「レンツの法則」などと書くと、頭が痛くなる人が多いのではないかと思います。ロシアの物理学者の名称を付けた電磁気学の法則です。
簡単に説明すると、コイルに永久磁石を近づけると誘導電流が発生しますが、コイルに電流が流れるとそこに磁場が発生しますが、その磁場は磁石の接近を妨げる向きになるというものです。
何でこんなことを想い出したのかというと、中学生の時の思い出があるからです。もう40年以上も前のことですが、高校進学の基礎資料として、埼玉県ですと北辰テストというのがありました。私はいつも中くらいをフラフラしている中学生でした。ちょうど夏休み前の梅雨時の今頃だったと思うのですが、科学の試験にレンツの法則がでました。内容はひどく簡単なもので、棒磁石をコイルに近づけた場合に発生する磁界の方向を求めるものでした。
たまたまそのときに私の隣の席だった女の子は、4月に地方の国立大学の附属中学から転校してきた子で、テストはいつも満点で、英語なんて先生よりも発音がネイティブっぽかった気がします。その子が、その問題だけ出来なくて、たまたま解けた私に説明をしてくれないかと話しかけてきました。
私は、右手の法則とか、左手の法則とか、小学生の頃からのアマチュア無線の知識を出して説明をしましたが、どうも彼女は理解出来ないようでした。彼女は「妨げる方向に~」というのが、理解不能の様でした。そこで私は例え話として、「男と女と同じでさ~、好きだと離れるし、嫌いだとついてくるし~」と訳のわからない説明をしました。
そうしたら彼女曰く、「普段お勉強が出来ないのに、そういうことはわかるのね~!」とあきれたたように話していました。私も、それっきり彼女とは話すことも無くなりました。
彼女は、県立の女子高から、国立大学の理学部に進み、科学者として頑張っていることを聞きました。今でも「レンツの法則」と聞くと、彼女のクリクリとした瞳と上品な話し方が想い出されます。