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量子化された思考を考えてみる

2022-11-15 03:46:06 | 科学(Science
  • ワイルの『群論と量子力学』の最終章から,勝手訳で切り取ってみた.私のパロディ思考の数学的あるいは物理数学的表現の基本部分を述べているような親しみを感じるからである.色々と難解な事柄が簡潔に有機化されているのだろうから,参照するのに便利がいいということでもある.刺激になるというわけである.

(続) を定める.すなわち,偏角ωの置換の代数和である.書き下してある項は,その和で最高のものである.

§18 分枝法則(branching laws)

物理の散乱現象とか,ウイルスの増殖とか,あるいは,生体の機構や分子的な機構への適応とか,学習とか,現在的な話題につながりそうな最終章最終節で終わっているわけだから,『群論と量子力学』が積読だけでいいのかという,私の気がかりというのか勘は当たっていたということになる.パロってみることで生じる勘もそう馬鹿にするものでもないことを示せたことになる.『数学辞典』では,「分枝」はbranching, 「分岐」はbifurcationと使い分けられている感じだが,Logの枝みたいなことから,生滅流転するような対象の確率過程など多岐にわたるので,手に負えない.「分岐則」については,辞典では,群のユニタリー表現を構成する基本的な方法の一つで,群Gとその部分群Hに対して,Gの表現から出発して,それをHに制限して既約に分解することにより,Hの表現を得ること,とある.「分枝過程」は,互いに他の個体とは独立に増殖,死滅を繰り返す個体集団の状態を記述する確率モデルである,ということである.ちなみに,書は,100円の筆,100円の墨,100円80枚の半紙による作品である.

こういう個所を翻訳しながら拾っていく作業に,しばらくは時間を費やすことになるが,結局,四の五の言わずに,最初から順序良く読んだ方がいいということになりそうだが,あっち跳んだりこっち跳んだり,あるいは,他の本の同じような個所に浮気しながら,パロディ思考を楽しむのも無駄ではない気がする. 量子化された思考は,複素化されそうだから. それにまず,そういう箇所は,量子力学空間,ヒルベルト空間の復習ぽいから.

視覚や聴覚がとらえた対象の親しみが情報を交換するような,あるいは,それらの対象を通じて生成される情報を原子化していくような思考としての論理経路をパロディー思考と名付けるならば,パロディー思考とは,相対性論的量子化された思考の手ごたえの報告のようなものである.それは,「素」思考というべき思考の状態である. てな具合になれば,上々である. 思考のカオスでもありうるのかもしれないが,どっちにしても,木を見ても細胞がみえるわけでもなく,空を見上げても,宇宙線が見えるわけでもないということでは,同じことである. 相対論的量子論では,時空さえ,その意味を変えるわけだから,思考状態という私がいても不思議ではない. 古典論的な世界にいる私の思考という決めつけは,証拠がない. ニュートンの力学方程式で万事考えているという人間が果たしているのか知らないが,多分,いないだろうと思うのである. 補正が必要だと理解できるほどの計算したことなくても,相対性理論ではといいわれると,それ自体は正しいとしても,反論できるほどの根拠ももちあわせない. それに,情報と論理経路という形で,思考の中で干渉しあっているからである. 干渉しあいながらたどる論理経路は,情報の期待予測目録のようなものになるのだろうか. あるいは,親和性を持った対象の継起的な出現から,論理経路が構成されていくようなものなのだろうか. 

2023年,初夢ならぬ初絶句

河面展大青 観混流合動

戦思交静観 知不知流向 

n次正方行列Aに対する級数 E + A + (1/2!)A^2 + (1/3!)A^3 + ... + (1/ν!)A^ν + .... は,その成分となる級数が収斂することから和をもち,それをexpAで表わす.行列A, Bが可換なら,exp(A+B)= expA expB (指数法則)が成り立ち,それにより,ベキ級数の連続性(アーベルの連続性定理?)からtを実変数とし,F(t) = exptAとおけば(d/dt)F(t) = AF(t)がなりたつ(行列の指数関数,佐武『線形代数』など参照). もともとは,「ヤコビ逆問題」(多複素変数解析関数論) とか変換理論とか総和法が起源にある感じだが,ヤコビとかアーベル,ガロアとかリーマン,ポアンカレ等に引き継がれた数学の系譜らしいのだが(『リーマン論文集』など参照),分枝過程などの確率過程ぽい親和性は感じるが,私のパロディー思考の基礎づけに使えないだろうか? 大層虫のいい話ではあるが,もともと文科系だし,アーベルになろうとか,リーマンになろうとかいう動機はないので,ひょっとしたら,可能かもしれない. あるいは,報道等ではあまり掘り下げた説明はないようだが,変動は当然あるにしても,為替相場の調整や協調のテクニックとして,日銀の金利操作とかの対応に利用されている可能性もある. とはいえ,余程の専門家でなければ解説できないだろうから,バランス感覚なのだろうか. 

ウクライナへのロシアの軍事侵略でも,新型コロナでも,何たら教会と自民党の改憲悪用とかその影響とか,バランス感覚がある話とは思えないことも多いが. 半ばれの政治家の悪事が,物事をくもらせているのだろう. 森元総理とか,ロシアの工作裏金で動いていそうな政治家とか,中国や韓国の工作裏金のもいるだろうが,三浦なにがしではなくて工作裏金自民党改憲案の片山さつき議員が裏話としてでも公に語れるくらいにならない限りは,問題は落ち着いていないこととの証左である. ワルは寝たふりするから,様子をうかがってこそりと起きだすものだが,宗男君にはそういう芸当がない. そういう意味では,ギンギンに目覚めたまま頑張ってほしいものである. 根腐れ右翼というかマニラのルフィのような連中よりはましな気がする. マニラのナミとかいるのだろうか. マニラのナミの正体が麻生議員とかだったら漫画もびっくりなくらいになるのだが. 知恵足らずの悪事利用的な不安が広がるワグネルみたいな国会など意味がない. いい年したオヤジやジジイにとっては,なんかそれくらいでないとモエられない. 要するに,政治家は,私設の軍隊あるいは軍隊派遣会社ワグネル幹部なみに,お偉いさんの立場でいられれば気持ちいいわけで,何たら統一教会の目論見どおりになれば国も亡ぶが,うまく一部として組み込まれていれば,うまい汁も吸えるし体裁も付く. それに群がる犯罪集団やメディアにも都合がいい,ということでごまかしごまかしやっていきたいという国会なわけだから,意味あるだろうか. ほとんどばれてるし. どうせアメリカの要求だろうという言い訳もつくし. 私設統一国家のプリゴジンにはなれないが,その手下の立場ならうまい汁だけすえて,リスクも低い茂木とか. そこらの差配が岸田流とか.結局,根腐れしている政治家が安泰なわけだから,国民も安泰である. 私としては,理性ある国民が賢く導いてやってくれと願うしかない. 漫画ならナンセンスも面白いが,現実の政治だ社会だとなると,自民党上級議員の統一教会張りの銭狂いの呆け倒しになるから,うざいはなしになるだけだけだから. 

先日,HARD OFFで富士通LifeBookのジャンク品(動作未確認)を3,300円で買ってきた. 電源はいらず,お手上げと思っていたら,付属していたコードのアダプターにつなぐ部分だけ(電源につなぐ方のコードだけ)替えてみたら,整備済みの中古品になった. 欠けている部品もなさそうである. 画面にしみありとあったが,使用上は支障ない. 今のところは,使えそうである. 

画面が大きいし,Youtubeみたりblog書くだけだから,しかも,起動しているのだから,贅沢はいえないが,LaTeX(ラテックとかラテフとか読むらしい)とかは入れておくことにする. 気軽さや性能は先に買った中古ノートPCの方がいいので,コードを買い足して,どちらも使える状態になる日を待つことにする. バッテリーが長持ちしないから. 

ブルーレイも読み込むし, キー入力も大丈夫そうだし, LaTeXは, TeXstudioで, とりあえず, wikiの設定をみて(詳細設定は行わないほうがよさそうである)設定を完了して, 使える状態である.Emacs(味のある感じになるから)やVScodeは設定がめんどくさくなりそうだから, おいおいということにする.

とりあえず, テフると(とかなんとか)こんな感じである.ちなみに, θラジアンをθ(ラジアン)とかθ rad.とか書くこともあるが, 公式には決まりはない.単にθと書くことが多いということである.これは, 森北出版『基礎数学ハンドブック』からTeXコピペしたものだが, 上記の関係が成り立つことを確かめよ, とか言えたら楽である.倍角の公式とか, 半角の公式とか, 和積(積和)公式とか, 三角関数に関する公式はお馴染みだろうが, TikZというTeXの描画パッケージで, 直接図やグラフをTeXに描かせるのは, 結構, 時間と試行錯誤を要する.  

TikZ \& PGF マニュアル(Ver.3.1.10)の序文をかいつまむと,
Till TantauがPhDのテーマとして始めた取り組みは, 現在では, TikZという満開のグラフィクス言語となっている.TikZは, PGF(Portable Graphics Format for LaTeX)というLaTeXのsysライブラリーのフロントエンドである.TikZという名前は, ``GNU's not Unix''を踏襲して``TikZ ist kein Zeichen programm'', 英語に訳せば``TikZ is not drawing program''(「TikZは描画指示プログラムではない」?)という意味の巡回的頭字語である.他にもフロントエンドは幾つかあるが, TikZは, 唯一の本格的なPGFのフロントエンドである.

このマニュアルは, およそユーザーフレンドリーに従った構成であり,TikZのデザインや使用法は、より簡単で頻繁に使うものをまず説明し,難解なものは後回しにしてある.

詳しくないので変な訳になっているかもしれないが, というものらしい.

外観は傷もほとんどない美品である.ジャンク品として高いのか安いのか分からないが, ラッキーである.

こういう幸運は, 宝くじのスクラッチで1万円が2度あたった,  あるいは, 自販機でもう一本おまけがついたこと以外あまりないのだが, これはもしかして, 私の無意識の作用で, 自然数が数学的なものから飛躍して, 万札にあるいは缶コーヒーとなって現出したといってもいいのではないのだろうか.自然数は, 素朴で, 経験的な親しみも抜群だが, 素数をめぐる考察などを経て数学的に重要な位置にあると思うのだが, 反面, どっか数学的には孤立していて, 理論的にも整数論あるいは複素数論の傍らに取り残されたもののような感じだが, 見方を変えれば, 案外, 数学的な飛躍を秘めた存在として留保されているのじゃないか, という感じもしなくはない.その無意識のエネルギーが, 万札や缶コーヒーとなって, あるいは, ジャンクPCの当りとなって, 私の前に現出したのではないか. まあ, ラッキーなことなら何とでもいえるのだが, 感慨深くする.自然数は, 朝永『量子力学的世界像』にある量子力学的な「あるもの」を意味するウェーヴィクル(wavicle)のようなものなのか, どうなのか? などというような.

実際, このジャンクPCは新古品という感じである.テンキーの割あての切り替えもネットのトラブルシューティングですぐに解消である.さて, 他愛もない報告はこれくらいにして, 積み残したテーマは山ほどあるので, 困ることはないが, 積み残すだけあって, 思うに任せない面も多々あるが, おいおいまとめていくことにする.

個人的な記憶なのだが, 日本経済のバブル前夜なら, 白のロールスロイスの銀行詣だろうけれど, トヨタのクラウンの年代物の有力企業や大学詣では, 誰なのだろう? 詣でなのか, 「お成り」なのか知らないが, 案外と有名な人物かもしれない.知らないなんて, その筋じゃもぐりよ, といわれそうな有名人かもしれない.ちょっと, 気になっているところである.やくざ本のネタにはなりそうであるから.

私には,意外と,そういうことには天賦の才能があって,例えば,山口組4代目かの母子の東京詣でとか,ロールスロイスとかクラウンのカクカク年代物とか,そういう車とか,サムエルソンのお忍び来日を羽田で見かけたとか,岸恵子と電車に乗り合わせたとか,松田聖子を渋谷駅で見かけたとか,まあ,見かけただけなのだが,不思議と時代の節目の象徴的な場面に遭遇する. これは,天賦の才能とは言わないのだろうか. 

低金利政策はインフレ政策だから, インフレ(一般的な物価水準の持続的上昇)を本当にコントロールできるのか, あるいは, うまいことヘッジを調整できるのかとか,  例の経済学小辞典でみると, 経済理論的にはそこらが本流なのだろうけど, ハードオフで掘り出し物をえることができれば, ちょっとしたギャンブル感覚とお得感で, 経済理論も何も吹っ飛ぶくらいの経済人になれるきがする.インフレには所得インフレとか利潤インフレとか, コストインフレとか需要インフレとか, 物価上昇の速さによってクリーピングインフレとかハイパーインフレなど, 様々あるということだが, ギャンブルは意外と欲求を我慢したりシフトさせたり, 新たな組み合わせによって生じる利益に切り替えたりすることを要求されるめんも生じるから, 正統派の経済評論家のとりあえずの言い訳より, プチ体験学習効果が高いのかもしれない.

経済問題は, いつもそうな感じがするが, 経済理論が経済非理論と混合しながら, それでも, 一方向に流れていくのを, 経済評論商売の一時しのぎのために, カモな一般聴衆を洗脳していくやり口にみえる.外れようとどうだろうと知らんぷり決め込める.そして, 自分たちのオリジナルのように見せかけながら, 欧米の信頼筋の見解を後追いし始める.やくざカルト評論の方が受けがいいということになるが, 量子コンピュータやAIの話題なみの期待感も与えないと, 時代遅れと揶揄される.バランスである.うまくやればやくざ本はまだ売れる期待がある.ロシアが西側の分断をはかって, 自分たちの有利性を宣伝しても, 反応が薄いのは, ロシアの西側幻想に基づく決めつけがまとはずれだからであって, そんなこと馬鹿でも知っているが, それでもそれは違うことは馬鹿でも判断できることに, ロシアが自国の鏡にしすぎているせいか, うっかり気づかずにいることを気付かないからである.日本では, 保守系のカルトご都合主義体質のようなものである.何たら統一教会思想が, カオスな日本の共通の理想基盤であるともてはやしてた時期もあったではないか.島田(田島)陽子の乙女チックな人間関係や国家関係の桃源郷のようなものである.経済問題なんてものは, 所詮, 旧体質の体制的な保身保護主義のためのものだから, 欧米やソ連, そして中国の権力の既得権の町内会広報のようなものである.中国もロシアも騒ぐ割にはスケールが小さい, 小物のカルト膨張的な感じがするのは, 核があるからなのか.

例えば, 所得速度て何なのかとか, 総需要が総供給を上回るとか, 需要の部門間移転(シフト)てどういうものなのかとか, むしろ, 企業側が把握できないから, 弱者へのしわ寄せ議論で隠蔽しようという感じが蔓延り出すのではないだろうか.これも, 経済問題は経済弱者の経済問題からの疎外ということにもつながるわけである.経済問題と言いながら, 意図的にかそもそも理解不足なのか, 受け狙いなのか, 言ったつもりやりたいのか, そういう都合のがれきの集まりような論調仕立てるのが多い気がする.経済問題の下方硬直性はカタストロフ(catastrophe)しがちだし, しやすいのであろう.量子AIがあれば, 即効, 問題は解決して, グダグダ論議も不要になるかもしれない.ロシアもカルトが蔓延っているという話はずっと前にあったが, 日本も韓チョンカルトの日本支配なんて理想を自公が掲げているというので, なんか, マッチしている感じがある.温存を図りたい森喜朗とかの一派が暗躍しているのだろうか.口先穏健派的な, カルトのお出かけ服と腹黒さが自然に身についている最近の論調は, 年寄りの時代遅れの感覚なのだろうか.島田陽子は永遠である, てえのは, 逆に, 年寄りにしかわからない感覚だろうけど.

 

メモリー,HDD無しのTVパソコンを1,100円で購入したが,ようやく,HDDとメモリー1GB二枚を手に入れたので,ギリギリ,YAMAHAの音源で音楽を聴けるところまではきた.すぐに故障するかもしれないが,雑味のないサウンドを堪能することにする.Windows10は,別のpcでHDDに入れて,そのHDDをそのまま取り付けたら立ち上がったので,両面テープで貼り付けたまま使っている.

 

フォークソングとか,キャンディーズとか百恵とか昌子とか,一部演歌とかまでで,明菜あたりからさっぱりわからなくなっている私には,「拝啓のこの手紙・・・」とか「桜舞い散る・・・」とか,ぼっそっといわれても,  売れそうな曲のイメージはあるが,到底歌えない. 

この白いページのなかに,パロディー思考の記憶を残そうというつもりだといってしまっていた記憶はあるが,ちょっと,忘れてしまっていた.

こういう年代なので,新型コロナで行動制限が緩和されたとか,活気がもどってきたとか,気分的には判るが,一方で,世界経済の混乱がみこまれているとか,ロシアのウクライナ侵略で,日本はグローバルサウス(地球規模の南という分断なのか磁極の反転の新たな地球のとらえなおしなのか,よくわからないが)以上に,成り行き任せとか,まあ,一部言論メディアが煽るほどのことは,そうそう期待できるものでもないのだろう. 言論メディアのほうもちょっと信頼ならんのも多そうだし,冷静に見れば,韓チョン北朝鮮バリのカルト支配を国是とする安部自公や野党とはいえ,さすがに森喜朗元総理のようなのは少ない. 口うるさく議論立てても,カルトやロシアの思うつぼ的な感じもしなくない. 早稲田の北朝鮮弁論閥の神輿の森元総理だからだろうか.

ロシアが第3次世界大戦を,ということは,ロシア自身の崩壊を人質に,世界の分断を利用して,中国とも渡り合いながら,ロシアの威光を維持していくのが決定的に困難となれば,ロシアも理性的な交渉のテーブルに着く可能性がひらけるだろうか.折角なので,グローバルサウスも中立的に中ロの政治軍事的干渉にはノーという態度を宣言するとか. 実際,それは,欧米NATOの参加なしでもいかないだろうから,ロシアの表向きの都合より,重要な気がする. 岸田首相のエジプト訪問でそういうことも期待されているようだが,当然のご挨拶なのだろう. 

私のパロディ思考の展開を図る参考のために,『意識と本質』(井筒俊彦著,岩波文庫)にある,本居宣長の「をこごと」と「物のあわれ」の本質論を解説してある箇所について,パロってみたくなる. 物の本質を極めようという,あるいは,仏教的本質を極めようという生臭坊主の詭弁は,確かに,「をこなれ」であろうが,政治家の計算能力のようなものだから,俗にいうアンチ,打算で物事を偽って敷衍しようとする,おもてなしパーク君とか,電通とか,森元総理とかが必ず現れる. 決まって,「法律に背いていない」という習わしなっている. それはそれとしても,「花の心を知る」とか,「木の心を知る」とか,あるいは「私自身の心を知る」とか,「水のせせらぐ音の心を知る」とか,「視界に開ける空間の分節された見え方の心を知る」とか,直接無媒介的直観知といっても,その不徹底性が,「前客体化的」具体性を通じて,「本質」の二元性を峻別する. 本質をはっきり意識的,方法論的に分けて,二つの本質を「マーヒーヤ」(普遍的リアリティー)と「フウィーヤ」(個体的なリアリティー)という術語で区別する哲学伝統が「イスラーム哲学」である,とつづく. 「いかなるものにも,そのものをまさにそのものたらしめているリアリティーがある」=「本質」と簡単に置けない何かがあるのか,回りくどい気がする. 哲学者ぶって言えば,「リアリティーとは何ぞや」てな感じだろうか. 

本質に浮遊した存在が人間なのか,人間に分節され浮遊する存在が本質なのか,どっちやねん的な,ポエジーの波紋を眺めている感じもしてくる. 揺れるススキを見たから,夕暮れどきの道で一瞬ぎょっとしたのか,ススキだと薄薄わかっていたから,光って見える木の葉の一つが切通の壁に存在することを知ったのか,「Xは,一瞬ぎょっとする感情を結晶するものである」なのか,「Xは,光る木の葉の存在を予定するものである」なのか,なぜ「X」はそのように現れたのか. 私の経験的には,こっちの方が謎である.

芭蕉がフウィーヤの立場を徹底して,あるいは,その危うさをあるいは知ったうえで,退廃したマーヒーヤを拒絶する立場を貫き,「物の見えたる光」の開示を感性することで,マーヒーヤをフウィーヤに変換する. ものの「本情」が開示される瞬間に立ち会う的な感じだろうか. 「一期一会」とか「不易流行」のほうがわかりやすいのかもしれない. 私のパロディ思考の変換理論に使っちゃおうかなという誘惑を感じる. ゲシュタルトチェンジといっても,「ゲシュタルトは全体である」だっただろうか,記憶がはっきりしないが,私のパロディー思考は,全体なのかどうかもわからない代物だから,「変換」ということでもいいのではないだろうか. 

私のパロディー思考は,類型化も階層化もされていないのだから,座標軸の原点のように考えることもできない. 縦にも横にもかからない. ラマルメや宋儒にみられる本質追及の件(くだり)は,裏返された究極から再び自らを「意識しているもの」にする,うっすらとしたグラデーションのようなものにしか感じない. 「あそこに咲いていた花の本質は,意識するものになった私に再来することであるが,存在を予定されているのは,光ったように見える木の葉である」. まったく関係のない「本質」と「予定」が矛盾的に結びつているような意識主体に私を再生している感じなので,困ってしまうわけである. 

「おい. ススキの俺を忘れてるぞ. 考えてもみろ. 俺が,どうだ,びっくりしただろうと言わずに,光って見える木の葉にお前は出会うことになると言ったから,お前は,その木の葉の存在の予定性を知ることができたのじゃないか」と,ススキがいったかどうかは定かでないが,そんなことは,神ならざる身にはわかりようもない. もちろん,「原子論」と「因果律」をめぐる形而上学的な論争のくだりを,パロってみたわけだが,現代科学でも,原子の規定を少し違った形にして,因果律の成立しない領域まで突き進んでいるということや,「荒野に呼ばわるものの声」とか,聖書の解釈にもつながりそうだから言ってみたのだが,あるいは,ススキはそういっていたのかもしれない. 聞き洩らしていたが. 

