次世代総合研究所・政治経済局

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統一地方選後半戦

2007年04月23日 00時34分00秒 | Weblog
統一地方選後半戦が終わった。参院補選では福島が野党の大勝、沖縄は与党の辛勝となった。もともと野党の議席のため野党は1議席失との見方もあるが、今後の参院本選を考えた時、野党はむしろ弾みをつけつつあるといえるだろう。

 <参院・福島補選>
 
 増子 輝彦  民主  新   当  506,129  57.2    59  
 山口  勇  自民  新      299,023  33.8    69  
 宮本しづえ  共産  新      79,124  8.9    54  

 <参院・沖縄補選> 
     
 島尻安伊子  諸派  新   当  255,862  51.8    42  
 狩俣 吉正  諸派  新      228,844  46.3    57  
 金城 宏幸  無  新          9,142  1.9    68  


 それにしても今回の地方選挙ではいろいろと興味深い結果が出ている。

 長崎市長選では刺殺された現職候補者の女婿候補を「世襲批判」し、市の統計課長がわずか3日の選挙運動で激戦の末当選した。わずか3日でただの世襲批判で多くの市民が投票するとは思えず、「判官びいき」が身上の日本にあってはむしろ異例ともいえる。

 <長崎市長選>

 田上 富久  無  新   当  78,066  42.1  
 横尾  誠  無  新      77,113  41.6  
 山本 誠一  共産  新      19,189  10.4  
 前川 智子  無  新      8,321  4.5  
 前川 悦子  無  新      2,677  1.4  

 おそらくこれは女婿のイメージが悪すぎたためだろう。「敵失」である。ブログ上にも「(女婿候補が)棚ボタでにやけていた」などの指摘があり、この身内候補を嫌った票が行き場を失って当選者に流れ込んだのではないだろうか。

埼玉県北本市長選では福祉の削減もやむなしと財政再建の継続を訴えた現職が再選を果たした。これは明らかに「夕張市効果」だ。夕張市の財政破綻が有権者の賛成意識を高めた結果といえるだろう。

 <埼玉県・北本市長選>

 石津 賢治  無  現   当  15,170  46.6  
 石倉 一美  無  新      10,073  30.9  
 諏訪善一良  無  新      7,327  22.5  

 ついでにいえば、核燃料廃棄物処理場誘致の是非が問われた高知県・東洋町選挙の選挙も広い意味での「夕張効果」といえると思う。

 <高知県・東洋町長選>

 沢山保太郎  無  新   当  1,821  70.5  
 田嶋 裕起  無  前      761  29.5  

 その当の夕張市だが、ある意味著名人の羽柴秀吉氏の大善戦が目を引いた。これは単なる知名度だけではなく、羽柴氏が「城の建設」など目玉事業を私財を投じて行うことを公約したことが大きいのではないか。羽柴氏は「とにかく金が必要。自分は私財を投じる気がある」といっていたわけで、ある意味この姿勢は政治家にあらまほしきものといえる。

 <夕張市長選>

 藤倉  肇  無  新   当  3,330  37.3  
 羽柴 秀吉  無  新      2,988  33.4  
 千代川則男  無  新      1,157  12.9  
 若林 丈人  無  新      773  8.7  
 森谷  猛  共産  新      461  5.2  
 鴨川 忠弘  無  新      187  2.1  
 作出 龍一  無  新      40  0.4  

 神奈川県相模原市では合併によって70万都市となった同市を政令指定市にするかどうかが争点になっていたが、考えてみれば人口増加は地方自治の効率化を図るため、合併を推進するための特例法の効果であり、いわば「切り張り」効果である。しかも合併には特例法で補助金増という「アメ」つきだ。

 合併の結果、人口規模だけで政令市になるというのはなんともナンセンスだ。そもそも神奈川県で相模原市などというのはベッドタウンというだけで横浜市や川崎市とはあらゆる意味において比べるべくもない。政令市が単なるブランドになっているとしたらそれは大間違いだとだけいっておく。