2週間ほどの入院生活で病室を2箇所変わりました・・・
同室の男性諸氏は私と同じ心臓血管センターで同じ様な内容の手術を受けた私より年嵩の方ばかりでした。
やはり、この類の心臓手術は担当ドクターの話していた通り、「年齢が若い体力のある時期の方が・・・」というのは当たっていました。
皆さん七十代の様で、私の方が後からの手術で早期退院になりました。
集中治療室に3日間滞在して、一般病棟に移り二箇所目の病室の四人部屋で私の隣になったお爺さん、集中治療室から私が出てきて10日ほどしかのお付き合いでしたがいろいろとお話しをしていましたら、何と私が以前に何回か行ったのですが、ついに食することの出来なかった、あるお蕎麦屋さんの元職人さんの方でした。
或る場所とは、長野の戸隠にあるお蕎麦屋さんでした。
まさかこんな場所でと、思いました。
人生の巡り合いとは、判らないものです。
入院では残念ながら見目麗しい看護師さんとの巡り合いはありませんでしたが、お蕎麦屋さんの職人さんとは出会いがありました・・・
話が合って、最後の二日間は蕎麦の打ち方や出汁の取り方や合わせ方を教えていただきました。
このような話の内容は父子相伝の内容なのでしょうが、私も入院時に持参していたB5のノートに10ページ以上もお爺さんの聞き取りを殴り書きしました。
人の話をこんなに懸命に聴いたのは、大学生の時に必修の単位を落とした熱力学の授業以来でした・・・
退院の日の早朝、二日間のお話のお礼を言うと、「あんたが気に入ったから、大切にしている蕎麦ひき用の石臼をやるよ~。」とのこと。
その石臼は今どこにあるのか、雪深い長野に行くのか判りませんが、自分へのお年玉にいただくことにしました・・・
連絡先の代わりにQSLを差し上げました。
配偶者には、「そんなの貰って、どうするの~?」と言われましたが、「リタイアしたら蕎麦屋か古道具屋を開きたい!」とは口が裂けても言えませんでした・・・
モーツァルトやバッハのBGMが流れる蕎麦屋か古道具屋、いいですね~!
サルではありませんから、人は夢を見なくては生きてはいけません。