しかし,ススキがそう言っていたとすると,ちょっと無視されていたススキの存在は,再来した花や光って見える木の葉と同様に透明に感じられるものになる. 私自身は,「本質」と「予定」の矛盾的な結びつきに金縛りにされているような意識主体となる代わりに,ススキのちょっと無視されていた分節を透明な次元で復活させてやることができたことになる. めでたしである. (x,t)ではなくx_1t_1, x_2t_2, ・・・の透明性のような分節次元の変換をかんがえればいいのだろうか. 「X」はススキである. が,ススキ自身の言葉で分節された世界にあるススキである. ということだろうか. 「私(ススキ)のおかげで,お前のパロディー思考は,分節次元の変換理論を手に入れたことになる」と,ススキが言ったかどうかは定かでないが. 有-本質的分節から無-本質的分節への次元変換,分節(I)から分節(II)への次元変換ということが述べられていたので. 

「花が咲いていた」こと,「木の葉が光って見える」そして「ススキにぎょっとする」ことは,半透明なイメージを喚起されるのだが,「花が私に再来する」こと,「光って見える木の葉が予定される」こと,そして,「ススキ自身の言語で分節されたススキ」をパロールすることは,半透明としての私の再生と透明性の網の目のような言語世界との往還のようなものである. そのような往還の間に,私は,幾ばくかの距離を歩いたわけである. 

まったく個別偶然的な出来事を構造化するような構成を語ることになるのだから,まったく透明な意識主体では,却って矛盾することになる. 

「'a」は,存在分節の幾ばくかの距離を表している,ということにすれば,「'a(p,q,r, .......)」は「~(p,q,r,......)」,  つまり,p,q,r,......に往還する距離を表していることになるのか,単に,「~p, ~q, ~r, .......」をまとめて書いた記号に過ぎないのか,なんてことは,「V」とか「Λ」とか「→」とかに,距離的差異を設けることなのか,論理価の変換則を示しているだけなのか,という疑問を,「そんな疑問に意味はない」という非分節的分節を定位することで,疑似的に母型化するだけのことなのか. 母型といってしまったが,「存在の「元型」的分節の基礎単位,あるいはそれの喚起する根源的イマージュ=「セフィーロート」の構造体系」という意味の「元型」とするべきであろうか. 

空海の真言密教の教え,「阿字真言」とか「阿字本不生」とか,根源的イマージュである大日如来の言葉こそが,絶対無分節者の存在分節エネルギーである,とか書いてあるようなので,この距離は,大日如来の言葉のどこらまでの派生にある距離なのか,神仏ならざる身にはわからない. しかし,神仏ならざる身であればこそ,ススキ自身の言葉で分節されたススキを,私のパロールが構成する構造として分節しなおすことができるのじゃないか,という感じが生じるのである. 私のパロールは,そもそも,歴史構造体である,てな感じだろうか. 

「「ア」(a-)はサンスクリットでは否定を表す接頭辞である」. 「「アーレフ」は,神的言語そのものの初点,すなわち世界創造に向かっての神の最初の動きを表示する. ・・・. 空海の阿字真言にならって,「アーレフ」真言と名付けることもできよう. だが,「ア」は一個の母音. これに対して「アーレフ」は「ア」という母音そのものの発音を起こす開始の子音である」. 「ラテン文字に転写するときは,例えば 'a のように,印を付加してそれの存在の指標とする」. というようなことが書いてあったので. サンスクリットは知らないが,また,「アーレフ」と聞くと,オウム真理教の分派を思い出しそうであるが,私にとっては,「ススキ」とのディスクールのようなものである. 

そもそも,私のパロディー思考が生み出したディスクールなので,自己つっこみどころは満載であるが,例えば,「ススキ自身の言葉で分節されたススキ」とは,ほんとに,「その木の葉の存在の予定を知らせてきたススキ」なのか,「光って見える木の葉といっても,それは,たまたま,光線の加減で,たまたま,ススキと話した気分の私に「予定性」として印象付けられただけではないか」とか,「再生された意識主体としての私に再来したあの花」も,たまたま,何を思ったか,思い出しただけじゃないかとか,まったく,その通りなのだが,それじゃ, 事実として,私以外の人間には,全く体験されることもない妄念なのかといえば,そうとも思えない. 曼荼羅をみても,へたくそなデザインだなあとか,どっちかというと,有名画家の水墨画の方が値が良さそうだなと,私は感じても,大日如来を象ったご本尊ぽい絵を鎮座させている仏壇もあるじゃないか. 神仏以前の可能態としての神仏を見るか,所詮,神仏の本質的無を見るか,曼荼羅を見て,私は,正直いって,そういうことを感じたことはないのだが,ススキとのディスクールなら感じたことがあるということを言ってみたかったのである. 

元型リビドー(深層的エネルギーということなのか深層心理的な活力ということなのだろうか)に流された流動するディスクールとしての「数体系」なんて考えたら,足し算とか引き算はとにかく,微分とか,積分方程式とか難しい数学に心理的摩擦が生じそうで,理系向きではなさそうな気がする. だが,案外,信心深い理系プロパーは多いらしい. 

ユダヤ教の宗教改革にあたりそうなカバリズムの術語である「セフィーロート」,「神の内部構造を原初的に規定するそれらの「元型」をカッバーラーの術語で「セフィーロート」という」. 根源的な諸元型の連関的構造体系といってもいいのだろうか. そういうものとして,曼荼羅と同様なものである,ということらしい. 

「絶対的無、無そのものとしての無、ではなく、限りなき有への展開に向かってのーーーしかし、まだ展開が現実にはまったく始まっていないという点では、依然としてそこには一物の影すらないーーー無。すなわち、無限の展開可能態としての無、それが「エーン・ソーフ」である。・・・。まさに真言密教にいわゆる「本不生」。・・・。絶対無分節者が自己分節し、未展開の有が展開するとき、その展開の第一次的段階で、すなわち経験的世界が出現してくる以前の段階において、有は先ず「セフィーロート」的構造体として現出するのだ。」それは,表層意識的にしかとらえられない者には,ファンタジーに過ぎない。私は,ススキとのディスクールの流動までは感じているので,ちょっとリアリティーを感じさせるファンタジーといったところだろうか,どうだろうか. 

ヤハウェとか大日如来とか,所詮,突き詰めれば,ただの無に過ぎない. 例えば老荘思想などとかのそういう立場に対して,「根源的元型」の連関構造体に規定された「無」から「有」への分節を,深層的に多層構造的にとらえる立場について語られているくだりを,天にも昇る飛翔体験(シャーマンや霊媒師の霊的体験らしい)のない私のパロディ思考の,ピエロ的な風景描写として,物語ってみたわけだが,「深層に向かって幾重にも延びる多層構造とし、深層意識のそれらの諸層を体験的に拓きながら、段階的に移り変わっていく存在風景を追っていくというところに、」イスラーム自身をも含めて、東洋哲学一般の一大特徴がある,ということらしい. 

科学なら,公準とか定義とか定理とか,現代論理学なら,そんなことには無頓着とか,そいう風景と哲学的風景の混然とした感覚が悩ましく感じるところであるが,そういうことにも,ある意味,無頓着な私のパロディ思考の風景という感じだろうか. 

私の風景は,当然,神仏でも高僧でもないので,絶対無分節者の本当の姿など知りようもないが,セフィーロートとか曼荼羅に示される,根源的元型の連関構造体と絶対無分節者の本当の相互関係などは見えようはずもないが,「場の量子論」という物理の理論とのアナロジーをみることはぼんやり出来るかもしれない. 「物体やエネルギーの離散性と原子レベルにおける時空の連続性が両立することは,非相対論的量子力学における第2量子化の形式によってもっともよく示される」(湯川著,「原子論と空間・時間の分割可能性」)ということから,あるいは,根源的な地点からいくばくかの距離に実在する世界の風景を見渡すことは出来るかもしれない. 場の量子化あるいは第2量子化というのも,真空の縮退だの,粒子の生成消滅だの,その内的構造は怪奇に満ちていそうなことが書いてあるので,案外,似たような深層的な類似性があるのかもしれない. 直訳的に,「ますます増加する粒子や共鳴粒子は,特定の場をいわゆる基本粒子(素粒子)の各々に起因するとする便宜的なスキームを認められないものにしている.」そして,ほんのいくつかのいわゆる素粒子だけを基本的なものとみなし,その他の粒子や共鳴粒子はこれらの基本粒子の複合系であるというモデルの模索'(例えば,坂田理論とか)から,クォークモデルまでに至る. ここらも,最終的なものではないにしても,宗教哲学的な根源風景との類似を感じないだろうか. 

古代ギリシャの原子(atom, atomos)のもつ3つの属性は,不可分性(それ以上分割できない),恒常性(生成消滅しない),空虚に対立する実体性の3つであるが,素粒子は,例えば,生成消滅を認めなければならないのだから,その属性のままでは,古代の原子という概念には当てはまらなくなるわけである.

「アイソ空間での回転対称性を荷電独立性という.」「スピンが空間における対称性と結びついてよい量子数になることを踏まえて,アイソスピンでもアイソ空間での回転について系が対称なことと結びつく.」「新粒子の発生に関与する強い相互作用は,アイソスピンを保存するよう,いわゆる荷電独立性の性質を持ち,他方,新粒子の崩壊に関与する弱い相互作用はこの荷電独立性を破るものとされた.」そうすることで,中間子や核子と共鳴粒子などの新粒子を区別するストレンジネス(奇妙さ)という新たな量子数が発見された. (岩波講座10,『素粒子論』)

いわゆる素粒子のズーロジーとか,新たに発見された粒子の奇妙な性質を説明するための理論であろうが,感じとして,セフィーロートと根源イマージュ(ヤハウェとか大日如来とか)のくだりに似たものを感じるわけである. 奇妙さとかチャームとか,アップとかダウンとか,トップとかボトムとか,奇妙な問題に直面する度に,理論的な対応を考え,新たな量子数を整理していく感じだろうか. 根源イマージュ自身の奇妙さがセフィーロートの交通関係とどう関わり合っているのか,規定し規定されるものの霊妙な相互関係はどうなのか,セフィーロートや曼荼羅を見てもよくわからないのであるが,私のパロールは歴史構造体であるのである. 

不変性と対称性について,根源イマージュとセフィーロートの関連では,根源イマージュの無限の能力をとりあえずフェードアウトして,セフィーロートという連関構造体の規定を受けるものとされているようだが,セフィーロートという根源的元型の連関構造体には,生成や消滅,ある種の変換において不変であるような普遍性の間の関係の一種独特な飛躍を経て描かれている感じがする. 現代物理では,重力子やHiggs粒子にあたる,ゲージ不変性やヒッグズの機構(対称性)にまつわる話に類似している感じがする. 根源的元型の根源的不変性の破れに起因する対称性であるわけだから,根源イマージュの被規定性も結構えぐいわけである.

私のパロディー思考の経過を辿ると,「その思考は論理の破綻を蔵している」という,ススキならざる者の否定が出現してくる. では,その破綻はどこにあるのかと問うと,「あそこら辺に浮遊しているものである」と指示してくる. とすると,ススキと予定された木の葉の道行きの中間あたりかと,歩いて行ってみる. 「何もないじゃないか. 感じだけは残っているが.」でも,論理破綻の場所は,ここの地点より以前のどこかになくてはおかしい. 彼の地点は一体どこだったのか. そもそも,なぜ,私のパロディー思考が,論理性を持っていると決めつけられるのか. 思考の知覚と論理性の道行きの経過は本当に存在するのか. お前の思考はあそこら辺に浮遊しているものによって破綻をきたしていると指示されて,すぐさま,どういうことかわかるものなのだろうか. 

「ところが存在がかく普遍的なものであるのは,媒介態ないし否定的なものを具えることによってであるが,存在がこの否定的なものを表現するのは,その直接態においてのことであるから,存在は他から区別され限定せられた一つの性質である」(金子武蔵訳『精神の現象学』)

存在は自由性である. 私のパロディー思考は,語らいであり語らいを我が物にしようと欲する限り不自由である. そこでは私の自由は無であるが,自由性を保存した無である. というと,「私は神である」と言ってるのと同じことになりそうなので,「神オシではない」オジイである. 要するに,未だに論理破綻した場所がわからない. というより,どういう論理性なのかわからない,というわけである. アウフヘーベン(止揚),否定と保存,の瀬戸際で微睡んでいるのか飛躍しようとしているのか,「日常間断なき生活であり営み」の惰性である. 


久々のWindows

2022-07-09 11:37:26 | 科学(Science

安い中古のパソコン買って,最新のWindows11を体験しようと,ちょこまかといじっている.最初音声が出なかったが,同じドライバーが2つあったので一つ消して再起動したら,治った.設定等もチェックして,必要に応じて変えた.PCの性能は期待できないスペックだが,一応サクサク動いている.

Windowsは,それこそ久々なので,長年使っている人が戸惑うような点については,そもそも気にかからない.動作は,スムーズ感がある気がするが,ウイルスだの,不具合が生じやすい症状だの全く不慣れなので,大きく違和感がないかどうかだけ気にしている段階である.多分,些細なことで引っかかるのだろうが,例えば,アイコンドロップがピン留めとか,早晩慣れるだろうと思うことにする.

 

世の中は,奇しくも,戦争と感染症という大きな話題を軸に騒いでいるようである.大きな話題は,リアリティーを薄めて,モヤが晴れた頃には,しばらく視界を奪われた自分だけがボーッと立っているということもよくあることだが,それも一つの真実なのだろう.

PCの中古ショップに出かけたついでに、久し振りに,モールの中にある本屋で,『ワインバーグ 物理学講義』(上)(下),ちくま学芸文庫を購入.量子論の本は,黒体輻射から,紫外破綻あるいは確率の発散のような問題を内蔵しながら,相対性論と量子力学が誕生していく経緯に読者を引き戻す.素粒子とか準粒子とか,物理の統一理論とか素領域論とか,重力波宇宙論とか,目まぐるしい成果の報告が続く中で,黒体とは何ぞやという,地味な問題に引き戻される.だから,つい,こういう本を買っちゃうということでもあるのだろう.

新型コロナに関しては,3回目,4回目のワクチン接種や小児へのワクチン接種の影響とか,抗原シフトや免疫細胞の交差認識や免疫記憶の持続期間など,依然として,オミクロンや今後の変異株でも維持されそうだが,はっきりとはわかっていない.だから,注意深く調べていく必要があるという趣旨のようである.

ロシアのウクライナ侵攻については,プチロシア体質の日本の政治やメディアにおいては,何も真実は伝わらないという状況の維持に以外にないから,さっぱりわからない.要は,人道支援か,極右化するか,そこらごまかしながらやっていくか.中国だけでなく日本も踏絵踏まされてもバカらしいから.業者手配の論評しか伝わらないわけだから,日本も踏み絵踏んでねという業者しかないわけだし.コロナもウクライナも的外れな論調だけがメディアでは重宝がられる.チャンコはハズレがない.鍋料理は大方美味いから.政界や法曹界や学界のお荷物だから,メディア業者は利用しやすいという構図なのだろうか.だったら,中国とスタンスは同じということだから,そこらをどううまくベールに包んでしゃべくるかだろうから,いい商売である.

ウクライナとロシアをめぐる地理的・歴史的事情は,高校の歴史で少し学んだくらいで,匈奴やフン族の東西ヨーロッパへの衝撃とか,

杜甫の絶句

江碧鳥愈白 山青花欲然 今春看又過 何日是帰年 

とか,

送元二使安西 王維

渭城朝雨潤輕塵 客舎青青柳色新 勧君更盡一杯酒 西出陽關無故人

とか,敢えてその詩情に通じる趣を感じる.要は,本当のところは,よく分からないが,キリスト教会の東西分裂など世界史に大きな節目を引き起こした存在があったことは確かなのだろう.紛争の火薬庫でもあり,文化や物流の活発な交流の場でもあったのだろうか.ロシアの中でもウクライナ人の占める割合は高いらしいが,ウクライナへの侵攻は,ウクライナという国家を,内向き外向きのハイブリッド地帯のようにみなして,周辺情勢を含めて,ジョーカー(オールマイティー)のようなカードに使うという感じなのだろうか.戦争は平和のドッペルゲンガーである的な話になるのだろうか.ナチスはドイツ人にとってもポーランドにとってもナチスなのだということだろうか.

戦争を経済の,政治の,あるいは宗教のどの産物と見るのか,という設定は,マルクスかマックス・ウェーバーかのような論争に代理されている感があるが,現実には,どれもが複雑に絡み合いながら,それぞれの運命を辿る混合や融合あるいは分離の,ケイオスのようなものなのだろう.イスラムから見れば,イスラム支配がモザイク化していくということだろうし,キリスト教(教会というべきなのだろうか)から見れば,地域化が進むということだろうし,それぞれの進化の断層の種が撒かれるということでもあるのかもしれない.統一を求める欲求は,キリスト教でもイスラム教でも,共通しているのだろう.こういう問題のとっつきにくさは,私自身が宗教にあまり関心がないことからなのか,問題自体が,そもそも,とっつきにくい構造をしているからなのか,そういう感じが付き纏う.軍事侵略をロシアの演劇のように見る見方もあるのだろうが,演劇なのかどうかも実証を必要とするのだろう.ロシアの側は,ウクライナの極右分子の掃討と抑圧の解放といい,ウクライナはウクライナからのウクライナ人の殲滅がロシアの目的といい,そういう舞台回しが成立するのかどうかは,実証されるべきことであることに違いはないと思うのだが,そういうことには全く疎いので,高校歴史どまりの単なる感想である.

国家間の,また国家群間の紛争には,法的に裁断できるような完備された法体系は存在しない.法的事案として提示できるかどうかの根拠も存在しない.だから,政治的合意,暴力による合意成立条件の獲得以外に,現実的な判断根拠が存在しない.合意の成立が整うようにという欲求はあっても,武器供与や軍事的支援が必然となる.ウクライナにとっては,そのような合意成立の条件が,クリミアの奪還までの戦果ということだろうが,ロシアの合意成立の条件は,NATOルーシの樹立と一元的掌握などという,軍事的拡大主義という旧帝国主義への固執というものだろうか.もちろん,そんな対比は,否定されるものではあるが.

憲法改正が,兵器や兵器システムの現代化などの議論との対比で,9条が邪魔的な話になるが,憲法は,軍事レポートの取説ではないし,軍費調達の指南書でもない.タンクプラモやフィギュアのオタク気分で憲法を変えたり,論調を誘導されても困る気がするが,そういう論に与するのには,若手の保守系議員や保守系女性議員に多い気がする.好戦気分が新憲法を作るのなら,軍部クーデタを起こせばいい.自衛隊が権力クーデタ起こしそうな話になるが,多分,日本では,防衛族の駄々っ子クーデタということになるのだろう.老獪な長老議員は,若手を遊ばせながら,まあまあと手懐けるという定番劇が,5階の演劇クラブにはあるのだろう.保守党内ではそういう棲み分けがあっても,政権の理解や判断は異なるという,差別化も必要であるのだろう.若手議員も,防衛利権や,利権集団の便宜供与等目当てというのが実のところだろうが,長老も利権采配ということで,同じ穴の狢的な構図には変わりない.国民は,多くそういう風に見ているのじゃないかな,と私は思ったりする.

「ハイブリッド」という「雑種」とか「混合」という意味の英語の意味が解らない.もちろん,普通の意味では,現代戦はハイブリッドであることに変わりないのだろうが,「多民族国家であるロシア」のハイテクとローテク混合という意味なのか, やっぱり,どうこういっても,ロシア中心の西ヨーロッパ支配という,ロシア世界革命の幻想なのか,キーウに核配備したNATOとアメリカに対して,ロシアは当然の「国際危機」を醸成しただけだと,プーチンはパレードの演説で言っていたとおもうが,欧米NATOとロシア(ルーシ)の核決着への言及というのではないのだろうか.プーチンが発言しているのだから,習ペイさんも同時に発言したという事実と同じであるはずである. 中国もロシアも国際新秩序の老害であるという議論の決着は核決着である. そういう文脈に比べると,ロシアは半導体が老朽化して,日本製のカメラとか洗濯機の半導体を改造して使っているのじゃないかという話題は,パナソニックだって,ビエラの細密画面を,昔は,ソフトウェアー的な裏技というような感じで,pc雑誌の記事にもあったような,あるいは,メモリーアクセスの壁を超える裏技的なことも雑誌に書いてあったが,そういう技術を製品として公式のものにしたわけだから,軍事的にどの程度の範囲まで有効かは知らないが,類似した話題のような気がする. 

独裁者と退廃は古代から付き物のようであるが,ネロ皇帝とか,第二のネロというべき,マルクス=アウレリウスの子コンモズスとか(『世界の歴史2 ギリシャとローマ』中公文庫参照)。自らを神格化したり,自分のきにいり側近だけでなく,新参の軍勢力を重用したり,文化的なあるいは美的な豊かさを演出したり,手当や待遇を厚くしたり,はては,そういう勢力間の利害抗争によって気持ちの遠ざかった妾と近衛兵に殺されたり,芸能ニュースのようなこと満載である. 骨肉の権力争いで兄弟や身内を殺したり,近しい金持ちを殺して横奪したり,独裁の欲望と見せかけの政策の間の矛盾のために,血なまぐさい結末を周りや自分自身に招いていく. 「アメリカとロシアの間に,キューバ危機のときのような情報共有は存在していない」というようなことを,ロシアの外相が言っていたが,だとすれば,上記のような状況が一番考えられるということになるのかもしれない. そして中国と. プーチンやその取り巻きが,本当に,そういう退廃主義というのか耽美主義的な神格としての自己陶酔に陥っているのか,わたしにはわからない.ちょっとうらやましいは面はあるにしても.

