起用してストレート勝ち。決勝リーグの勝利の背景には、こんなに緻密なデータ攪乱計画があったのですね。これについても、今後詳細な解説記事を予定しています。

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