次世代総合研究所・政治経済局

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『世田谷時代の岡本太郎』展

2007年04月24日 21時52分45秒 | Weblog
世田谷美術館(東京都世田谷区)で企画展の『世田谷時代の岡本太郎』展が開催されている。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/

 1970年の大阪万博の「太陽の塔」の製作者として知られる岡本太郎だが、漫画家岡本一平、作家岡本かの子の息子として生まれた岡本太郎は独特な家庭に育ち、19歳から29歳までをフランスで過ごした。

 そののち帰国、応召して中国戦線で二等兵として転戦、この間空襲で滞欧中の作品すべてを消失している。帰国後に画家活動再開、以降前衛芸術活動に邁進する。

 今回の展示ではこの消失した作品の複製や世田谷時代といわれる1946年から54年までの作品が展示されている。異色なのは従軍中の所属師団長の肖像画だ。

 特に興味深いのは「太陽の塔」の原型ともいえる彫刻「顔」である。岡本太郎が縄文土器に強い衝撃と関心を持ち、それが「太陽の塔」製作の基本となったことがよく分かった。

 また、岡本太郎自身がフランスのマスコミに対してフランス語でインタビューに答え、自らの芸術観を語っているVTRが流されているがこれは必見である。岡本自身にとって作品が芸術の枠にとどまらない生きることと同値であることがよく分かる。

 同展は5月27日まで。なお、神奈川県川崎市の岡本太郎美術館でも7月1日まで「青山時代の岡本太郎」展を開催中である。


イラクの難民(IHT社説)

2007年04月24日 02時10分00秒 | Weblog
http://www.iht.com/articles/2007/04/22/opinion/ediraq.php

イラクでは爆破や暴力で一日平均100人が死んでいる。イラク人の3人に2人常時浄水を使えず、子供は栄養失調、大勢の人々が予防可能な疾病で死亡し、保健体制は崩壊しているに等しい。

400万人、実に7人の1人のイラク人が住居から退避している。このままだと難民がツナミのように押し寄せることとなる。

ブッシュ政権は政策の過ちを認めずこれをイラクの国内問題としている。イラク国内で自宅退避した国民のうち半数はすでに難民となっており75万人は仮設住民に住む。 

人口1900万人のシリアにはイラク難民が120万人もいる。シリア政府はかくも大量の難民を受け入れることは不可能だといい、ヨルダンはすでに17歳から35歳までのイラク男性の難民流入を制限、クウェートは国境を完全に封鎖、サウジアラビアはイラク人を締め出すため、国境フェンスを70億ドルかけて建設中である。

これに対し米国の受け入れた難民はわずか500人、ブッシュ政権は難民受け入れを約束し、ウワサでは2万5千名というがそうはならないかもしれない。政府は現在約束している1,800万ドル以上の難民保護をヨルダンやシリアに対する支援も含めてすべきだ。また、シリア、イランなどイラク周辺国とも、イラク国内の紛争抑止や難民支援につき具体的な議論を真剣に行うべきである。


 難民についての日本国内の報道は驚くほど少なく、今日送られてきた雑誌『海外情勢』(拓殖大学海外事情研究所)もイラク特集だったが、イラク関連論文を掲載している森本敏(同研究所長)も高橋和夫(放送大準教授)も難民については全く触れていない。
http://www.takushoku-u.ac.jp/laboratory/intl_situation/greeting.html

 しかし、7人に1人が難民になっている国は明らかに異常だ。この問題が解決するまでイラクに静謐が訪れたとはいえまい。