しな垂れた祖母や妻より若く魅力的な妾のほうに男は心奪われる. 孫や夫を子や夫を掌で転ばせていると思いたい祖母や母や妻は,若い妾と激しく陰湿な闘争を繰り広げる. 祖母や妻に当たるのが,元老院だったり近衛軍だったり,利権を手中にしてつき従っていた勢力だったりだが,妾に当たるのが,新興勢力や商人だったりする. そういう妻妾の抗争の最中に,経済や政治の合理性が顔を出し始めては,潰れ崩れていく. これが歴史理解というものである. もちろん古代の事情と現代では異なるだろうが,賽の河原の石積みのように,経済であれ政治であれ,進みすぎた経済および政治の理論的状況との乖離は,問題を紛糾の輪廻に変えるわけである. 日々累積する軍人であれ民間人であれの犠牲者の傍らで,現状追従の論調とともに,理性と合理性は潰れ崩れていくわけである. 現代科学のいう量子とか,粒子性と波動性というものかもしれないし,個人主義というものかもしれないが,血の犠牲の山の上に,常に輪廻しながら変異した合理性の幻影なのかもしれない. 合理性の幻影は,全体主義の歴史にも個人主義の歴史にも存在しているわけである. 神々の交わりは,神の子を産むのか悪魔を産むのか,ちょっと足らん人間の子を産むのか知らないが,人の子であることはそう単純でない. 帝国あるいは国家ですら,キリスト教国であったり,支配されてイスラム教国になったりするわけだから,極東のローカルな日本の天皇制国家群体制が,神道であったり護国仏教であるのと同じような事情に見えたりする. 宗教がそのような形をとることは,人類共通なのだろうか. 勝利の中に敗北を見定め,敗北の中に勝利の芽を発見するといっても,敗北も勝利も我が中になければ,成立しない非対称性のロジックにはならないだろうか. そこに現実は座せないというような.

例えば,橋本元総理大臣のころから,外国人労働者を積極的に活用しよう的な話になっているのだが,表向きは,信頼性の高い専門の知識や技術やハイスペックの人材に限ろうといううたい文句の実は,主要都市の駅前は違法滞在外国人のコロニー化したり,中国や東南アジアや中東マネーの闇経済化したりを呼び込んでいる的な状況になり,ネット詐欺や制度詐欺が横行している状況なわけだから,中村勝範とか内山とか,右翼論客や学者アドバイザーや闇利権依存勢力の商売もどきで,日本は混乱に陥れられるという,バブル以前のポピュリズム右翼のローカルな懐古趣味的状況なのだろう. 永遠の美空ひばりとか石原裕次郎とか,やくざ世界の伝説じみてる気がするが,そう実質があるとは思えない. あおり運転も元暴走族だけの話ならわかりやすいが,そういう連中はむしろ紛らかしかけたいというのもあるのだろうか. プールサイドの宇沢弘文はどっちサイドだったのかとか. ちょっと見かけただけなのだが,ある意味謎ではなかろうか. 当時そういう認識があったどうかは疑わしいが. 京都大の右翼にも似た感じを受けるが,四条河原町はメジャーでも,大島渚とか京大右翼なんて過疎田舎(マイナー)なのだから,そう力まんでもいいと思う. どうでもいいことだが,私自身は中立でもないが,右翼でも左翼でもない。所詮,学者であれなんであれ,ポピュリズムのご都合宣伝とその手駒連中のやってることだから,そもそも,右翼も左翼もへったくれもないのだろうが.中村勝とか内山の指南を受ければ,ドバイやインドネシアに逃げ果せるとしか考えてな連中だけが取り巻きだろうから,日本社会も経済もよくならない.バブルも弾けたけど,少子化で心配かけているけど,外人犯罪も便乗犯罪も増えたけど,ごめんちゃいねの一つもない連中だから.橋本とか老人特有の偏屈かな痴呆な連中だから.

どうしても,ロシアのウクライナへの軍事侵略の話題に気が向いてしまった. 帝政ロシアというよりむしろ古代ローマ帝国時代のような,プーチン皇帝の話が,当初は語られていたようだったので,歴史辞典(西洋史辞典や山川世界史小辞典だが)や前掲の文庫本を読み直して,ちょっとパロってみた. 古くまでたどれば,歴史学的にも謎を残した歴史を持っているのだから,むしろ,これからの国際秩序の創造を担う一つの軸となるような地域に復興してもらいたいものであるが,それにしても大きなプロセスである. 古代史からたどれば,シリアやイスラエルのあるいはインドできれば中国までの動向も影響するのだろう. 

 ロシアが何故対立を深め,欧米のロシア侵略をいいながら,コロニー国家を都合のいいように配置しながら,そこがネオナチに蹂躙されているというので,軍事侵攻を決行するという話は,強国としてのおごりなのか,窮状を抱えた無法国家の意固地なのか判断つきかねる.

ロシアの役割や立場の主張や要求が,EUやNATOに却下されたから,軍事的な現状変更を突き付ける目的なのか,本当に孤立してでも,我を通そうということなのか,どちらも,結局,台無しになりそうな選択をしたのか,いまだはっきりしない. そこが,ロシアが核使用をちらつかせる核戦略なのか,核のカードなのかもはっきりしない.

ロシアは,マルクス主義国家ではないのだが(プーチンがそう言っているのだから),旧ソビエト連邦のころから,政治と科学のスタンスには,奇妙な違和感を感じることがある. マルクス主義も科学,ここでは自然科学,を論じていないわけではないが,それがまた,科学より政治イデオロギーというようなキャンペーンに使われて,何が議論されているのかさへ,もはや,どうでもいいこと的なムードが蔓延する. エンゲルスの自然弁証法が,マルクス主義の自然科学論の主柱ということなのだろうが,実際,自然科学自体は,そういう制限では動いていないのだろう. 理想的進展というものがあるのかどうかは疑わしいが,兵器工学だけが科学だ的なことは,もちろん欧米やロシアの科学者も考えてはいないだろうが,戦時の兵器へのウェイトだけでなく,科学全般への議論が明確な論点を持たない印象が強い. <アインシュタインの関係, E=hν - P>がもたらす科学的な結果の明確性とともに,さらにまた一層の曖昧性というような論点になるのだろうか. アインシュタイン自身も間違っているというより,判断がぶれたりしてこともあるらしいが,結局,そういういたらなさも科学の結果に貢献してきたということが天才たるゆえんだろうから,科学の持続可能性と回復力が,もし,なかったとしたら,誰が科学なんてものを論じられるのだろうか. 現実などというものは論理破綻の集積だが,だからこそ,論理性に沿った観察が必要とされるのだろう.そうでなければ,統計性なんぞ何の意味もない.AIが論理性に沿った観察を学習したとしたら,人間にはそういうのは誰一人いなくても,構わないのかもしれないが.AI空間がもし作られるなら,論理破綻した現実世界から新たな論理空間への回廊を作るようなものではなかろうか.思考のエンタングルメントが,思考を破綻から未知の世界へ架橋していく感じだろうか.高エネルギーの創造的予言性においては,先鋭的に,そいう姿が現れるということだろうか.

経済の諸物象に時間性の問題が関連するなら,物価は,そのような関連のエントロピーの増大の目安を与える指標である,などということになるのだろうか. 物象性と時間の組の連関を観察して,その論理的連関を構築していくのが,経済学的考察というものだろうか. 物象性は,マルクス経済学の用語だから,今どきは,ほとんど死語のようなものだろうが,古典派経済学が,時間性の関連をほとんど取り扱えない理論として不評になって,ケインズ経済学が席巻し,そして,「ケインズ経済学は死んだ」と評されるようになり,そのうち,AIによって,より完全な経済学を作り出すのじゃないかと,密に期待している私がいる的な昨今である. 

「物価全体の理論を価値の理論と緊密に連繋させること」とか,「現在と将来をつなぐ連環としての貨幣の特性」とか,「貨幣の重要な属性はなかんずくそれが現在と将来をつなぐ精妙な手段だということにあり,貨幣の言語に翻訳するのでなければ,変化する期待が現在の活動にどのような影響を及ぼすか,議論を始めることさえできない」とか,ケインズは「一般理論」の中で述べているわけだから.

戯言でいえば,価値をvで表せば,(v, t)とか,pを価格とすれば(p,t)とか,ウェイト付きの(mv、t)の関数係数の関数係数方程式的な感じになるのだろうか. 量子AIコンピューティングとかあるいはバイオAIコンピューティングで成果が出せるような時代になればいいのかもしれない. 実際,私は,計算できないので,コンピュータ頼みではある.  時間性に対するヒルベルトの適当な有限性の要請というものだろうか. そうでないと,非現実的になったり,経済性が破壊されたりしそうだから. 

期待が将来の現金として実現するか,実現した価値はどう配分されるか,Y=aX+bはどういうグローバルなあるいはローカルな条件の下で設置されるかとか,埃っぽいさすらいのガンマンが,セールスマンなのか,巨大独占の諜報員なのか,小町をわたり歩く,人間ポイ人気キャラ(ホスト代わり)なのか,俗物時代劇やサザエさんにも,結構,経済の謎が潜んでるかもしれない. 俗物脱却は案外とそういううんざりするような俗臭の中に謎を感じる感性かもしれないわけである. 私もそうかもしれないが,大方は俗臭のままだろうけれど. 

ウクライナもそうだがロシアも美人さんも多いし,北欧もそうだろうし,セクシーなら,意外と中東に多いとか,ドイツ系美人はその新種のハイブリッドとか,もちろん俗説ではあろうが,なくしたくはない. セクハラである. 「お金のためよ」という,彼女らの悟りも一抹の真実があるのかもしれない. 男にとっては,桑原桑原であるが,馬鹿な男も,セレブなかっこいい男の断片としての現金であるに違いない. すべての答えは,彼女たちが思う以上に,男はバカであるであることである. 18禁である. 

G-W ... P ... W'-G'を資本運動の一般的範式とみれば,G' - G'' -W ... P ... W'-G'のようにして,順繰り退屈に繰り返されていくわけだが(資本を投下して,資材や労働者を購入して,流通はあくまで等価交換だから,価値を・・・P ・・・で表されるような生産過程,価値を付加するための生産を行い,(W+ΔW)ー (G+ΔG)で流通過程に帰っていくわけだから,G-W-GではなくG-W-G’が何故成り立つのか,簡略すれば,G-GあるいはG...Gでなく,自ら価値増殖する価値つまり資本,G-G’(あるいはG...G’)が成り立つのかというわけだから),こんなマルクスの退屈な範式にも,いろいろ論争があるらしいことを聞いたことがある.この範式で,マルクスの経済学は破綻をきたしているというような見解もあるらしい.あるいは,マルクスの論述は十分なものでないとか,素人から見れば,論争自体が成熟していないのじゃないか的な印象さえある議論があるらしい.確かに,資本論でも,ちょっと捉えにくい感じの論述の箇所であったような記憶がある.勝手な感想なのだが,やや単純化して,資本運動は成立していくという結論に飛躍して,複雑な要因の影響が,どうして資本運動の範式に物象されるのか,たどりかねる印象がある感じはしたことは覚えている. 都合よく言えば,資本の循環的運動は,資本の断絶的統一である,てな感じになるわけである.G'=G(g1,g2, ..., gn) ---> G''と回帰するわけだから.G''を改めてGと置けば,G-W... P... W'-G'という運動を繰り返していくわけだから.紛糾した論争があるのなら,連関表でもAIに作らせれば,論争自体はあっという間に解決するかもしれないが,経済的問題が解決するかどうかは,判らない.経済問題の解決とは,解決しないリスクに対する対価のようなものだから,解決できるなら,経済学者も経済評論家も失業する.(物価,賃金,金利)問題解決が,昨今の経済問題であり,その解決が望まれるわけだが,どれにもリスクを取らない前提での解決策の模索だから,解決しないリスクへの対価しか残らないではないか.まあ,ちょっとシャレていってるだけだが.

物価,賃金,金利が旬の話題だからシャレでいってみたのだが,ケインズでは,「弾力性(elasticity)」とか「利子率(interest  rate)」, あるいは,  金融市場での種々の取引で現実に成立する利子率である「金利(money rate of interest)」についての言及が特徴的な感じがする. マルクスでは,G...G’のG’をg1,g2, ..., gnと小分けして,調整されたG’あるいはG''として,資本投下として環流していくが, G(g1,g2,..., gn)としてG’をあるいはそのズレをみることもできるではないか,という話になるのじゃないかと考えたわけである.  当然,気づいていることとは思うが,簡単に,g1+g2+ ---+gn=G'なのだから,G(g1,g2,...,gn)は本来G(g1^(-1), g2^(-1),... ,gn^(-1))なはずだが,  将来的期待の実現値の関数になっているのは,確率論的解析でもなければ,成立しないはずである.  確かに,マスクスでは,確率論的観点は,塗りつぶされているような説明になっている気がする. そういう意味では,マルクスが,論理破綻しなければ,理論自体が本当に破綻する結果になったかもしれないわけで,資本物象とでもいうロジックが必要であったはずであると考える.当然,G’=G+ΔGのΔG=g1+...+gnと考えるべきだというてんもあろうが,結局破綻しそうである. 巨視的でも微視的でも,経済であることには変わりないではないか. あるいは,ケインズ経済学が「巨視的機構の経済学」であるのは,ロジックのこういう変更があるが故なのだろうか(『原典による経済学の歩み』,中山伊知郎,荒憲治郎,宮沢健一,講談社参照. 近経ではそうそうたるビッグネームポイ感じだが). マル経でも非マル経でもいいから,わかるやつが解明すればいいのじゃなかろうか.

7月8日,安部元総理が,殺害された. 犯人は,麻薬を服用していたらしい. 改造がんか3Dプリンターで自前で作ったかの武器を使用したらしい. 黒幕は,ヤクザなのか,新興宗教関係者なのか,闇利権が脅かされるという危機感のある連中なのか,あるいは,その筋の神輿の麻生か二階などが思い浮かぶが,おそらく詳細は議論されない. 報道関係は,そういうのの片棒担ぎだから,少しずつ事実関係を捻じ曲げて,印象操作に余念がない. 犯人のほうがかっこよさそうだから,報道のしょうもない利権便乗のかっこしいでは太刀打ちできなくなのじゃないかという危機感が表れている. チョンガキのお芝居がかったかっこしいに付き合っていられない. 安部もそういう雰囲気を感じていなかったのか,はっきりとしなかった印象であるが,二階会食あたりも,そこら筋の感じがするわけである. とすれば,田崎あたりは,安部殺されてよかったくらいにしか,腹では思っていない可能性がある. まったく,そういうことは犯人には動機としてなかったからとか言うにきまってはいるが,なら政治評論家なんて,しばらく出さなくてもよさそうなものである. 葬儀わたり歩く商売でもあるまいし. そういうのを世間は,みっともないことで顔取り繕ってるやつというわけである. 次は竹中が狙われることもなさそうだし. 犯人は殺人者だが,便乗して,すでに事実誤認でかっこしい捏造に利用しようとしている報道もある感じである. そういう報道は,報道の価値がない. 政治家は,黒幕筋の機嫌損なわなければ,鉄砲玉も飛んでこないことわかっているから,民主主義とか,言論の自由とか,言い訳にしているだけだから,小泉や高市あたりの芝居ががかった演技が受けると思っているわけである. ほんとに言論の自由守りたい奴は,そのうち,覚せい剤常習者に殺されることになろうが,今の政治家は,君らは,実のない政治家だから安全といわれると,安心して大口たたき始める. 安心するのはいいが,大口たたき始めるのは控えるべきである.

安部暗殺の犯人は,殺人を犯したということ以外は,いたって,良識人な感じがしてくる. 統一教会などというカルトやエホバの証人とか親鸞研究会とか,学園祭の看板で見かけるほかは(学園祭もAVカルト宗教団体化していそうなニュースもあったが,学校法人自体がカルトなのかもしれないが),事案が,例えば,詐欺とか,隠れ収賄とか,政治資金パーティーとかのような問題がちょっと目立ちすぎて,同じムジナっぽいメディアでも問題視されるとき以外は,ほとんど,韓チョンカルトの詐欺団体としか認識してなかったが,メディアやそれに乗っけている有名人てのが,チョンガキのおごりぽい態度が目立つのは,まあ頷ける. 

安部だの麻生だの,自民党古参格が,そして,メディアなどがなんかシンパぽいのが多いから,まるで,安部暗殺の犯人が,カルト教会員でないから,愚かな犯罪犯したのだという論調を作りたがっているように見える. カルト宗教の詐欺まがい犯罪への恨みが,犯人の誤りであって,事実上,政治家や経済界に庇護されて,正義なのは,カルト宗教団体の方なのだなどいうすり替えに,メディアの論調が変わりつつある. 麻生や二階が反省して自らの裏を告白し,メディアも自らを検証することが最初であって,朝鮮の属国民てな飼いならしやすい国民からの横奪で,上級国民きどるから,日本は沈没しかけることになる. なんてことも,くすぶっていそうである. そういうのだと知っていて,変なタレント学者をもてはやす学会や教育界ももうカルトC韓チョン資金のポチなのだろう. 民族がどうこうというより,倫理的に許せん感じがする. 犯人の家族に勧誘というのは,嘘や甘言交えて,その家族の人格を,あたかも信者の人格であるような既成事実に仕上げよう的な,姑息なやり方もやられていたのじゃないか,とむしろ同情する. メディアもカルト団体とグルになったような報道を仕向ける,ということもありうるかもしれない. アイドルとかは気持ち的には別として,芸能事務所の闇のような話になるのだろう.

ブルーレイでNHKの番組録画してあったのを観ていたのだが,御厨とか東大の偉い学者が出てきて,議会制民主主義へのテロ犯罪一辺倒に,いかにも,紋きり論述が敷衍されていたが,東大の体質なのか,御厨という教団庇護の学者の立場なのか,私は全く学問的立場の発言と思えない. 安部が国葬になるというのと,教団庇護学者の論述が正当だというのは,まったく次元の異なる話である. 戦前,韓国民を属国民扱いしていたに違いない日本の軍部が,鏡として,統一原理の正当性を裏づけているという話なのだろうが,御厨教授あたりは,気が小さすぎて正論に向かない. 小心者の異常者学者ではなかろうか.  良識ある国民の皆さんは,誰もそう思わないだろうことは想像つくが. ガキチョン並の教団知能と御厨クラスの知能が,奇しくも一致しているのは私には謎である. 東大えらいわけだから.

親父とお袋が悪いのか知らないが,日本人に産まれたことをそう恨んではいないが、最近の,ここは日本なのかなと思う事も多い.もちろん,日本人も個々多様なことは健全なことだとは思うが. それと,カルト宗教については,聞きかじり程度にしか知らないから,ディープな実態は語る知識はない(カルトは,無駄に著書が多い気がする. 文チョンなんたらだけでなく,池田大作なども著書だけは豪勢にある気がするし,コミック本並みに棚いっぱいに展示してある書店もみかけることもよくあったから. 私は買わないし読まないが).

大月の国民文庫の『資本論』と『剰余価値学説史』は,買ったのだが,そののちゴミに出されてしまった. だから,正確には,たどれない. が,夏休みは,クワインの論理学の本を,P→Qとか,まったく初歩的な段階から読んで過ごしていたが,科学哲学とかいまははやりなのかどうか,あるいは暗号解読の基礎教養という側面もあるのかもしれないが,昔の軍の暗号解読部隊出身の学者も多いのだろうし,そうなると,親とか先祖とかが大将とか少将とかじゃないと,どうせ報われないだろうし,無駄な読書ではあるのだが,あまり余計なことに気負わず読んでいた. というわけで,まったく,きままな個人的趣味でしか知識を求めたことがない. が,カルト関係の本に興味を持ったことはない. 知のはやりすたりは,中途半端な翻訳学問やら,カルトの便乗やらで,まあ,「ケイオス」てな感じのこともおおいのだろうが,アニメの方が,プロットがきっちりしてる感じはある.

当然,「罪を憎んで人を憎まず」てな論調になるのだろうが,罪を裁けるのは裁判,あるいは裁判官だけである. 司法への冒涜論議に転化しないことも注意が必要である. 容疑者も認めているし,正確には,まだ,犯行の動機なども裏が取れていないのだろうが,事実関係に嘘はなさそうだから,素人の判断で「犯人」とか「暗殺者(アサシン)」とか,私は言っているわけだが,私だから許されるのであって,政治評論だメディアのコメントとしては,不適切か,カルトシンパの論客の類のやることである.

オミクロンBA.5とかの感染爆発とか,ロシアのウクライナ侵略とか,物価高とか,不安な事だが,安部が殺されたから,バランスをとって,国論を調整してくれるような政治家がいなくなった.どれもこれも政治家は,安倍のせいで自分達が貧乏くじを引くようなことにならないように,神経質になっている.私は,政治事など,時間と労力の無駄ぐらいにしか,元来,思っていない方なのだが,事あるごとに,この国の論議はさもしく貧しいことが多いとおもっている.それでも,無関心はよくない事であるには違いない.第7波という感染の再拡大なんてないんじゃないですかとか,ウクライナなんてロシアにたちまち侵略されて,あとどうすればいいのでしょうかとか,右翼系の論客の一部には,盛に吹聴しているのもいるが,事実や他の意見には耳を塞いでいるのだから,議論になるはずがない.といえば,私の意見に同意しない変な論者は,事実や他者の意見を聞かない連中だらけだと,口先だけの言い訳で取り繕う.議論できる連中と思えない.と言っても,最近そういうの多いから,なんか,私は孤高の人格として産まれたのではないか,と自覚したりする.エヘてなわけで.

BA.1とかBA.5とか,オミクロンでも,全く別物と見た方がいいのじゃないかという論者もいたり,新型コロナ自体が,インフル並みとか,風邪並みのウイルスになっていて,もうフェーズが別になっているのじゃないかとか,どっち言っているのか,ほんとにそうなのか,大した根拠も示さず語られることが多くなっている. そして,感染拡大の波の谷間で,次の波はもうないのじゃないかとか,風邪と同じになって終息に向かうのじゃないかとか,勢いづく. もちろん,人間のやることことだから,愚かしかろうが,賢かろうが,結果に責任もとうが,舌出して逃げ隠れしようが,勝手かもしれないが,わたしは,たいした学者連中と思えない. WHOも,コロナの終息には程遠いという報道がある傍らで,日本だけは,新型コロナは実情,風邪やインフルとみていいというのだから,なにか中身のある話なのかどうかも判断つかない. もちろん,そん,そんな魑魅魍魎じみたメディア話だけで,日本の国民が,大慌てしているとか,分断しているとかということではないと思うが,それも,国会議員にとっては,ちょい票田だから,分断して,私に票回してねという計算なのだろうか. そういう計算は,国会議員や政治家には許されるし,末代まで手柄話になるのだろうが,私がやったら,末代まで,ドゲス扱いになると思うのだが,計算できないので,何とか難を免れている. ところで,片山さつきは,なんか,統一原理ではなく統一教会なのか風の自民党憲法改正案の担当だったようだが,さつきは統一教会信者なのかと,舛添に尋ねたい. 私は知らないし,詳しくないので,舛添なら知っているのだろうと思うわけである. 仮にそうなら,舛添は,さつき上級信者のおつき兼監視役であったという話にもなりうるわけで,政界も面白くなるのではなかろうか. たまに,そういう関係ポイ連れを見かける気もするから.

改めて,もちろん安部もカルト日本国新憲法なんて望んでいたとは思わないが,安部亡き後,どうなるかわからない. 安部暗殺犯も,そんな影響まで考える魂魄も尽きているという趣旨のことをいっているようだから,勝手に話を拡大してしまうことになるが,政治的,法体系,総じて,日本国には重要なことである. 日本は,欧米の友好的でない勢力から離反し,中ロや中東の反米勢力に参加するから,アメリカ軍は,属軍として日本の指揮に従え. そうすれば,何事もうまくいく. なんて憲法ができたら,日本は滅ぶ. 家族なんて金をだまし取るために都合のいい制度に過ぎないから,理想の家族像を憲法に謳いこもうとするわけだし,日本なんてどうでもいいから,理想の自立国家を謳うわけだし,まあ,特異なカルト団体の話題なのだが,日本国憲法改正論議も大して違わない感じがしてしょうがない. 

わし(サタン)が嘆かなければならぬほどの雑魚手下どもが,ワシの分身のような触れ込みで,奴らなりに頑張っているようじゃが,ワシはこれからあのジジイ(神)にあわねばならぬ. あのジジイのことだから,チクリと皮肉ってくるに違いない. ワシの格も地に落ちる. 何とかせねば. そうじゃ,神の軍隊はすべて,あのジジイを見捨てて,ワシの軍隊になっているのだぞ,とはったりかませてやろうか. だが,わたし(ここは私自身)はカルトの信者ではない. いうなれば,特権的な超上級信者並みの存在だ. しかし,カルト信者が少なければ,その希少価値はないに等しい. それはまずい. なら,自民党議員はみな残らずカルト信者だとすれば,超効率よく<希少性の最大値>を得ることができる,ウム,いい考えだ. そういうことにしておこう. しかし,教祖のようになると,麻原オウムのようなことにもなりかねない. そうだ,私はサタンの祝福を受けない孤高の神人格なのだ. 資本主義は悪魔なのか,共産主義が悪魔の体制なのか. 戦争は善か悪か. 私は超希少な神人格なのだ. 完璧だ. な,わけないが. 

 

*** 二人のロマノフ朝大帝ということが,プーチン演説以来話題なようなので,

一人目 ピョートル1世(1689-1725),Pyotr I, Alekseevich Romanov.

 1721年ニスタット条約でバルト海沿岸獲得. 農奴制の固定化の上に強力な絶対主義国家を確立.

二人目 エカチェリナ2世(1729-96 女帝にして大帝), Ekaterina II, Alekseevna Romanova. 

 ドイツ貴族の娘で,夫ピョートル3世を殺害して即位. 農奴制貴族国家の最盛期を現出し,絶対王政強化を企図. ポーランド分割. 露土戦争で黒海への出口を開いた.

両大帝とも西ヨーロッパへの傾倒とともに,バルト海や黒海という帝国主義的拡大への要請(宿題)もあるのだろうが,反動主義的な固定化にこだわるあたりが似ている感じ. 王権神授説のような話題で,「絶対」は絶対か? 的な論点もあるのだが,絶対を文字通り絶対にできるという意図があったのだろうか. decouplingともいえそうだが. 

*** システムの闇業者的な国家プロジェクトのお手盛り採択が,HER-SYSをめぐってNHKでニュースになっていたが,政治家や業界や省庁の闇利権が,露骨に表舞台で粉飾されることが多くなっている気がする. 結局そういうことだけが科学と政治の問題なら,統制国家のほうが横行しやすそうなのは判るが,そこらは,日本もプチロシア化している. しかも,目玉のITのシステムでも目立つわけだから,政治家も官僚も大経営者も,ドバイや東南アジアに逃げればいいと思う. 麗華ちゃんは無罪にしたいが,裏でしたり顔している政治家などは獄につなぎたい. が,一過性の問題として,無関心に仕向けたい. ますます,プチロシア感が出てくる.  国家プロジェクトの前田中理事長的なのが,裏ではばを利かせていそうな構図である. 日大は昔は東大の天下り学者も多いという感じだったから,構図的に似てくるのかもしれない. こういう悪事では,与野党なれ合いという構図も多い気がする. そこで,その対極に竹中や安部という大悪党を仕立て上げる. メディアも使っての与野党共謀の悪事の構図ではよく見かける. 大詐欺の企みの共謀とみれば,何の矛盾なく事は進んでいく. プチロシアン感がますます強まる. それが,一部にあるような詐欺家系の家業がコミュニティ化するような構図で,ネット社会が演出される. そのうえにのっかかったような政治家がいるに違いないと推理するわけである. 

 

ロシアのウクライナへの侵略,新型コロナオミクロン株の亜系統BA.5によるといわれる感染拡大第7波の到来とか,為替相場での円安とガソリン価格の高騰に象徴される物価高懸念,安部元総理の奈良での応援演説中に起った殺害事件,事件によって見え始めた,統一原理教会という韓国カルト団体と日本の国会勢力のあるいは経済団体あるいは学術学会等との根深い癒着とか,中古のウインドーズpc(SSDだから,変に快適に使い始めているが)購入あたりから,漠然とした雨雲が,途切れなく,たまに,その切れ間から積乱雲の真っ白い姿をのぞき見しながら,晴れれば晴れたで,殺人的猛暑による熱中症が気にかかる日々が続いている. 

経済の話題をネット動画で見ていると,日銀の低金利政策とか,急激な円安とか,すごく古い版のやつなのだが,『経済学小辞典』とか読みなおすと,カッセルの購買力平価説---「購買力平価(purchasing power parity)は,  各国通貨の対内購買力の比率のこと. 一般に通貨の対内購買力は物価指数の逆数としてとらえられるから,各国の物価水準を通じて得られた異種通貨間の交換比率つまり外国為替相場といえよう」---とか,マーシャルのkとか(貨幣の所得速度(income velocity of money)の逆数のこと),超過利潤とか正常利潤とか(企業は,長期的には,経済合理性に沿った行動をする,ということだろうか. 超過利潤が0となることが長期均衡の条件だから),どういう理論的な連環で結びついているのか,やたら難しそうだが,日本は,それらの連関の新結合で政策を行うという,異次元の政策スタンスをとっているということなのだろうか. 経済自体が大分変ってきたから,古い理論を当てはめるだけではうまくいかないこともあるのは判るが,新しい結合も有効かどうか,だれも説明できないというのでは,どういうやねん,ということになるのじゃなかろうか.

統一教会,確か,私たちのころには,統一原理とか言ってた記憶があるのだが,アル中ぽい女の子に声かけられたくらいしか関りがないのだが,政治や大学などの学問研究への浸透を,報道などで聞くと,実際は,もっと,癒着がひどいんじゃなかろうかと思う. 報道の方も怪しいものだが,表向き,それくらいのテーマまでは扱うのだろう. 統一教会のシンパだから,その大学の名誉教授になっていそうな心理学者もいるような気がする. それどころか,交友関係や,日々の行動まで捏造されて,どういうわけか,それを真に受けるような教授連中さえいる始末である. 大体,私は,そんなとこ行ったこともないし,話聞くと,誰の話なのかと思うようなことも平気で既成事実化しているなんてこともあった. しかし,嘘だろうとどうだろうと,そんな真偽は取り合わないてのが,学校の方針であるという話で押しまくる. 多分,そういうのが今の大学でも隠然と暗躍しているのではなかろうか? 確か,「カルトは売るから」という言い方していた人もいた.  

NHKの御厨東大教授あたりもその類ではないかと,マイナーな見解を述べたわけである. 要は,カルトは噓だろうとなんだろうと,そのウソがばれようとどうだろうと関係なく利用してくるから,社会の良識とか常識で判断できない存在であるということなのだろう. そういう連中に利益を感じているのが,国会議員どころか,国会の議長だったり,政府の要人だったり,学会の重鎮だったりするわけだから,始末に負えない. どうもそういう動きがあるぞ,というようなことを事前に耳にはしていたが,まさかそこまでハチャメチャと思っていなかったので,良識的判断が日本にないわけでもなさそうだが,一方で,そういうハチャメチャもまかり通っている現状を認識できなかった,私の甘さもあるのだろう. 飲み会で,「学生なんて,マージナルマンだから」だったか「モラトリアム人間だから」だったか,と言っていたのもいたが,まったくカルトなどに関心のなかった私より,知識として,カルトの実態を知っていたのだろう. 事務方問題と言ってたのもいたが.

嘘ででっち上げようと,カルトやそのシンパにとっては,事実そのものなのだから,カルトは,あらゆる諜報機関に優越する,という構図が出来上がっている. めでたいことである. 危なくてしょうのない国になるように,日本は牛耳られているのだろうか?

岸田内閣は解散して,国民に,統一教会の正当性を問うべきではないか. どういう判断が国民から示されようと,そういう手続きは活用すべきではなかろうか. 統一教会か家庭教会か知らないが,国民より,韓チョンカルトの投票ウェイトを高く見ているのだから,そういう構図で,いったん信を問うべきではなかろうか. 政治家の関心事といえばそれ以外ないわけだから.

メディアも韓チョンカルトのシンパが,たとえば読売の何たらカリスマメディア重鎮とか,韓チョンシンパでのし上がったのではないかと疑ったりする. ナベツネだったろうか. もちろん,ちょっと,言いすぎてな反応も想像できるが,癒着しすぎな連中は,おかまいなしで,統一教会シンパ以外は,度の過ぎた連中てな構図を言っては薄ら笑いしている,よく見かけるのではないだろうか. メディアもカルトシンパ的な連中を公表したうえで,番組作ればよくないだろうか. シンパばかりのコメンテーターだらけでは,訳わからなくなる. 御厨はカルトシンパの学者だが,東大教授だから偉いので,出演してもらいましたとか. 私は,東大御厨教授の著書も読んだことはないので,勝手に,御厨は韓チョンカルトにてなづけらた学者扱いしているが,正しいことは,公正な判断に任せる. そういう国家であってほしいという願いを込めて. 

実際,経済でも政治でも科学,とりわけ生命科学でも,大きなチャレンジの前にさらされているわけだから,もともと,政治不信や無関心に比例する形で,カルトは取り入っていくような活動をしているのだろうが,虚ろな感情をどう飾ろうが,何も生み出さない. 迷うことも,絶望することも,正当な感性である. わたしなどは,どちらかというと,案外,見かけによらずという意味らしいが,ミーハーだと言っていたヤツもいたが,反論する気はない.

統一教会の話は,キリがなさそうなので,政治家は当然あんまり問題にしてほしくないということだろうし,統一教会に限らず,裏行政の集金,集票マシンを手放したくないということだろうし,安部暗殺が,また,宗教団体がどうのこうのというより,話を紛らかしたいということなのだろう. 大きく言えば,それが狙いの構図にしたいのだろう. 田舎のおばちゃんたちは,平気で,統一教会まがいの選挙戦を語り尽くしているわけだから. 何十年,政治や文化を研究しているつもりのサイコパスポイ連中より,よほど専門性が高いのかもしれない. おばちゃんたちを選ぶか,統一教会というかカルト票を選ぶか,細田や福田は,どっちも頂戴という,政治家の本能が,表に出ているのだろう. なんちゅって. 政治家もメディアも茶番で逃れたいのだろう.

ウクライナへのロシアの軍事侵略に驚くのは,ロシアは,中東や中国の国際情勢の不安定化に,スタンスをとりながら(不安定化の当事者であるにしても,あまりいいビジョンは見えなさそうなのだが),欧米に恩を売る的な役割を果たすことで,国際情勢の変化と安定に存在感を示すのかと思っていたら,一見真逆の行動に出たということではなかろうか. 欧米が,本気で中国包囲網を敷くつもりなら,むしろ,中国に暴走してもらって,ロシアは,掌返して,中国を見捨てるというシナリオ(あるいは,中国がロシアを同じように利用する)がベターではなかろうか. トランプが,裏で適当な約束を,北朝鮮や中国,ロシアにおこなっていたのだろうか. 

政治とカルト団体の癒着を見ても,改憲だ防衛費だと騒いでる連中に限って,カルトとどっぷりてな政治に,どんな保証があるのか,自民党の広報じみた議員に限って,カルトの威を借る何とか的なのが目立つというのも,政治不信以前の問題ではなかろうか? まして,統一教会というカルト詐欺集団と関係あるというはずのない御厨あたりのごまかし論調から見ても,教育,学術研究へのちゃんこ詣的な実情が進行しているのではないだろうか. 

新型コロナのような公衆衛生の問題も,霊感詐欺が日本の経済だというように信じ込んでいるらしいTVのコメンテーターなどにいるようだが,そいうのが,感染症対策か経済かなどとわかりもせんうたい文句で言ってるつもりやっている感じだが,一般の人はそうではない感じだから,メディアの特殊事情なのだろう. 

 

<まとめ>

・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株と日本における感染爆発

・ロシアによるウクライナ軍事侵略による,ロシアとNATOの戦略的・戦術的距離

・円安と物価高

・中国の台湾への軍事侵攻と西方情勢

・安倍元総理殺害と旧統一教会問題

大きな話題としては,中古Windowsマシン購入以来,こんなところだろうか. いつの間にか,20,000字を超えてきたので,そろそろ,このページのまとめをしておこうと思うわけである.他には,「量子力学」についてのワインバーグの本に関する内容が残されているが,現在のところは,通し読みの途中で,だから全く私基準で,面白そうな箇所に目印つけている段階である.例えば,観察者問題とか観測装置問題とか,状態に属する系とか.あくまで,物理科学という文脈での,認識の明確化とそれによる深層のネットワークの発見や構築という話なのだろうが,物理理論は完全ではない.大きな変革を経ることも,あるいはあり得るかもしれないし,特に,高エネルギー現象では顕著なのかも知れない.将来理論の期待値の関数として,量子力学も相対性理論も浮遊しているというような感じに思ったりするが,確率問題の解明という流れになるのだろうか.そんなところであるが,気分的には,まだもや〜としていて纏まっていない.

旧統一教会問題では,メディアはどこも,メディアと統一協会との癒着を検証していないようだから,政治家の一部の,極上澄みの部分だけの茶番で終わるのだろう.

オミクロン株等に関しては,NATURE誌の特別翻訳記事の論文しか私は入手できないので,全部当たりたい気分なのだが,英語の日本語翻訳も,英文の記事を読むのも,結構,忍耐と体力と思っきりが必要である.体力を取り戻したい. 

ウクライナ情勢については,肝心の部分はやはりフェードアウトした情報しかないが,中国がアメリカの要人の台湾訪問を口実に,動きを見せているので,できれば,私の描くシナリオ通りになってほしいものである.事態の部分的1側面を切り取って論じるのもいいが,結局,それも明確にできないまま,全体も,フェニャ,フェニャという議論が多い気がする.

経済問題については,ウクライナ情勢を巡って,ロシアが経済制裁逃れの口実を仕掛けているとか,中国が,たくみに利用しているとか,サプライサイドの齟齬が表立ってきたとか,日本的な企業・政治体質の問題とか,様々論じられているようだが,要するに,お手上げという論調が大勢である.円レートは,ドルに対して133円前後の水準なようだが,どこらが適正レートなのか,90円なのか,120円前後なのか,高い低いは,どこを基準に言えるのか,そこらも,はっきりしない.投機的な要因も影響しそうだし.それとも,大企業の口実にとって都合のいいところが適正という話だろうか.企業もお公家化しているから,案外そういうところかもしれない.

大きな問題をリストしてみたが,なんか,一部の紛らかし除けば,案外,問題は簡単なんじゃないかと思ったり,まあ,そうもいかないかと思ったりするが,もはや,ジジイの出る幕ではない,新しい世代の時事的な試練であるのだろう.丸投げしたい.

思考の準定常状態とか,新型コロナの攻撃が,あるいは,生物の数理の結節点になるのじゃないかとか,そこらを突き詰めていくと,量子物理の境界理論としての性質もはっきりしてくるのではないかとか,人間社会の利害というものも,結局は,境界理論としての法則性との相互作用で,その法則性の意味をより明瞭に獲得していく過程ではないのかとか,あるいは,確率の境界作用というような映像化のように,大きな出来事が渦巻いていると考えれば,私たちがどういうスタンスで,21世紀の20年代と対峙するするべきかが見えてくるのかもしれない. 

もし,宇宙知というものがあるのなら,わたしは,その存在を感じるのは,知のエンタングルメントといい,数理の結節点といい,境界知といい,それを取り囲む俯瞰知といい,そこにしか,確かな思考の感知を感じるものを,私は経験していない. 私の経験なんてものは,ごく素朴なものだが,もっと多様な,あるいは実験や思考実験を通じて,もっと多様な感触があるのかもしれないが,いかんせん私の経験であるから,そういうことで,了解していただきたい.

もちろん,怪しい議論なのだが,「準定常状態」とか「エンタングルメント」という言葉は,私の怪しい造語ではない.

ある摂動作用によって生じる系の崩壊を考え,系の崩壊の確率が非常に小さい場合に,小さい崩壊確率をもつそのような系に対して準定常状態という概念を導入することができる. (ランダウ=リフシッツ 『量子力学』筑摩学芸文庫)

エンタングルメントとは量子力学で,微視的な部分系だけでなく,巨視的な距離に広がる系までも記述する必要性のことであって,その方法は古典的な考え方と矛盾する. (『ワインバーグ量子力学講義』,ちくま学芸文庫). 量子もつれとかいう方が一般的なのだろうけれど,そう書かれてあるから,そういう趣旨なのだろうということで. mesoscophicも類似な意味のなのだろう. 

思考する,普通に言うと,「考える」ということは,考えている間は,できるだけ矛盾のないようにと,ときどきチェックしながら,歩みを進めるようなものだが,ある程度,進んでいくと,奇妙に,別な考えの道筋が絡んできたり,あるいは,奇妙な感じの論理的な要素が立ち現れてきたりして,逆に,それまでの考えのつながりが保存されたまま,方角もわからぬ延長に伸びていく. そうすると,あたかも全く別な世界への道しるべのように,つながっていく. しかしその別世界は,見慣れた風景の一部だったりするのだが,たとえば,「あそこに咲いていたユリの花」が,私の思考から逃れ出た,別世界をまとった存在の映像に化身している. 道,木立,すすき,花,水路,橋,などなどが,まるで別世界をまとった,意味の了解されない対象のようになりながら,現に見ている世界と近接してくる. いわば,感触してくる. 考えることに慣れていないのに,珍しく考えたりすると,知恵熱が強く出てきて,朦朧となる的な話なのだが,意外と,心地いい経験である. 私の経験だから,いかんせんだが,案外,改まって言わないだけで,多くの人に共通しているのかもしれない. 

素朴な,私の思考実験,正しくは,何を思ったのか,そこはちゃんと覚えていて,「考える」てどういうことなのとおもって,じゃぁ、試しになんか考えてみようかと思い立ったのをきっかけとして,ちょっと考えることを考えてみた経験からいうと,これは,もしかすると,数の概念との邂逅あるいは量子化の思考諸世界との遭遇ではないか,なんて気もしてくるわけである. 数自体は,もちろん,自然数のイメージなのだが,なにやら,区別させてあるもののそれぞれのレッテルであるが,どう区別されているのか,それらの間にどういう関係があるのかは,数という言葉だけでは,与えられていない. 方角もわからず,疎らなのか連続しているのかもわからない. 量子化などという言葉も知っているはずがない. 数という概念が,そもそも私の思考の論理性から導かれるのか,なんてことも,そもそも意識してもいない. もちろん,正式な概念は,そういう曖昧さや,他者がまったく理解できないような,個人的な世界の精神的な活動を,そのまま使うということはないだろうけど,生きている限り,なんらか,そういう活動なしでもやっていられない. とはいえ,考えてみなければ,考えることさえできない. 

ちょっと気になることとして,私の経験とか,私の体験に過ぎないから,もっと多様性を推奨しているというよりも,ステレオタイプに誘導しているにじゃないか,認められる考えの型を制限しているのじゃないかということもあり得ると思うのだが,私がどう意図をもっていようと現実的には支障はない.私はおちょくられるだけだから.少し言い訳すると,ある意味,他者の考えや,価値判断は,その人それぞれに委ねるしかしょうがないので,私の経験は,わたしの経験である.それへの批評は放置プレーである.私は,助平な状況で体験化したわけではないが,そう受け取られても一向に構わない.私の助平心の化身であるというのも結構である.否定はしない.

みっともないことに,政治家のカルト依存やオリンピックのオモテナシ銭分捕り合戦の騒ぎをみると,中立的な立場もないに等しい.宮崎県は統一協会シンパの実態だから,そのまんま東の知名度票にあっとうされる,日本の議会制民主主義も,カルト依存に圧倒される.結果的には,国民の公正な意思だから.日本が滅びようと,そういう国になれば良いだけの話だが,やたら,更年期障害のマザームーンなんてマギらかしで,メディアネタにする.屁理屈好きのソフィズムより素朴に簡単な話じゃなかろうか.統一協会の田中何某ぽいのは,滋賀あたりかとおもっていたら,奈良あたりにもそうだというので,新鮮な驚きとか.大阪の吉本は関係無いのかとか,神戸の金持ちは,どういうスタンスなのかとか,面白そうである.

要は,おもてなしオリンピックは,実は,中国・ロシアのような,統一教会の反共偽装ばりの旧社会主義国の,武田パーク君主導の極右イデオロギーのキャンペーンであったということだろうし,日本は,マリオから武田君極右主義統一思想の国家への世界各国の政治リーダーの取り込みで,奇妙な優越感に陶酔した,平和国家である,てなはなしになるのだろうか. そういう国民感情が,ちゃちなヘタレカルトの日本占領宣言に,自民党をはじめとする政界,財界,学会が,都合よくなれ合ったという話だろうか. 田中曽根ー石川的な,ブームづくりで夢の実現を確信した連中がいるのだろう. 国の存亡より,国民の安全や財産より,アンケートの抜け穴的な,すでに洗脳された,言論人や,国・地方の政治家は,ロシア軍のお飾り指揮官になればいい. 世界平和の実現に寄与できる. できれば平和に暮らしたいロシア国民にとっても,願ったりかなったりではなかろうか. 宗男君に頑張ってもらいたい. 実際には,岸田君にそういう働きかけをしてほしい. 

エリザベス女王の葬儀を汚すような日本国の天皇は,葬儀に参列させるべきではない. なんて,反発を受けても仕方ない政治家のありようだが,もちろん,そこまで現実に腐食国家になれるわけないので,反省すべきは反省すべきである.

詐欺,窃盗,恐喝,名誉棄損や人権侵害,噂の流布などが,宗教や信心にだけは許される,と自民党やそのカルトおつきメディア関係者は,答えが出なくて悩んでいる,という話が盛んなようだが,どんな国の回し者なのかと疑うレベルである. 法や法体系のない国,否,実質国でさえないという認識なのだろうか. そういう,はちゃめちゃを前提として議論を作るというやり口の弊害は,理解できない国民はいない. 銭と利権しか考えてないのに限って,都合悪くなると哲学者ぶる. 昔ながらである.

 

*** 日本国憲法

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は,国民の不断の努力によって,これを保持しなければならない. また,国民は,これを濫用してはならないのであって,常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ.

第19条 思想及び良心の自由は,これを侵してはならない.

第20条 信教の自由は,何人に対してもこれを保障する. いかなる宗教団体も,国から特権を受け,又は政治上の権力を行使してはならない.

(2) 何人も,宗教上の行為,祝典,儀式又は行事に参加することを強制されない.

(3)国及びその機関は,宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない.

第21条 集会,結社および言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する.

主に,こういうことが信教の自由に関する条文であろうが,学問の自由とか,法の下の平等とか,関連する事柄を挙げればきりがないほどであろうが,旧統一教会に傾斜した,実質的には,国および地方の脱憲法謀議の実態が騒がれているという異様な事態が生じているわけである. 利用できるものは何でも利用する,あるいは,利用できるものにする的な,極端にいえば,貧者の兵器という核兵器あるいは限定核の政治・社会版である. 実質使えるような代物じゃないが(実際使ったら国も国民も存在しなくなるから),それを使えるものにするとういうのが,安部元総理の一族の家訓(目標)だったのだろうか. そこらに,あるいは,森元総理だの亀井元法務大臣だの,何たら族の実力者格の政治家がうまく乗っかかっているという構図なのだろう. 改憲こそ党是が,カルト依存の阿保こそ党是となってしまったのだろう. 与野党ともに.

変に家長の厳格性をアピールする癖に,ちゃらちゃらした街のおねーちゃんにはだらしない. しかも,携帯アプリで,ホテルにしけこむようにさえなっている. そういうコントを国民は見せられているわけである. イワシの頭も信心から,とよくいわれるが,信心もつかどうかも自由だ. 信教の自由は保障されている. だから,国民は,国葬に参加していいが,憲法逸脱謀議の国会議員や政治家あるいは財界人は,国葬に参列してはならない. とすれば,理にかなっている. 国民の努力による成果の儀式を無視・否定するような内容になっては,何事も成立しないから. やりたければ,統一カルト党教主催でやればいい. エリザベスはきっとそう考えていたはずである. 

10月3,4日にかけて,ノーベル医学生理学賞と物理学賞の発表があった. 北朝鮮のミサイル発射で,Jアラートがどうたら騒ぎで,日本人は受賞難しそうだし,カリコ受賞もないし,長距離相関とかベルの不等式とか,量子もつれとか,その実証実験とか,理解できるものもいなさそうなので,盛り上がらないが,当然,私もわからないが,自分なりにそれらの業績の意味を捏造してみる. 

新型コロナウイルスの体内の影響とか作用とか,多様で,全体的でもあり局所的でもあったり,いろいろなモチーフに多様なかかわりを示したり,現在でも探求されているのだろうが,人類の進化が,そういう探求の場面にかかわりを持つ,あるいは遺伝子の影響として,あるいは,霧のように広がる俯瞰にサイレントに作用するものとして,そういう視点の一般性が今後も明らかになるのじゃないか,ということも受賞理由だろうか. そうすると,カリコ博士の業績は,どのような点で,そして文脈で,その時を得るのだろうか.

 物理学の方は,湯川の中間子以来,超対称性粒子に至るまで,物理の力の統一理論には,それを媒介する新たな粒子の発見があるが,意外と,大統一理論とか超大統一理論とか,超対称性を担う粒子の性質に関係するのじゃないかとか,そう考えると,物理学の大きなながれである,力の統一の一里塚という意味もあるのだろう.

最近,宗男君がやる気を出してきたポーズをとっている. NETニューズでちらほら見受けられる. 良いことである. どういう意味なのかは理解不能だが.そこらが,宗男君の受けのいいところなのだろう. 世の中そういう面もある. ページをあらためたいと思っているのだが,残り3000字ほどだし,どうも気分が分散しやすい性格もあって,社会的に,重みをもった話題は,リスト化できるにしても,気持ち集中できない. 統一教会の問題も,手っ取り早く言えば,世の中には,よくあることじゃん的な手法を,自民党だの,御厨なのか細川隆元なのかの時事放談の,右翼系やらせの自己陶酔に後押しされて,自分の罪は他人に擦り付け,他人の名誉は自分のもの的な,ゆがんだ特権意識と,最下層民の処世術の混合みたいなものだから,それが,自信のない政治家や識者の安寧になっているてきな広がりや薄らいだ気分の浸透につながっているだけのことだから,表向きはつくろいやすいわけである. その本質は社会性破綻の犯罪心理だとしても. なんか,中国やロシアの独裁権益のレトリックに瓜二つ的な感じがしてくる. 

新型コロナ対応に対するアンチ連中の言い草も,結局,マスクつけるのかつけないのか的な,訳の分からない結論に達したようである. 私などは,マスクして手洗いして,そう心配するような事態は避けられるかもしれないが,念のため的な優等生連中をわき目に,マスク買い置きがなっかったとか,ちょっとなじめないとか,いろいろ理由つけて,こっそり,予防逃れしていたたちの方だったが,新型コロナへの用心を,経済がとか,なんか,自分都合が悪いからというので他人の判断をあざ笑ったり,屁理屈つけて言いふらすのとはちょっと動機が違う. 

ロシアのウクライナに対する軍事侵攻も,ウクライナが,ロシアがたとえクリミヤを返還して,不侵の条約結ぶからといっても,中国と共同して,北海道を占領する的な行動で脅しをかけるような状態では,到底,議論できないていのも,北海道を廃墟にしても,台湾,沖縄,日本を支配下に置くという脅し見せつけられれば,十分ペイする的な,架空の戦果を演じることに意味がある的な国より,キエフNATOルーシ主導の新秩序の方が将来性があるという,地域的な自立を促すかもしれない. 現実は厳しいにしても,現実的に破滅に向かうよりは良い. ロシアはロシアなりに貢献していけばいい. なんか,ネットなどでは,ロシア兵は,ロシアのためというより,そういう新秩序に貢献するために,すでに,ウクライナに戦車や戦闘機,あるいは主力戦艦モスクワまで提供しているようなので,ますます進めて欲しい. いろいろ制限が厳しいとはいえ,ロシアの地力の民度の高さというか人間度の高さや,知恵と行動力に期待したい感じはする. 

ロシアはNATOの力を必要としている. 戦争の情勢が大きな要因となるということも事実だろうが,戦後処理をどうプランするかも重要である. NATOなしには,現実,不可能ではないのか. そこに,本当の外交の力が試されるのじゃないだろうか. そういう意味では,プーチン外交の勝利である. 歴史的偉業である. 侵略に対する賠償を負うにしても,なんなら,原潜もウクライナに提供すれば,ロシアは,より深く,EUやNATOと協働する体制を築ける. プーチン演説の通りの成果を手にすることになる. ウクライナに配備された核兵器の大半はロシア製となり,ロシアは核の安全保障の下で,豊かさを追求できる. プーチンは世界史に,マイナスだけではない名を遺す. これで,宗男君にも満足してほしい. 

プーチンは,どれほどの困難をコントロールする必要が生じるかもわかったうえで軍事行動に出ているわけだから,扉は開かれてしまっているのである. 蛮勇なのか,計算された敗北なのか,いずれにせよ,プーチンは,やちまったのである. やっちまったがゆえに,偉業に殉ずる政治家なのである.

2022年11月12日現在,ウクライナのヘルソン奪還や,クリミヤ奪還に向けての動きが,ネット動画などでは活気づいてきた感じである. その後の,ロシアの窮状やウクライナの立場の構築等が,当然ながら,注目されていくことが予想される. おそらく,一筋縄ではいかない難問となるのだろう. 私の思考は,立ち止まっている. 難問だからである. 置換全体のある部分置換の作る世界から,未知の世界を振り返っているようなものである. 代数幾何学の射影空間のようなアナロジーである. 私の位置はR=Tのようなものである. 比例というのか商空間というのか,分数は難しいのである. なんて感じで,難問には対処するしかないが,実際どうなっていくだろうか. 試行錯誤は避けられない気がする. 

 

 


新型コロナウィルス感染症を材料にして --- クローンウィルスをめぐって(17-2)

2021-11-12 14:30:19 | 科学(Science

Discussion

We have shown that transmembrane lectins act as attachment receptors rather than entry receptors for SARS-CoV-2, thus facilitating infection via the canonical ACE2 pathway. This finding addresses the efficiency of lower respiratory tract infection despite the paradoxically low level of ACE2 expression, even in the presence of interferon. The attachment role of lectins in SARS-CoV-2 infection is in line with the known biology of these adhesion molecules, which bind N-glycans characteristic of cellular membranes and pathogen surfaces to promote trans infection. SIGLEC1 is of particular relevance because it is prominent in lung myeloid cells in association with viral RNA, thus supporting a model of trans infection, tissue dissemination and the triggering of immune responses by myeloid cells, rather than these cells being a direct target for productive infection. Animal models also support a role of attachment receptors in viral pathogenesis.

Expression of lectin receptors influences the neutralizing activity of different classes of S-specific monoclonal antibodies. In addition, we have observed that various monoclonal antibodies have the ability to interfere with fusion events. We have expanded our initial observation on SARS-CoV and MERS-CoV by showing that most RBM monoclonal antibodies can trigger the fusogenic rearrangement of S, albeit with varying efficiency. By stabilizing the RBDs in the open conformations, these antibodies might act as receptor mimics. This finding suggests that premature conformational triggering resulting in loss of the potential of a S protein to engender productive infection―we term this mechanism spike inactivation―may be the prominent mode of viral neutralization for this class of antibodies. However, we have also shown that these antibodies can promote fusion of S-expressing cells with neighbouring cells, even if the neighbouring cells lack ACE2. These data are consistent with a recent study reporting that a subset of RBM monoclonal antibodies can enhance S-mediated membrane fusion and formation of syncytia. Notably, the formation of syncytia has been observed in authoptic samples from severe cases of COVID-19. It is tempting to speculate that fusogenic antibodies, although highly effective, may contribute at a later stage to the spread of infection and inflammation.

Overall, our study highlights the finding that ranking of SARS-CoV-2- neutralizing antibodies is highly dependent on the level of ACE2 expression and on the presence of attachment receptors and identifies a mechanism that could result in the creation of multinucleate viral factories, potentially enhanced by specific antibodies.

膜貫通(膜透過)レクチンは,SARS-CoV-2への侵入受容体というより,吸着受容体として作用し,したがって,カノニカルな(標準的な)ACE2経由の感染を容易にすることが示された.この発見は,逆説的に,低レベルのAC2発現にも関わらず,インターフェロンが存在する場合であっても,より低レベルでの気道感染の効率上昇を述べている.SARS-CoV-2感染におけるレクチン吸着の役割は,細胞膜のN型糖鎖の特質と病原体表面をトランス感染を促すように結びつける,付着分子生物学で知られている考えと合致している.ウイルスRNAと連合した肺骨髄由来細胞に目立つのだから,SIGLEC1は特定の関連対象を持つものであり,したがって,これ等の細胞が感染を増やすための直接的な標的であるということよりも,トランス感染,組織への広がりおよび骨髄由来細胞による免疫反応の誘発のモデルの裏付けとなる.動物モデルもまた,ウイルス病原性における吸着受容体の役割を傍証している.

レクチン受容体の発現は,別なクラスのS特異的モノクローナル抗体の中和活性に影響を及ぼす.さらに,様々なモノクローナル抗体が,融合イベントに介入する能力を持つことを観察した.我々は,SARS-CoVやMERS-CoVについての最初の観察を拡大して,大抵のRBMモノクローナル抗体が,Sの細胞間膜融合糖タンパク質再構成を,例えまちまちな効果であったとしても,促進することができることを示した.RBDsを開コンフォーメーションに固定させることによって,これ等の抗体は,受容体の擬態として働くことができた.これ等の発見は,感染増大を引き起こすあるSタンパク質の能力の欠如に結果する成熟前のコンフォーメーショナルな誘引は,この仕組みをスパイク不活化ということにするが,この抗体クラスへのウイルス中和の典例的なモード(有り方)かもしれない.しかしながら,我々は,これ等の抗体が,S発現細胞と隣接細胞の融合,例え隣接細胞がACE2を持ってなくても,を促進できることも示した.これ等のデータは,RBMモノクローナル抗体のサブセットは,S媒介膜融合および多核体形成を増大させることできるという最近の研究レポートと合致している.注目されることは,多核体形成は,COVID-19の重症症例からのauthopticサンプルに見られたということである.易融合糖タンパク質抗体は,非常に効果的ではあるが,後になって,感染の拡大や炎症を引き起こすかもしれないという懸念を生じる.

まとめると,我々の研究は,SARS-CoV-2中和抗体のランク付けは,ACE2発現レベルや吸着受容体の存在に強く依存すること,また,多核体ウイルスの大量生産を生み出すメカニズムを確かめ,特定の抗体によって能率的に強められていることの発見を強調するものとなった.

[感想]

* 補受容体の仕組みを使って,がん細胞など特定の細胞だけに薬剤用に作られたウイルスを感染させて治療するテクノロジーという感じ.ウイルスが生体内で,マイクロマシン(ナノマシン)手術医のような働きをするとか.ドクターXウイルスの世界最大手派遣センターになるビジネスチャンスとか.こういう変革が,コロナ後ではなく,コロナ禍の最中に,すでに進んでいるというのでないと,実際には,コロナに置いていかれることになるのじゃないかなんて,コメンテートしてみる.小江戸温泉の脱衣所でテレワーク(実際は,国際的な巨大ネットワークキャピタル)が立ち上がるとか.

 

Untimely TGF β responses in COVID-19 limit antiviral functions of NK cells

s41586-021-04142-6 (NATURE)

COVID-19における時期尚早な形質転換成長因子-β(TGF-β)は,NK細胞の抗ウイルス機能を制限する

SARS-CoV-2 is a single-stranded RNA virus that causes COVID-19. Given its acute and often self-limiting course, it is likely that components of the innate immune system play a central part in controlling virus replication and determining clinical outcome. Natural killer (NK) cells are innate lymphocytes with notable activity against a broad range of viruses, including RNA viruses. NK cell function may be altered during COVID-19 despite increased representation of NK cells with an activated and adaptive phenotype. Here we show that a decline in viral load in COVID-19 correlates with NK cell status and that NK cells can control SARS-CoV-2 replication by recognizing infected target cells. In severe COVID-19, NK cells show defects in virus control, cytokine production and cell-mediated cytotoxicity despite high expression of cytotoxic effector molecules. Single-cell RNA sequencing of NK cells over the time course of the COVID-19 disease spectrum reveals a distinct gene expression signature. Transcriptional networks of interferon-driven NK cell activation are superimposed by a dominant transforming growth factor-β (TGF β) response signature, with reduced expression of genes related to cell-cell adhesion, granule exocytosis and cell-mediated cytotoxicity. In severe COVID-19, serum levels of TGF$\beta$ peak during the first two weeks of infection, and serum obtained from these patients severely inhibits NK cell function in a TGF β-dependent manner. Our data reveal that an untimely production of TGF β is a hallmark of severe COVID-19 and may inhibit NK cell function and early control of the virus

[概要] SARS-CoV-2は,COVID-19を引き起こす一本鎖RNAウイルスである.急性の,そして,しばしば免疫抑制を伴う経過において(あるいは寛解),自然免疫系の構成成分が,ウイルス複製の制御や臨床的成果を決める中心的な役割を果たしていることは,ありそうである.ナチュラルキラー(NK)細胞は,RNAウイルスを含む広い範囲のウイルスに対する顕著な活性を持つ内生的なリンパ球である.NK細胞の機能は,活性化された適合表現型を持つNK細胞の発現が増加するにしても,COVID-19罹患中に改変されるかもしれない.ここで,COVID-19におけるウイルスの積量の減少がNK細胞の状況と関連すること,NK細胞は,感染細胞を認識して,SARS-CoV-2の複製をくい止めることができることを示す.重症COVID-19においては,NK細胞は,ウイルス抑制や,サイトカイン産生,そして,細胞障害性エフェクター分子の高い発現においても,細胞を介した細胞障害活性が損なわれていることがわかった.COVID-19症の時間経過にわたるNK細胞の単一細胞RNAシーケンシングは,はっきりとした遺伝子発現の特徴を明らかにした.インターフェロン駆動NK細胞活性の転写ネットワークは,細胞接着,顆粒エクソサイトーシス (顆粒分泌),および細胞障害活性に関連する遺伝子発現の減少を伴う,優勢な形質転換成長因子-β(TGF-β)反応特性を持っている.重症COVID-19では,TGF-βの血清レベルは感染の最初の2週間でピークに達し,これ等の患者から取った血清は,TGF-β依存的な仕方において,NK細胞の機能を強く妨げている.我々のデータから,TGF-βの時期尚早な産生は,重症COVID-19の特徴であり,NK細胞機能および初期のウイルス防御を抑制していることが明らかになった.

*** 形質転換成長因子(transforming growth factor,TGFと略記) --- 腫瘍化成長因子.正常な繊維芽細胞であるRNK細胞の形質転換を引き起こし,軟寒天培地での増殖を促進する成長因子.TGF-αとTGF-βの二つの因子がある.TGF-βは分子量1万2500のポリペプチドの二量体として存在し,細胞の増殖と抑制,細胞分化の調節作用,細胞外マトリックスの蓄積,免疫能の抑制,単球の遊走促進などに働く.

*** TGF-β経路(TGF-β pathway) ---TGF-βスーパーファミリーのリガンド分子を介して細胞増殖,分化,形態形成などを制御するシグナル経路.TGF-βの主たる活性は,細胞増殖抑制作用であることから,TGF-β経路に関わる分子の機能欠損ががん化の原因となっている例が多数知られる.

(新型コロナが,すでに風土病化された経緯を経ており,そこを架橋にして,従来株の性質を組み替え,オミクロン株のような変異を適合させている.あるいは,アジア人種と欧米人の間に,異なる風土化記憶があるのかもしれない.なんて仮説はどうなんだろう).

The role of NK cells during SARS-CoV-2 infection remains unknown. We wondered whether we could find differences in the decline in SARS-CoV-2 load between patients admitted to hospital with normal (>40 NK cells per μl) or low (≦40 NK cells per μl) NK cell counts. There was an overall pattern of a faster decline in viral load in patients with normal NK cell counts (Fig. 1a, b) across patient groups with different overall clinical statuses (Extended Data Fig. 1a, Supplementary Table 3). Of note, such a negative correlation between NK cell counts (early during the infection) and viral load was not found for T cells or B cells (Extended Data Fig. 1a). Similarly, a more rapid decline in viral load over time was associated with a more rapid increase in NK cells and vice versa (Extended Data Fig. 1b). Overall, the availability of NK cells early during the course of COVID-19 correlated with a lower abundance of SARS-CoV-2 viral RNA. 

We investigated whether NK cells can directly control SARS-CoV-2 (B.1 lineage) replication in an infected human lung epithelial cell line (Calu-3) or in kidney epithelial cells (Vero E6). At the time of infection, highly purified NK cells from healthy donors were added to infected Calu-3 and Vero E6 cells and the intracellular viral load was measured. NK cells reduced viral replication in a dose-dependent manner (Fig. 1c, d), a finding that was confirmed with a second virus variant (B.1.351 lineage; Extended Data Fig. 1c). NK cells are often activated during viral infections, but NK cells isolated from patients admitted to hospital with COVID-19 were significantly less effective in reducing the viral load compared with NK cells from healthy donors (Fig. 1e, f).

NK cell recognition of virus-infected cells is determined by interactions between activating and inhibitory NK cell receptors and their ligands on target cells. The large reduction in viral replication induced by NK cells could not be further enhanced by HLA blockade, which suggests that infected Calu-3 cells do not appreciably inhibit NK cells through HLA-I-specific inhibitory receptors (Fig. 1g). Uninfected Calu-3 cells were poor targets of NK cells (Extended Data Fig. 1d). Blockade of single, activating NK cell receptors did not impair virus control, whereas simultaneous blockade of all three natural cytotoxicity receptors (NKp30, NKp44 and NKp46) or of 2B4, NKG2D and DNAM-1 led to a significant increase in virus replication (Fig. 1g). Collectively, our data demonstrate that NK-cell-mediated control of SARS-CoV-2 replication in infected target cells requires redundant recognition by activating NK cell receptors. This process is impaired in infected cells treated with NK cells isolated from patients admitted to hospital with COVID-19.

SARS-CoV-2罹患中のNK細胞の役割については,まだわかっていない.正常な(> μリットル当たり40 NK細胞)あるいは低い(≦ μリットル当たり40NK細胞) NK細胞数を持つ入院患者の間に差を見出せるかどうかと考えた.全般的に異なる臨床状況にある患者グループの間で,正常なNK細胞数を持つ患者のウイルス(積)量の急速な減少の一般的なパターンを示した.そのような(感染初期における)NK細胞数とウイルス量の間の負の相関は,T細胞やB細胞には見られなかった, ということは注記すべきことである.時間的な経過の中で,より急激なウイルス量の減少とより急激なNK細胞の増大との関連,あるいはその逆,についても同様である.一般的に,COVID-19の初期の経緯におけるNK細胞の有効性は,SARS-CoV-2ウイルスRNAのより低い数度(アバンダンス)と相関していた.

NK細胞は,感染ヒト肺上皮細胞株(Calu-3)あるいは腎臓上皮細胞(Vero E6)におけるSARS-CoV-2(B.1 系列)複製を直接的に阻止できるかどうか調べた.健康なドナーから高精製されたNK細胞を,感染Calu-3およびVero E6に加えて,細胞間ウイルス量を測定した.NK細胞は,投与依存的な仕方で,ウイルス複製を減少させたが,  継続するウイルス変異株( B.1.351系列)で確かめられた発見である.NK細胞は,ウイルス感染時にたびたび活性化されるが,COVID-19入院患者から単離されたNK細胞は,健康なドナーからのNK細胞と比較して,ウイルス量を減少させる効果が明らかに低かった.

NK細胞が感染細胞を認識する力は,活性および抑制性NK細胞受容体と標的細胞上のそれらのリガンドの間の相互作用によって決まる.NK細胞によって誘発されるウイルス複製の大幅な減少をHLA遮蔽(blockade)によってさらに大きくすることはできなかった.このことは,感染Calu-3細胞は,HLA-I特異的抑制性受容体を通して,NK細胞をはっきりとわかるほどには抑制しないことを示している.非感染Calu-3細胞は,NK細胞の標的にはならなかった.単一,活性NK細胞受容体の遮蔽は,ウイルス防御を低減することはなく,その一方で,自然な細胞障害活性受容体(NKp30, NKp44およびNKp46)3つ全ての,あるいは2B4, NKG2DおよびDNAM-1の同時遮蔽は,明らかにウイルス複製を増大させた.まとめると,我々のデータは,標的感染細胞におけるNK細胞を介するSARS-CoV-2複製の阻害は,活性NK細胞受容体による余分な認識が必要であることを明らかにした.このプロセスは,COVID-19入院患者から単離されたNK細胞で処理された感染細胞では,損なわれている

 

Impaired NK cell function during COVID-19

COVID-19罹患中の低下したNK細胞機能

We set out to study NK cell effector functions in detail in patients with COVID-19 across the disease spectrum and time (Fig. 2a). Patients with non-COVID-19 flu-like illness (FLI), ambulant patients with COVID-19 and patients with moderate COVID-19 disease severity had normal frequencies of CD$^{\dim}56$ NK cells. By contrast, patients with a severe course of COVID-19 had reduced frequencies of both CD56dim and CD56bright NK cells and of innate lymphoid cells during the first weeks after symptom onset (Extended Data Fig. 2).

Previous data regarding the expression profile of cytotoxic molecules in COVID-19 were inconclusive. We found a significant and early upregulation of perforin and granzyme B both in ambulant patients and in hospitalized patients with COVID-19 (Fig. 2b, c, Extended Data Fig. 3a-c), which is an early sign of NK cell activation that is observed in the context of various other viral infections. NK cells isolated during the first two weeks after symptom onset from hospitalized and, to a lesser extent, from ambulant patients with COVID-19 showed impairments in cell-mediated cytotoxicity despite the high levels of perforin and granzyme B expression (Fig. 2d). Such a reduced cytotoxic activity of NK cells was not found in patients with FLI. Given the apparent paradox of  high levels of cytotoxic molecule expression and low cytotoxic function, we analysed the release of cytotoxic granules. NK cells from healthy donors, patients with FLI and ambulant patients with COVID-19 did not show differences in degranulation. By contrast, NK cells from hospitalized patients with COVID-19 showed impaired degranulation (Fig. 2e, Extended Data Fig. 3d). One of the first steps during interactions between cognate NK cells and target cells is the formation of cellular conjugates, and the establishment of such conjugates was reduced for NK cells from patients with severe COVID-19 (Fig. 2f, g). Of note, reduced cell-cell interactions and degranulation were not a consequence of a reduced expression of activating NK cell receptors in severe COVID-19 (Extended Data Fig. 3e, f).

NK cells from ambulant patients with COVID-19 showed an increased production of interferon-γ (IFNγ), whereas NK cells from patients with severe COVID-19 produced only low levels of IFNγ and tumour necrosis factor (TNF)12 (Extended Data Fig. 3g, h). The T-box transcription factor T-bet coordinates NK cell effector programmes, including the expression of granzyme B, IFNγ and perforin13. T-bet was upregulated in NK cells from patients with FLI and its expression was maintained in ambulant patients with COVID-19. By contrast, T-bet was substantially suppressed at all time points in NK cells from hospitalized patients with COVID-19 (Extended Data Fig. 3a, i). These data cannot be easily explained by differences in age because we did not find strong negative correlations between age and any of the NK cell readouts (Extended Data Fig. 4). Reductions in NK-cell-mediated cytotoxicity and effector programmes were also not caused by dexamethasone treatment, as comparable data were obtained for samples taken during the first wave of COVID-19 (March to April 2020), a period when dexamethasone was not administered to patients (Fig. 2e).

我々は,病状の範囲や期間にわたるCOVID-19患者における詳細なNK細胞エフェクター機能を調べることに着手した.インフルエンザ様症状(FLI)の患者,COVID-19の外来患者および重症症状の緩和したCOVID-19患者は,標準的な度数の暗CD56 NK細胞を持っていた.対照的に,COVID-19重症症状の患者は,暗CD56および明CD56 NK細胞双方の,症状発症後最初の数週間における自然リンパ細胞の度数を低下させていた. 

COVID-19における,細胞障害性分子の発現プロファイルを注視する以前のデータでは,結論は出なかった.われわれは,外来患者およびCOVID-19入院患者双方において,パーフォリンおよびグランザイム B の,顕著な,初期のアップレギュレーションを見出したが.これは,様々なウイルス感染の文脈において見られるNK細胞活性の表れである.COVID-19の入院患者や, それほど多くはないが,外来患者から,症状発症後2週間の間に分離したNK細胞は,パーフォリンおよびグランザイム B の高い発現にもかかわらず,細胞を介した細胞障害活性の低下を示した.そのようなNK細胞の細胞障害活性の低下は,FLI患者では見られなかった.高レベルの細胞障害性分子と低い細胞障害機能の明らかな矛盾から,細胞障害性顆粒の放出を解析した.健康なドナー,COVID-19のFLI患者および外来患者からのNK細胞は,脱顆粒(degranulation)に違いはなかった.対照的に,COVID-19の入院患者は,脱顆粒を低下していた.関連するNK細胞と標的細胞の相互作用における最初のステップの一つは,細胞接合の形成であり,そのような接合の成立が,重症COVID-19患者のNK細胞を減少させていた.注記すべきことは,細胞間相互作用および脱顆粒の低減は,重症COVID-19における活性NK細胞受容体発現の減少の結果ではないということである

COVID-19外来患者からのNK細胞は,インターフェロンγ(INF-γ)の産生を増大していた.他方,重症COVID-19患者からのNK細胞は,IFN-γおよび腫瘍壊死因子(TNF)を低いレベルで産生していただけだった.Tボックス転写因子T-betは,グランザイム B, IFN-γおよびパーフォリンの発現を含む,NK細胞エフェクタープログラム(アポトーシス)を同調させる.T-betはFLI患者からのNK細胞でアップレギュレートされ,その発現はCOVID-19外来患者でも維持されていた.対照的に,COVID-19の入院患者からのNK細胞において,T-betは,全ての時点で,大きく抑制されていた.年齢とNK細胞が読み出した何かとの強い負の相関を見つけ出していないのだから,これらのデータは,年齢の違いによっては簡単に説明できない.NK細胞を介する細胞障害活性およびエフェクタープログラムの減少は,比較データは,COVID-19の第一の波の間(2020年3月から4月),デキサメタゾンが患者に投与されていない時期,に取られたサンプルから得られたものだから,デキサメタゾン治療で生じたものではない.

 

*** 抗体による体液性免疫(液性免疫,humoral immunity)との対比で用いられる細胞性免疫(cell-mediated immunity)は,生体防衛の枢要だろうから,案外と,そこらの詳細がわかっていない,あるいは,分かりづらいという不安感が,オミクロン株のような,パンデミックの間,主流株の傍らで長く息を潜めていたような変異株が,VOIからVOCに認定されるというように,急に立ち現れてくる不安の底にくすぶっているのかもしれない.ということで,先ずは,簡単なおさらいとして,例の生物学辞典から,

細胞性免疫とは,免疫細胞により誘発される免疫応答のことであり,現在,以下のような多様な細胞による免疫応答が知られ,総称して細胞性免疫という.(2)から(5)はサイトカイン産生をも伴う.

(1) CD4^+ T細胞(Th1, Th2, Th17, T_{reg}細胞)によるサイトカイン産生などを伴う遅延型免疫応答:炎症の惹起,抗体産生,免疫応答の抑制などを司る.

(2) CD8^+T細胞による抗原特異的細胞傷害作用.

(3) ナチュラルキラー細胞による細胞傷害作用.

(4) ナチュラルキラー細胞およびマクロファージによる抗体依存的細胞傷害活性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity, ADCC) : 抗体が結合した標的細胞(腫瘍細胞など)を傷害する.

(5) NKT細胞による細胞傷害作用.

NKT細胞(natural killer T cells)は,ナチュラルキラー細胞マーカーと特徴的なT細胞受容体を発現する特殊なTリンパ球亜群.活性化されたNKT細胞はパーフォリンやグランザイムを発現し,NK細胞と類似性の強い細胞傷害活性を示す.さらに,活性化の際の条件により,Th1, Th2, Th17タイプの多様なサイトカインを産生しうる.NKT細胞は,がんや微生物に対する初期生体防衛のみならず,アレルギー反応,自己免疫応答,臓器移植反応に関わる免疫応答制御に重要な役割を果たす.

*** 脱顆粒(degranulation) --- 高親和性Fcε受容体(FcεRI)を介して,強く結合したIgEが細胞上で抗原と反応すると,細胞内シグナル伝達によって,顆粒中に貯えられたヘパリン,ヒスタミン,セロトニンなどが急速に放出される現象すなわち脱顆粒(degranulation)が起こる.一方,ロイコトリエンC_ 4, D_4, E_4・プロスタグランジン D_2・血小板活性化因子なども産生放出される.これらのケミカルメディエーターによって,特徴的な即時過敏症の組織反応が引き起こされる.従来のアレルギーの原因細胞としての評価から,サイトカイン産生を含めて,外来生の抗原の最初の関門として,自然免疫・獲得免疫の両者の制御細胞としての関与が注目されている.(見出し語「マスト細胞(mastocyte, mast cell),肥満細胞」中の説明からの引用.SARS-CoV-2が単に標的細胞に繋留されて感染力を強めているというだけでなく,脱顆粒に影響して,細胞プログラムを操っているてな感じの進化を遂げつつあるということでもあるのだろうか.肥満,高血圧,血栓,アナフィラキシーなど,重症化因子や副作用の原因に関わるということも重要だろうけれど.従来の流行株等の分析を通じて,懸念されるような性質を持っていることもわかってきていて,例えば「重症化しにくい」とかいわれるオミクロン株が,懸念されてきたような性質を巧みに進化させている株だという面がはっきりしてくるとかなると,オミクロン亜種あるいは新たな変異種が優勢になるかもしれないという畏れがあるのかもしれない.科学的に確認しながら,適切に経済や社会活動との妥協を図るのだろうが,一部の人間だけの都合で歪まないことも大切なのだろう).


新型コロナウィルス感染症を材料にして --- クローンウィルスをめぐって(17)

2021-11-03 22:56:25 | 科学(Science

Lectins enhance SARS-CoV-2 infection and influence neutralizing antibodies

レクチンはSARS-CoV-2感染力を強め,  中和抗体に影響を及ぼす

[概要]

SARS-CoV-2 infection --- which involves both cell attachment and membrane fusion --- relies on the angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2) receptor, which is paradoxically found at low levels in the respiratory tract, suggesting that there may be additional mechanisms facilitating infection. Here we show that C-type lectin receptors, DC-SIGN, L-SIGN and the sialic acid-binding immunoglobulin-like lectin 1 (SIGLEC1) function as attachment receptors by enhancing ACE2-mediated infection and modulating the neutralizing activity of different classes of spike-specific antibodies. Antibodies to the amino-terminal domain or to the conserved site at the base of the receptor-binding domain, while poorly neutralizing infection of ACE2-overexpressing cells, effectively block lectin-facilitated infection. Conversely, antibodies to the receptor binding motif, while potently neutralizing infection of ACE2-overexpressing cells, poorly neutralize infection of cells expressing DC-SIGN or L-SIGN and trigger fusogenic rearrangement of the spike, promoting cell-to-cell fusion. Collectively, these findings identify a lectin-dependent pathway that enhances ACE2-dependent infection by SARS-CoV-2 and reveal distinct mechanisms of neutralization by different classes of spike-specific antibodies.

SARS-CoV-2感染は,それは細胞吸着および膜融合のどちらをも含んでいるが,アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を必要とし,逆説的であるが,気道においては低いレベルであることがわかり,感染を容易にするさらなる仕組みがあることが示唆される.ここで,C型レクチン受容体,DC-SIGN, L-SIGN, および,シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン1(SIGLEC1)は,ACE2を介する感染を強め,スパイク特異的抗体の別なクラスの中和活性を調整することによって,吸着受容体としての機能を果たしていることを示す.アミノ末端領域へ向けた,あるいは,受容体結合領域の塩基で保護された部位に向けた抗体は,ACE2過剰発現細胞の感染を中和する能力は乏しいが,レクチンによって促進された感染を効果的に防ぐ.逆に,受容体結合モチーフに向けた抗体は,ACE2過剰発現細胞にたいする感染を中和する能力はあるが,DC-SIGNあるいはL-SIGNを発現する細胞への感染を中和する能力は乏しく,スパイクの細胞間易融合タンパク質の再構成を誘発し.細胞間融合を促進する.まとめると,これ等の発見から,SARS-CoV-2のACE2依存感染を強めるレクチン依存経路が確認され,スパイク特異的抗体の別なクラスによる,異なる仕組みが明らかになる.

 

SARS-CoV-2 infects target cells via the spike (S) glycoprotein, which is organized as a homotrimer with each monomer comprising S1 and S2 subunits. The infection process includes binding to cells, triggering of conformational changes in S and then fusion of the viral envelope with the target cell membrane. The S1 subunit of S comprises the N-terminal domain (NTD) and the receptor binding domain (RBD). The RBD interacts with ACE2 through a region defined as the receptor binding motif (RBM). Antibodies against the RBD contribute the majority of the neutralizing activity of polyclonal serum antibodies, potently neutralize SARS-CoV-2 in vitro and have shown efficacy in clinical trials for prophylaxis and early therapy of COVID-19.

The search for SARS-CoV-2-neutralizing antibodies has been facilitated by the use of target cells overexpressing the ACE2 receptor. However, ACE2 expression in the lower respiratory tract is limited, with low levels found in only a small number of type II alveolar basal, goblet and mucous cells. The paradox of low ACE2 levels in the lung and infection in other tissues leading to extrapulmonary complications raises the possibility that additional receptors may contribute to viral infection and dissemination, such as DC-SIGN (also known as CD209), L-SIGN (also known as CD209L or CLEC4M), neuropilin-1 (NRP-1), basigin (also known as CD147) or heparan sulfate. It remains to be established whether these molecules act as alternative primary receptors for viral entry, as co-receptors or as attachment receptors that tether viral particles, enhancing their interaction with ACE2. In this study, we identify DC-SIGN, L-SIGN and SIGLEC1 (also known as CD169, sialoadhesin or Siglec-1) as attachment receptors that enhance ACE2-dependent infection and demonstrate different mechanisms of neutralization by antibodies targeting RBM and non-RBM sites in the presence or absence of lectins.

SARS-CoV-2は,各モノマーがS1およびS2サブニットを構成するホモ3量体として編成された,スパイク(S)糖タンパク質を介して標的細胞に感染する.感染経過は,細胞への結合,Sの体制(コンフォーメション)の変化を含み,それによって,標的細胞膜とウイルス膜の融合を起こす.SのS1サブ ユニットは,N末端領域(NTD)および受容体結合領域(RBD)から構成されている.RBDは,受容体結合モチーフ(RBM)として定められた領域を通じてACE2と相互作用する.抗RBD抗体は,ポリクローナル血清抗体の中和活性の大部分に寄与しており,試験管におけるSARS-CoV-2への中和能力や,COVID-19の予防や初期治療に対する臨床試験において有効性を示した.

SARS-CoV-2中和抗体を調べるには,ACE2受容体を過剰発現する標的細胞を使えば容易であるが,下気道におけるACE2発現は限定的であり,低いレベルで,わずかに,II型肺胞基底細胞,杯細胞および粘膜細胞でのみ見られる.肺における低いACE2レベル,および,肺外合併症に導く他の組織への感染の矛盾は,DC-SIGN(CD209としても知られる), L-SIGN(CD209LあるいはCLEC4Mとしても知られる),neuropilin-1(NRP-1), basigin(CD147としても知られる)あるいはへパラン硫酸の様な,さらに付加的な受容体が感染や感染の広がりに寄与しているのかもしれない.これ等の分子が,ウイルス侵入に対して,第一受容体の代替として,共受容体として,あるいは,ウイルス粒子を繋ぎ止め,ACE2との作用を高める吸着受容体として作用するのかの確認が残っている.この研究で,我々は,DC-SIGN, L-SIGNおよびSIGLEC1(CD169, sialoadhesinあるいはSiglec-1としても知られる)が,ACE2依存感染を高める吸着受容体であると確定し,レクチンがある場合,あるいは,ない場合に,RBMおよび非RBM部位を標的とする異なる中和メカニズムを証明する.

 

(岩波『生物学辞典』から)

*** レクチン[lectin] --- 細胞膜複合糖質(糖タンパク質や糖脂質)の糖鎖と結合することによって,細胞凝集,分裂誘発,機能活性化,細胞障害などの効果をおよぼすタンパク質の総称.動植物,細菌,ウイルスまで広く分布している.植物由来レクチンの例として,インゲンマメのPHA, ナタマメのConA(コンカナバリンA), アメリカヤマゴボウのpokeweed mitogen(PWM)などがある.PHAとConAはT細胞の,PWMはT細胞とB細胞の分裂を誘発する.

*** 吸着(ウイルスの)[attachment, adsorption] --- ウイルス粒子が細胞表面の受容体に特異的に結合すること.この過程は,可逆的吸着段階と不可逆的吸着段階の2つの段階に区別される.

*** コンフォーメーション[conformation] --- (同)配座.分子の三次元的立体構造.単結合の周りの(その両側の基の)内部回転角を決めることによって定まる分子構造.内部回転角は,いつでも同じポテンシャルエネルギーを持つものではなく,いくつかの安定位置を持っている.これがタンパク質や核酸の分子構造を決定している重要な要素の一つになっている.さらに配座は,酵素分子などの作用をつかさどっている重要な要素である.

*** CD[cluster of differentiation, cluster of determination ] --- 分化クラスターの略.ヒト白血球細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を,その反応する抗原によって分類した群.

*** DC[dendritic cell] --- 樹状細胞.造血幹細胞に由来し,リンパ系組織をはじめ,種々の組織に分布する樹状突起を有した細胞.樹状細胞の主な役割は抗原提示細胞として,抗原物質を取り込み,ペプチドに分解し,MHC-抗原ペプチド複合体の形でT細胞に抗原を提示し活性化させ獲得免疫を惹起することである.[---] リンパ球系樹状細胞の形質細胞様樹状細胞は,樹状突起がなく食作用活性もほとんど示さないが,ウイルス感染時に多量のインターフェロンα/βを産生し自然免疫応答の増強に関与する.

*** へパラン硫酸[heparan sulfate] --- グリコサミノグリカンの一種で,プロテオグリカンとして細胞膜および基底膜の成分として広く存在する.血液凝固阻止剤ヘパリンを製造する過程で,血液凝固阻止活性がない類似の成分として発見された.哺乳類の,肝,肺,腎,脾,脳,大動脈などに広く分布する.近年発見された多くのヘパリン結合性の細胞成長因子のリガンドは,このグリコサミノグリカンと考えてよい.由来の違いにより,鎖の長さと硫酸含量が多様である.このように変化に富んだポリアニオン(多価陰イオン)の存在は,細胞表面の性質を,また種類の異なる細胞成長因子の各々に特異なリガンドとしての性質を理解する上で重要である.

*** cell-cell fusogenes --- Cell-cell fusogenes are glycoproteins that facilitate the fusion cell to cell membranes. cell-cell fusogenesは,細胞と細胞膜の融合(細胞間膜融合?)を促す糖タンパク質である.(pc 辞書)

 

Lectins are attachment receptors for SARS-CoV-

レクチンはSARS-CoV-2に対する吸着受容体である

To develop an assay for identification of attachment receptors of SARS-CoV-2 infection, we used HEK 293T cells that express low endogenous levels of ACE2. HEK 293T cells were transfected with vectors encoding ACE2 or one of 13 selected lectins and published receptor candidates before infection with vesicular stomatitis virus (VSV) SARS-CoV-2 pseudovirus. Untransfected HEK 293T cells were only weakly permissive to infection, and ACE2 overexpression led to a marked increase in pseudovirus entry. Increased infectivity was also observed in HEK 293T cells following transfection with C-type lectins  DC-SIGN and L-SIGN, which were previously reported to be entry receptors, as well as with SIGLEC1, which was not previously shown to mediate SARS-CoV-2 entry (Fig. 1a). NRP-1 and CD147 did not enhance SARS-CoV-2 infection in these conditions, although they have been suggested to act as entry receptors. The infection-enhancing activity of the three lectins was also observed with authentic SARS-CoV-2 on cell lines stably expressing these factors (Fig. 1b, Extended Data Fig. 1a-d). A SIGLEC1-blocking antibody inhibited infection of SIGLEC1-expressing HEK 293T cells, supporting a role of this molecule as a SARS-CoV-2 co-factor (Fig. 1c).

The ectopic expression of DC-SIGN, L-SIGN and SIGLEC1 did not support infection of ACE2-negative cells, such as HeLa or MRC-5 cells (Fig. 1d), indicating that these lectins do not act as primary entry receptors. The requirement of ACE2 for viral infection of lectin-expressing cells was also demonstrated using ACE2-blocking antibodies or ACE2 small interfering RNA (siRNA) (Fig. 1e, Extended Data Fig. 1e). Collectively, these data reveal a lectin-facilitated pathway of infection that is evident in cells expressing low levels of ACE2, supporting the notion that SARS-CoV-2 may use these lectins as attachment receptors to tether viral particles, thereby facilitating interaction with ACE2

SARS-CoV-2感染の吸着受容体を確認するための検査法を開発するために,低内在レベルのACE2を発現するHEK 293T細胞を使った.HEK 293T細胞は,ACE2をコードするベクターによって,あるいは,選ばれた13のレクチンのうちの1つおよび水疱性口内炎ウイルス(VSV)SARS-COV-2擬製ウイルスを感染させる前の公開されている受容体候補によってトランスフェクトされる.トランスフェクトされていないHEK293T細胞はほんのわずかしか感染せず,ACE2の過剰発現によって,擬製ウイルスの侵入が顕著に増大する.感染力の増大は,以前にはSARS-CoV-2侵入を媒介することが示されていなかったSIGLEC1だけでなく,以前に侵入受容体であることが報告されていたC型レクチン DC-SIGNやL-SIGNによるトランスフェクションの後に,HEK293T細胞でも観察された.NRP-1およびCD147は,侵入受容体として作用することが示唆されていたが,これ等の条件のもとで,SARS-CoV-2感染を強めなかった.これ等の因子を安定的に発現する細胞株において,本物のSARS-CoV-2に,3つのレクチンの感染増強活性も観察された.SIGLEC1阻止抗体は,SIGLEC1発現HEK293T細胞の感染を抑制し,SARS-CoV-2共因子(補因子)としてのこの分子の役割が確かめられる.

DC-SIGN, L-SIGNおよびSIGLEC1の外部発現は,HeLaあるいはMRC-5細胞の様なACE2ネガティブ細胞の感染を支援せず,これ等のレクチンが,第一侵入受容体として作用しないことを示している.レクチン発現細胞のウイルス感染のためのACE2の条件は,ACE2阻止抗体あるいはACE2 small interfering RNA(siRNA)を使っても証明された.総括すれば,これ等のデータは,低レベルACE2発現細胞で明らかな,レクチンによって促進された感染経路を明らかにし,SARS-CoV-2は,ウイルス粒子をつなぎとめるための吸着受容体としてこれ等のレクチンを使うことができる,そのため,ACE2との相互作用を促進するという考えが支持される

Attachment receptors facilitate trans infectio

吸着受容体はトランス感染を促進する

Interaction with ACE2 could take place in cis or in trans, as reported for HIV-1. To address whether ACE2 and lectins can be found on the same cells (that is, in cis), we interrogated the lung cell atlas (Extended Data Fig. 2a). DC-SIGN is expressed most prominently on IGSF21^{+} dendritic cells, L-SIGN has a limited expression on vascular structures and SIGLEC1 is broadly expressed at the surface of alveolar macrophages, dendritic cells and monocytes. ACE2 expression is limited to subsets of alveolar epithelial type-2, basal and goblet cells. We then mined single-cell transcriptomic data on 3,085 lung epithelial and immune cells obtained from bronchoalveolar lavage (BAL) fluid or sputum of individuals who suffered from severe COVID-19. The distribution of viral RNA per cell varied across annotated cell types. Specifically, the content of viral RNA in macrophages was greater relative to secretory cells (P < 2.2 × 10-16) (Extended Data Fig. 2b). SIGLEC1 was expressed in 41.4% (459 out of 1,107 cells) of SARS-CoV-2+ macrophages, whereas ACE2 expression was negligible in these cells (Fig. 2a). Conversely, ACE2 expression was found in 10.6% (60 out of 565 cells) of SARS-CoV-2+ secretory cells, whereas SIGLEC1 expression was negligible. In the full dataset (including cells from BAL or sputum without detectable SARS-CoV-2), 1,037 cells were annotated as dendritic cells (DCs), out of which 349 (34.6%) were SIGLEC1+ (34.6%). In total, 19 out of 1,037 DCs (less than 2%) had detectable SARS-CoV-2, of which 47% (9 out of 19) exhibited detectable SIGLEC1 expression. Plotting SIGLEC1, DC-SIGN and L-SIGN expression as a function of SARS-CoV-2 viral load revealed a strong positive correlation for SIGLEC1 in macrophages (Fig. 2a). We confirmed this association in a separate transcriptomic dataset of 1,072 SARS-CoV-2+ BAL cells from individuals with severe COVID-19. We inspected the available sequenced reads from this dataset to assess the nature of viral RNA in SARS-CoV-2+ BAL cells. Minimal viral replication was occurring in this cell population comprising largely of macrophages and other non-epithelial cell types.

The above results suggest limited cooperation of ACE2 and SIGLEC1 in cis, because these receptors are rarely expressed in the same cell, suggesting a role for trans infection from SIGLEC1+ myeloid antigen presenting cells to ACE2+ cells. Indeed, lectin-transduced HeLa cells showed enhanced capacity to promote VSV-SARS-CoV-2 trans infection of susceptible Vero E6-TMPRSS2 target cells (Fig. 2b), and SIGLEC1-mediated trans infection was  inhibited by SIGLEC1-blocking antibodies (Fig. 2c, Extended Data Fig. 2c).

Next, we evaluated viral attachment and trans infection in primary myeloid cells using replication-competent SARS-CoV-2. Lectins are expressed mostly on antigen-presenting cells such as macrophages, DCs and monocytes, and their expression can be upregulated by innate inflammatory stimuli such as interferons. While both macrophages and DCs are able to take up SARS-CoV-2 via SIGLEC1, macrophages mostly release inflammatory cytokines upon viral sensing. Here we demonstrate that SIGLEC1 acts as a key factor in the trans infection of susceptible cells from primary DCs. In particular, we found that primary activated DCs cannot be productively infected but can mediate SARS-CoV-2 infection of target cells expressing ACE2 and TMPRSS2, and that this infection was reduced in the presence of an anti-SIGLEC1 antibody (Fig. 2d). In vivo, the trans infection mediated by SIGLEC1 could be relevant once inflammatory DCs migrate to pulmonary tissues upon SARS-CoV-2 infection and could help to spread infection in the lung and to distant tissues. These results are consistent with a role of lectins in dissemination of SARS-CoV-2.

ACE2との相互作用は,HIV-1で報告されていた様に,シス調整領域(in cis)や転写領域(in trans)において生じる.ACE2やレクチンが同じ細胞において(すなわち,シス領域において)見られることをいうために,肺細胞アトラスに確かめた.DC-SIGNは,IGSF21^{+} 樹状細胞上に最も顕著に発現し,L-SIGNは血管系にわずかに発現し,SIGLEC1は,肺胞マクロファージ,樹状細胞および単球の表面に,広く発現する.ACE2発現は,肺胞上皮タイプ2, 基底細胞および杯細胞の一部集合に限られる.そして,我々は,気管支肺胞洗浄(BAL)液,あるいは,COVID-19重症者の唾液から得られた3,085の肺上皮細胞および免疫細胞に関する単一細胞トランスクリプトーム解析データをマイニングした.細胞毎のウイルスRNAの分布は,属性付きの細胞型に渡って変化する.とりわけ,マクロファージにおけるウイルスRNA含有量は,分泌細胞に比較して相対的に大きい(P<2.2 × 10^{-16}).SIGLEC1は,SARS-CoV-2感染マクロファージの41.4%(1,107細胞中の459)において発現した.一方,ACE2発現は,これらの細胞において,ほとんどなかった.逆に,ACE2発現は,SARS-CoV-2陽性分泌細胞の10.6%(565細胞中60)に見られ, SIGLEC1発現はほとんどなかった.(SARS-CoV-2の検出できないBALあるいは唾液を含む)全データセットにおいて,1,037細胞は樹状細胞(DC)に属性づけられ,そのうちの349(34.6%)は,SIGLEC1陽性(34.6%)であった.トータルすると,1,037DCのうちの19(2%以下)からSARS-CoV-2が検出でき,その47%(19のうちの9)は, SIGLEC1発現が検出できなかった.SASR-CoV-2ウイルス荷重の関数としてSIGLEC1, DC-SIGN, および,L-SIGN発現を散布すると,マクロファージにおけるSIGLEC1に対する強い正の相関が明らかになった.我々は,COVID-19重症者からの1,072のSARS-CoV-2 BAL細胞の分離されたトランスクリプトーム解析データセットにおいて,この結びつきを確かめた.SARS-CoV-2陽性BAL細胞におけるウイルスRNAの性質にアクセスするために,このデータセットから利用可能な配列化読み枠を調べた.マクロファージやその他の上皮細胞型を多く含む細胞集団において,最小限のウイルス複製が生じていた.

上記の結果は,シス調整領域におけるACE2とSIGLEC1の限定的な協同を示している.というのは,これ等の受容体は,同じ細胞で発現することは稀であり,SIGLEC1陽性抗原発現細胞からACE2陽性細胞へのトランス感染を示唆しているからである.事実,レクチン形質導入されたHeLa細胞は,感染しやすいVero E6-TMPRSS2標的細胞のSARS-CoV-2トランス感染を促進する能力が強められていること,および,SIGLEC1を媒介とするトランス感染は,SIGLEC1阻止抗体によって抑制されていることが示された.

次に,複製能力のあるSARS-CoV-2を使って,第1骨髄由来細胞におけるウイルス吸着とトランス感染を評価した.レクチンは,ほとんど,マクロファージ,DCs(樹状細胞)および単球のような, 抗原提示細胞上に発現していた.そして,それ等の発現は,インターフェロンのような生得的な炎症性刺激によってアップレギュレート(作用物質が受容体数を増加させる)できる.マクロファージやDCsは双方ともSIGLEC1経由のSARS-CoV-2を捉えることができるが,マクロファージは,主に,ウイルス感受に関する炎症性サイトカインを放出する.ここで,SIGLEC1が,第一次DCsからとった感受性細胞のトランス感染における重要な因子として作用することを証明する.特に,第一活性DCsは,感染を引き起こすようなことはできないが,ACE2やTMPRSS2発現標的細胞のSARS-CoV-2感染を媒介することができること,そして,この感染は,抗SIGLEC1抗体が存在すれば減少することがわかった .生体では,SIGLEC1を介したトランス感染は,SARS-CoV-2感染において,炎症性DCがいったん肺状組織に移動し,そして,肺や離れた組織に感染を広げる.これ等の結果は,SARS-CoV-2の拡大におけるレクチンの役割と一致している.

Overexpression of ACE2 impairs neutralization

ACE2の過剰発現は中和能を損なう

To investigate how ACE2 and attachment receptor expression levels influence neutralizing activity, we compared three monoclonal antibodies targeting distinct sites on the S protein: (1) S2E12, targeting the RBM site Ia/class 1 in the RBD; (2) S309, targeting the conserved N-glycan-containing site IV/class 3 distal from RBM; and (3) S2X333, targeting site i in the NTD (Fig. 3a). These monoclonal antibodies completely neutralize infection of Vero E6 cells with authentic SARS-CoV-2, albeit with different potencies, and their activity was not influenced by the expression of the TMPRSS2 protease (Extended Data Fig. 3a, b). To understand the influence of receptor expression on neutralization, we used cell lines expressing ACE2 and TMPRSS2 (endogenously or upon transduction) at levels varying more than 1,000-fold (Fig. 3b, Extended Data Fig. 3c, d). Whereas the RBM monoclonal antibody S2E12 showed comparable neutralizing activity on all target cells, both S309 and S2X333 showed impaired neutralizing activity when tested on cells overexpressing ACE2, in terms of both maximal neutralization and potency (Fig. 3c, d). Similar results were obtained with both VSV-SARS-CoV-2 and authentic SARS-CoV-2-Nluc, a nanoluciferase-expressing infectious SARS-CoV-2 clone. Overall, a negative correlation was found between ACE2 levels and neutralization potency for non-RBM monoclonal antibodies (Extended Data Fig. 3e).

Given this uncertainty in the most relevant in vitro correlates of protection, we investigated the capacity of hamsterized S309 and S2E12 monoclonal antibodies to prevent SARS-CoV-2 infection in Syrian hamsters, an animal model that relies on endogenous expression of ACE2. In a prophylactic setting, S309 was highly effective at doses as low as 0.4 mg kg-1 in terms of reduction of viral RNA and infectious virus levels and histopathological score in the lungs (Extended Data Fig. 4a). Furthermore, we did not observe substantial increased efficacy by co-administering S309 with an equal amount of the potent RBM S2E12 monoclonal antibody (Extended Data Fig. 4b). An ‘Fc-silenced’ version of hamsterized S309 monoclonal antibody (GH-S309-N297A) (Extended Data Fig. 5) was similarly protective against SARS-CoV-2 challenge of hamsters, underscoring that the neutralizing activity of S309 was the primary mechanism of action in this condition.

 Together, these data indicate that neutralization assays using cells overexpressing ACE2 underestimate the neutralizing activity of non-RBM monoclonal antibodies, which are similarly protective in a relevant animal model of infection to RBM monoclonal antibodies. The importance of this finding is also supported by the efficacy data of VIR-7831 (a derivative monoclonal antibody of S309) in a phase 3 clinical trial demonstrating 85% protection against hospitalization and death due to COVID-19.

ACE2および吸着受容体発現レベルが中和活性にどれほど影響するのかを調べるために,Sタンパク質の異なる部位を標的とする3つのモノクローナル抗体を比較した.(1) RBDにおけるRBM部位 Ia/class 1を標的とするS2E12,(2) RBM末端のNグリカン含有保存部位IV/class 3を標的とするS309, (3) NTDにおける部位iを標的とするS2X333. これ等のモノクローナル抗体は,その効力はまちまちであっても,完全に,本物のSARS-CoV-2のVero E6細胞への感染を中和し,その活性は,TMPRSS2プロテアーゼの発現に影響されない.受容体発現の中和に関する影響を知るために,1,000倍以上も異なるレベルで,(内在的な,あるいは,形質導入された)ACE2およびTMPRSS2発現細胞株を使った.RBMモノクローナル抗体S2E12が,全ての標的細胞に同等の中和活性を示した一方で,S309およびS2X333は双方とも,過剰発現ACE2細胞の検査では,最大中和能や効力双方に関して,中和活性が損なわれていた.VSV-SARS-CoV-2,および,SARS-CoV-2-Nluc, ナノルシフェラーゼ(発光酵素)発現SARS-CoV-2感染クローン双方でも,同様の結果が得られた.全体として,ACE2レベルと非RBMモノクローナル抗体の中和効果の間に,負の相関が見られた.

試験管での感染防御に関する最も関連の深いつながりに不確実性があるので,ACE2内在性発現の動物モデル,シリアハムスターへのSARS-CoV-2感染を妨げる,ハムスター用のS309およびS2E12の容量を調べた.予防的に投与して,S309は,ウイルスRANおよび感染ウイルスレベルおよび肺の組織病理学的スコアの減少に関して,0.4 mg kg^{-1}ほどの低い投与で,高い効果を示した.さらに,S309と効果のみこめるRBM S2E12モノクローナル抗体の同量の同時投与で,実質的に効果が増大したということは認められなかった.ハムスター用S309モノクローナル抗体の`Fcサイレント'バージョン(GH-S309-N297A)は,ハムスターへのSARS-CoV-2感染を,同様に防御した.S309中和活性は,この条件における,第一作用機序であることがはっきりとなる.

まとめると,これ等のデータから,ACE2過剰発現細胞を使った中和検査は、非RBMモノクローナル抗体の中和活性を過小評価しており,それが,関連するRBMモノクローナル抗体への感染動物モデルにおけると同様な防御能力があることが示された.この発見の重要性は,COVID-19の入院や死亡を85%防ぐことが証明された第3相臨床試験における,VIR-7831(S309の派生モノクローナル抗体)の有効性データからも支持される.

Antibody-mediated membrane fusion

抗体媒介膜融合

Infection of permissive cells involves both interactions with ACE2 and attachment receptors as well as fusion of the viral membrane to cellular membranes. We investigated how different classes of S-specific antibodies may interfere with viral fusion events that are involved in viral entry, but also in cell-to-cell fusion, leading to the formation of syncytia in vitro and multi nucleate giant cells in human lung from infected individuals. RBM-specific SARS-CoV neutralizing monoclonal antibodies can act as ACE2 mimics, triggering the fusogenic rearrangmement of the S protein. We evaluated monoclonal antibodies of different epitope specificity (Extended Data Table 1) to induce fusogenic rearrangement of soluble S trimers as measured by negative-stain electron microscopy imaging using Fab fragments of the respective monoclonal antibodies (Extended Data Fig. 6a). Five RBM monoclonal antibodies triggered rearrangement to the post-fusion state of a native SARS-CoV-2 S ectodomain trimer, probably owing to conformational selection of open RBDs. Most of these monoclonal antibodies triggered a rapid rearrangement of S, whereas S2D106 did so more slowly. As expected, S2M11, a RBM monoclonal antibody that locks neighbouring RBDs in a closed state, did not induce fusogenic S rearrangements. Antibodies to NTD (S2X333), to site Ib on RBD (REGN10987 and LyCoV555) or to the N-glycan-containing site at the base of RBD (S309) also did not trigger rearrangement, owing to the absence of conformational selection for open RBDs.

To investigate whether the antibody-mediated triggering of fusogenic rearrangement could promote membrane fusion, we evaluated a panel of monoclonal antibodies for their capacity to induce cell-cell fusion of CHO cells (which lack ACE2 expression) stably transduced with full-length SARS-CoV-2 S. Syncytia formation was triggered by all monoclonal antibodies recognizing antigenic sites Ia and IIa (Extended Data Table 1), which are accessible only in the open RBD state, with half-maximum effective concentration (EC50) values ranging from 20 ng ml^{-1} for S2E12 to more than 1 μg ml^{-1} for S2D106 (Extended Data Fig. 6b-d). Syncytia were also formed by the three clinical-stage monoclonal antibodies: REGN10933 (casirivimab), Ly-CoV016 (etesevimab) and CT-P59 (regdanvimab). By contrast, syncytia were not formed in the presence of monoclonal antibodies binding to the open and closed RBD states (S2M11, S309, Ly-CoV555 (bamlanivimab) and REGN10987 (imdevimab)), to the NTD (S2X333) or to a conserved site in the S2 subunit stem helix (S2P6). A notable exception is provided by S2X58, a monoclonal antibody that was structurally defined in this study as binding to site Ib, which is accessible on open and closed RBDs (Extended Data Fig. 7). Of note, syncytia were also formed when using S2E12 Fab, indicating that cell-cell fusion does not result solely from cross-linking of S expressed on opposing cells (Extended Data Fig. 6g). Regarding the possible interaction between fusogenic and non-fusogenic antibodies, we found that syncytia formation induced by S2E12 could be inhibited by different classes of antibodies comprising S2M11 (which locks RBDs in a closed state), S309 (which targets an N-glycan-containing site at the base of RBD) and S2P6 (which destabilizes the stem helix in S2) (Extended Data Fig. 6e). These results highlight that different combinations of antibodies may interfere with each other by promoting or inhibiting membrane fusion.

To address whether antibodies may promote cell-to-cell spread of the infection, we co-cultured S-positive CHO cells with S-negative fluorescently labelled CHO cells. In these conditions, S2E12 promoted unidirectional fusion of S-positive CHO cells with S-negative CHO cells in the absence of ACE2 (defined here as ‘trans fusion’) (Extended Data Fig. 6f). To address whether this mechanism may also mediate ACE2-independent infection of tethered virus, we infected HeLa-DC-SIGN cells with live SARS-CoV-2-Nluc virus in the presence of fusion-enhancing monoclonal antibodies at different dilutions. In these conditions, S2E12, S2D106 and S2X58 did not promote infection (Extended Data Fig. 8a). Collectively, these findings indicate that in certain conditions of antibody concentration and cell-cell proximity, a subclass of RBM antibodies selective for the open conformation of RBD may promote cell-cell fusion with ACE2-negative cells. However, the fusogenic activity of these monoclonal antibodies may not be sufficient to promote entry of virions tethered to the cell surface in the absence of ACE2. It remains to be established whether RBM monoclonal antibodies may mediate ACE2-independent SARS-CoV-2 entry under other conditions, as previously observed for anti-MERS-CoV neutralizing monoclonal antibodies captured by FcγRIIa-expressing cells in vitro.

許容的細胞の感染は,ウイルス膜と細胞膜の融合だけでなく,ACE2および吸着受容体双方との相互作用を含んでいる.S特異的抗体の異なるクラスが,どれ程,ウイルス侵入のウイルス融合イベントを妨げるか,それはまた,細胞間融合でもあるが,試験管における多核体および感染患者から取ったヒト肺における多核巨大細胞の形成誘導を調べた.RBM特異的SARS-CoV中和モノクローナル抗体は,ACE2類似物として作用することができ,Sタンパク質の易融合再構成(膜貫通糖タンパク質再構成)を誘発する.可溶性S三量体の膜貫通糖タンパク質再構成を引き起こす,異なるエピトープ特異性を持つモノクローナル抗体を,各々のモノクローナル抗体のFab断片を使って,ネガティブ染色電子顕微鏡イメージングでの測定として評価した.5つのRBMモノクローナル抗体は,天然SARS-CoV-2 S 外部領域(膜から突き出た部分)三量体の融合後状態への再構成の引き金になっており,おそらく,オープンRBDsのコンフォーマル選択によるのだろう.これ等のモノクローナル抗体のほとんどは,Sの再構成を素早く行うが,S2D106は,非常にゆっくりと行なっていた.予想されるように,S2M11,クローズ状態の隣接RBDsをそのままの状態にするRBMモノクローナル抗体は,膜貫通Sタンパク質再構成を起こさなかった.NTD,RBD上のIb部位(REGN10987およびLyCoV555), あるいは,  RBDの塩基(S309)でN型糖鎖を含む部位に向けた抗体(S2X333)は,再構成を起こさなかったが,オープンRBDsに対するコンフォーマル選択の欠如による.

膜貫通糖タンパク質再構成を誘発する仲介抗体が膜融合を促進できるかどうかを調べるために,我々は,安定な全長SARS-CoV-2 S で形質導入された(ACE2発現を欠く)CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞の細胞間融合を誘発するためのモノクローナル抗体のパネルの容量を評価した.抗原部位IaおよびIIaを認識する全てのモノクローナル抗体は,それ等もまた,オープンRBD状態にのみ接続できるのだが,S2E12に対する20ng ml^{-1}からS2D106に対する1μg ml^{-1}の範囲の半数最大効果濃度の値(EC_{50})によって,多核体形成を引き起こした.多核体は,3つの臨床段階モノクロナール抗体,REGN10933(casirivimab), Ly-CoV016(etesevimab)およびCT-P59(regdanvimab)によっても形成された.対照的に,NTD(S2X333)への,あるいは,保護されたS2サブユニット・ステム・ヘリックス(S2サブユニット柄部分ヘリックス,S2P6)への,オープンおよびクローズドRBD状態に結びつくモノクローナル抗体(S2M11, S309, LyCoV555(bamlanivimab)およびREGN10987(imdevimab))が存在する場合は,多核体は形成されなかった.この研究において,Ib部位に結合するものとして構造的に定義され,開および閉RBDに接続できるS2X58は,注目される例外である.注目されることは,多核体は,S2E12 Fabを使った時にも形成され,細胞間融合は,対する細胞上に発現したSの架橋のみの結果ではないことが示される.膜貫通糖タンパク質抗体と非膜貫通糖タンパク質抗体の間で起こりうる相互作用に注意を払って,S2E12によって引き起こされた多核体形成は,S2M11(閉状態のRBDsのままにしておく),S309(RBD塩基でN型多糖鎖を含む部位を標的とする)およびS2P6(S2における柄ヘリックスを不安定にする)からなる別な抗体クラスによって制限できることを発見した.これ等の結果から,抗体の異なる組み合わせは,膜融合を促進したり抑制することで,互いを制約できることがはっきりした.

抗体が感染の細胞間拡大を促進するかどうかをいうために,Sネガティブ染色でラベルづけられたCHO細胞とSポシティブCHO細胞を共培養した.これ等の条件のもとで,S2E12は,ACE2のないSネガティブCHO細胞とSポジティブCHOの一方向の感染(ここでは,'トランス感染’と定義する)を促進した.この機構が,繋留ウイルスのACE2非依存感染を成立させることもできるかどうかをいうために,異なる希釈での,融合増強モノクローナル抗体が存在するもとで,HeLa-DC-SIGNに,生きたSARS-CoV-2-Nlucを感染させた.これ等の条件のもとで,S2E12, S2D108およびS2X58は,感染を促進しなかった.まとめると,これ等の発見から,抗体濃度および細胞間の接近度合いの一定の条件において,RBDの開コンフォーメーションに対する選択的RBM抗体サブクラスは,ACE2ネガティブ細胞との細胞間融合を促進することが示される.しかしながら,これ等のモノクローナル抗体の膜貫通糖タンパク質活性は,ACE2のない細胞表面に繋留されたウイルス粒子の侵入を促進するのに十分ではない.以前,試験管において,FcγRIIa発現細胞で捕捉された抗MERS-CoV中和モノクローナル抗体で観察されたように,RBMモノクローナル抗体が,異なる条件のもとで,ACE2非依存SARS-CoV-2侵入を成立させられるかどうかを確認することが残されている.

Lectin receptors modulate neutralization

レクチン受容体は中和を調整する

Given the dual function of certain RBM antibodies in inhibiting ACE2 binding and triggering fusion and the dependence on attachment receptor expression of neutralization by specific antibodies, we compared the neutralizing activity of a panel of monoclonal antibodies using authentic SARS-CoV-2 and target cells expressing different levels of ACE2 and lectin receptors. When tested on cells overexpressing ACE2, all anti-RBM monoclonal antibodies potently neutralized infection, whereas the non-RBM monoclonal antibodies S309 and S2X333 did not (Figs. 3, 4a, d). However, when tested on cells expressing low levels of ACE2 together with SIGLEC1, DC-SIGN or L-SIGN, S309 and S2X333 showed enhanced neutralizing activity, with S309 reaching 100% of neutralization. Of note, while all RBM monoclonal antibodies retained neutralizing activity on SIGLEC1+ cells, several RBM monoclonal antibodies (S2D106, S2X58, REGN10987, REGN10933 and LyCoV555) lost neutralizing activity on cells expressing DC-SIGN or L-SIGN, showing only partial neutralization at the highest concentrations tested (Fig. 4b, c, e, f, Extended Data Fig. 8c-e). The loss of neutralizing activity of S2X58 and S2D106 monoclonal antibodies observed on DC-SIGN- and L-SIGN-expressing cells was confirmed with both replication-competent SARS-CoV-2 (wild type), as well as with live SARS-CoV-2-Nluc (Extended Data Fig. 8d). However, all neutralizing monoclonal antibodies blocked trans infection of Vero-E6-TMPRSS2 target cells from HeLa cells expressing either DC-SIGN or SIGLEC1 (Extended Data Fig. 9). Together, these data delineate a complex pattern of neutralization of cis or trans viral infection by different classes of monoclonal antibodies whereby the epitope specificity, valency of binding and the ability to trigger fusogenic rearrangement can result in differential blocking efficiency.

ACE2結合を抑制し,融合や,特異的抗体によると同じ中和能を持つ吸着受容体への依存を誘発する,特定のRBM抗体の二重の機能が与えられたので,本物のSARS-CoV-2と,異なるレベルのACE2およびレクチン受容体を発現する標的細胞を使って,モノクローナル抗体パネルの中和活性を比較した.ACE2過剰発現細胞における検査では,全ての抗RBMモノクローナル抗体は,感染を強く中和した.他方,非RBMモノクローナル抗体S309およびS2X333は,中和しなかった.しかしながら,SIGLEC1, DC-SIGNあるいはL-SIGNとともに低レベルのACE2を発現する細胞での検査では,S309およびS2X333は強化された中和活性,S309では100%の中和に達する, を示した.特記されることは,全てのRBMモノクローナル抗体が,SIGLEC1陽性細胞に関する中和活性を維持しているのに対して,いくつかのRBMモノクローナル抗体(S2D106, S2X58, REGN10987, REGN10933およびLyCoV555)は,DC-SIGNあるいはL-SIGN発現細胞に関する中和活性を失っており,最も高い濃度検査で,単に不完全な中和能を示したことである.DC-SIGNあるいはL-SIGN発現細胞で見られるS2X58およびS2D106の中和活性の喪失は,生きたSARS-CoV-2-Nlucだけでなく,複製能力のある(replication-competent)SARS-CoV-2(野生型)双方で確認されたが,全ての中和モノクローナル抗体は,DC-SIGNあるいはSIGLEC1のどちらかを発現しているHeLa細胞から,Vero-E6-TMPRSS2標的細胞へのトランス感染を防いでいた.まとめると,これ等のデータは,抗原特異性,結合価及び細胞間膜融合糖タンパク質再構成の防御効果が違った結果であることから,異なるクラスのモノクローナル抗体によるシスあるいはトランスウイルス感染中和の複雑なパターンを物語っている.

 


新型コロナウィルス感染症を材料にして --- クローンウィルスをめぐって(16-2)

2021-10-24 22:51:03 | 科学(Science

Where did these VOIs and VOCs emerge?

 VOIsやVOCsはどこで出現したのか?

All currently recognized variants were first identified in countries with considerable capacity for genomic surveillance, which does not mean that they also first developed in those countries. At the moment, despite the massive surveillance effort where around 0.93% of all SARS-CoV-2-positive cases around the world are sequenced, the origin of these VOCs has not been found. One hypothesis is that accumulation of multiple mutations may occur within a single specific patient, as several case reports have described the identification of mutations shared with the current VOCs. For instance, deletion of amino acids 141-144 and the E484K and N501Y substitutions in the spike protein were observed in an immunocompromised patient who received plasma therapy in Hong Kong. In another case report, deletion of amino acids 141-144 in the spike protein was observed in an immunocompromised patient with cancer, while deletion of positions 69 and 70 in the spike protein, a hallmark of the Alpha variant, was observed in a chronically infected patient.

A second hypothesis is that the virus mutated in an animal reservoir, as SARS-CoV-2 has been shown to be able to infect many different animal species. Large-scale outbreaks of SARS-CoV-2 have for instance been identified in mink farms. In the Netherlands, only limited spillback to the human population was observed, while in France and Denmark there seemed to be temporal transmission from humans to animals and vice versa. SARS-CoV-2 infection has also been demonstrated in wild mink, making it not unlikely that mink can serve as a reservoir host. Other animal species that have been shown to be susceptible to SARS-CoV-2, some of which can also transmit the virus, are hamsters, ferrets, cats, dogs, lions, deer, monkeys and fruit bats, among others. Of note, newly emerging VOCs may have an extended host range, as the Alpha and Gamma variants have been shown to be able to infect mice. Taken together, these findings demonstrate that SARS-CoV-2 has a wide host range and that the role of animals as reservoir hosts and as a source for the emergence of new variants needs to be investigated.

A third possibility is that a particular virus variant may have evolved gradually in parts of the world where there is less genomic surveillance but widespread circulation. Whereas in some countries a substantial amount of SARS-CoV-2-positive cases have been sequenced, this is not true for all regions of the world. Given that variants with large numbers of mutations have been detected more frequently later in the pandemic and in countries with relatively high seroprevalence due to intense early pandemic waves, it is possible that natural selection of variants with immune escape is occurring during virus circulation in populations with little genomic surveillance.

現在分かっているすべての変異株は,最初,かなりのゲノム監視能力を持つ国々で確認されたが,そのことで,それ等変異株が,その国々で最初に生じたことを意味しない.現在,世界中のSARS-CoV-2陽性者の約0.93%の配列が調べられている大規模な監視の取り組みにも関わらず,これ等VOCsの起源については分かっていない.一つの仮説は,いくつかのケース報告で現在のVOCsに共通する変異の特定が述べられているように,多数の変異の蓄積は,ただ一人の特別な患者から生じたというものである.例えば,スパイクタンパク質の141- 144でのアミノ酸欠失変異,および,E484KおよびN501Y置換変異は,香港において,血漿治療を受けた免疫抑制患者に見られた.別なケース報告では,スパイクタンパク質の141-144でのアミノ酸欠失が,免疫抑制がん患者に見られ,他方,α変異株の大きな特徴であるが,スパイクタンパク質における69および70の位置の欠失は,感染患者にいつも見られた.

第二の仮説は,SARS-CoV-2は,多くの異なる動物種に感染できることが示されたのだから,ウイルスが保ウイルス動物において変異したというものである.SARS-CoV-2の大規模な発生は,例えば,ミンク農場で確認された.オランダでは,ごく限られたヒト集団への還流が見られた.また,フランスやデンマークでは,一時的なヒトから動物への,またその逆の伝染が見られた.SARS-CoV-2は,野生のミンクでも感染することが明らかになり,ミンクが保有宿主の役割を果たし得ることになった.SARS-CoV-2感染が示された,その他の動物種は,いくつかはウイルスを伝染させることもできるが,ハムスター,フェラット,ネコ,イヌ,ライオン,シカ,サルおよびオオコウモリなどである.注記すべきこととして,α株やγ株がマウスに感染することが示されたのだから,新たに出現するVOCsは,宿主の範囲を広げているかもしれない.まとめると,これ等の発見から,SARS-CoV-2は広い範囲の宿主を持っていること,動物をウイルス保有宿主としていること,新たな変異株出現の原因となることを調べる必要があることがわかる.

第三の可能性は,特定のウイルス変異株は,ゲノム監視がなされていないが,感染が広まっている世界の一部で,徐々に進化しているというものである.いくつかの国では,SARS-CoV-2陽性者のかなりの数の配列が調べられているが,世界のすべての地域に当てはまることではない.パンデミックにおいて,および,強烈な初期パンデミックによる比較的高い感染血清占有率の国々で,大きな数の変異を持つ変異株が,しばしば,ずっと後に検出されることを知れば,ゲノム監視がされていない集団でのウイルス流行の間に,免疫逃避を持つ変異株の自然淘汰が生じることはあり得ることである.

When does a variant become a VOC?

変異株はいつVOCになるのか?

As genomic monitoring continues to increase in volume, new variants will continue to be detected. A key challenge is to predict and flag VOIs that might be of concern. This requires in-depth knowledge of the genomic profile and possible biological implications of these VOIs. The WHO’s working definition of a VOI is that a variant should be phenotypically different or have a genome with mutations that lead to amino acid changes with established or suspected phenotypic implications. Another requirement is epidemiological evidence of sustained and possibly increased community transmission in one or several countries. The WHO has convened a working group to assess evidence from multiple sources to underpin the assignment of VOIs and VOCs. A SARS-CoV-2 variant is currently classified as a VOC if it has been demonstrated that this variant is associated with an increase in transmissibility, an increase in virulence or changes in clinical disease presentation, or a decrease in the effectiveness of public health and social measures or available diagnostics, vaccines or therapeutics or when a variant is assessed to be a VOC by the WHO in consultation with the WHO SARS-CoV-2 working group.

ゲノムをモニターしている国々で,その量が増えるにつれて,新たな変異株が検出されていくだろうが,取り組むべき重要なことは,懸念されることになるかも知れないVOIsを予測したり,目安をつけることである.そのためには,これ等のVOIsのゲノムプロファイルや生物学的にあり得る形質変化の詳細な知識が要求される.WHOのVOIsの基本的な定義は,変異株は表現型(形質)を異にしているか,あるいは,表現型の定まった,あるいは,形質が変化する疑いのあるアミノ酸の変化をもたらす変異を伴うゲノムを持っていることである.一つあるいはいくつかの国で,確かな,そして,可能性として伝染群集の増加の疫学的証拠が,もう一つ別に,必要とされる.WHOは,VOIsおよびVOCsの指定の確認のための,複数の情報源からの証拠を評価する作業グループを持っている.その変異株が,伝染性の増大,毒性の強まりあるいは臨床的な病気の現れ方が変化する,あるいは,公衆衛生および社会的手段の効果が減少する,あるいは,診断,ワクチンあるいは治療を行えるか,あるいは,WHO SARS-CoV-2 作業グループと相談のもと,WHOがその変異をVOCであると評価したとき,現在は,SARS-CoV-2変異株は,VOCに分類される.

Future needs in genomics: fast genotype-to-phenotype prediction

ゲノム解析に今後要求されること:  迅速な遺伝子型からの表現型の予測

Observed changes in epidemiological patterns can be explained by multiple mechanisms not necessarily related to the observed mutations in viral genomes. To draw conclusions about specific variants, epidemiological observations need to be combined with experimental data to assess virus properties, such as infectivity, transmissibility, tropism, virulence and immune escape. To develop a robust knowledge base for monitoring of viral evolution in relation to pandemic preparedness, the rapidly expanding viral genomic sequencing network needs to include reference centers for virus characterization, working toward a suite of standardized assays, reagents, strain collections and serum samples, none of which is currently available for SARS-CoV-2 (ref. 90). The devil is in the details. For instance, propagation of the viruses in vitro can result in cell culture-adaptive mutations. This can be overcome by using specific cell lines or organoids and by developing a consensus mechanism for standardization and auditing of cell lines and protocols; however, such harmonization efforts are challenging and their implementation may take years. Currently, such standardization efforts are not part of molecular surveillance work and still remain to be developed by the field.

疫学的パターンにおける観察された変化は,ウイルスゲノムにおいて観察された変異に必ずしも関係しない多数のメカニズムによって説明できる.特定の変異株についての結論を導くために,疫学的観察は,ウイルス特性を評価するために,感染性,伝染性,ウイルス向性(ウイルスの種類に応じて増殖可能な細胞の種類が決まっていること),毒性および免疫逃避のような実験データと結び付けられる必要がある.パンデミックを準備することに関係する劇的な進化の監視のための基礎になる堅固な知識を開発するために,ウイルスゲノムネットワークの迅速な拡張は,ウイルスを特徴づけ,標準化された評価,試薬,株の収集および血清サンプルの一式に向けた作業のための参照中心を含む必要がある.そのどれも,今は,SARS-CoV-2に対して利用できるものになっていない.悪魔は細部に宿る.例えば,試験管におけるウイルスの増殖は,培養細胞順応変異に結果することがある.これは,特定の細胞株あるいはオルガノイドを使うことで,あるいは,細胞株やプロトコールの規格化や成熟のための共通の機構を開発することで,避けることができるが,そのような調和させるための努力に取り組んでおり,その実施には数年かかりそうである.現在,分子的監視には,その標準化の取り組みは含まれておらず,その分野での発展が待たれている.

A key question is what the priorities are for genotype-to-phenotype prediction, based on lessons learned so far. On the basis of the criteria for assignment of VOCs, it would make sense to focus on virus traits that can provide information about key properties of concern: transmissibility, virulence and immune escape or decreased effectiveness of available vaccines, diagnostics and therapeutics. However, this is a wide scope, and further prioritization may be needed. For instance, the inferred increased transmissibility observed for several VOCs thus far has not translated to fundamental changes in baseline public health strategies. That could be different if variants emerge for which new traits, such as changes in the age groups predominantly affected or modes of transmission, would warrant updating of interventions on the basis of solid experimental or field data. Arguably, the most urgent question is whether vaccine-derived immunity is affected by variant emergence, for which assessment of both humoral and cellular immune responses will be needed. This assessment has been performed for the Alpha and Beta variants, where it was shown that, although these variants can partially escape humoral immunity, CD4-specific T cell activation was not affected. The turnaround time for such assays, however, has to be improved for informed public health decision-making. Alternatively, reduced neutralization of VOCs may become an important screening assay, as neutralizing antibodies are a likely correlate of protection and neutralization assays can be performed relatively quickly once a high-quality virus isolate has been obtained.

主要な問題は,これまでに学んだ教訓に基づいて,遺伝子型から表現型の予測の優先事項は何かということである.VOCsの指定の基準に基づき,懸念される主要な特性 --- 伝染性,毒性および免疫逃避,あるいは,ワクチン,診断および治療の効果の減少 --- の情報を与えるウイルス特性に注目することは意味がある.しかしながら,これは広い範囲に渡るものであって,さらに優先順位を考えることが必要になるかも知れない.このことは,確かな実験データあるいはフィールドデータに基づき,挿入事項のアップデートを保証するであろう,顕著な影響を被る年齢層の変化あるいは伝染モードの変化というような新たな特徴が変異株に生じるかどうかで異なる.間違いなく,最も切迫した問題は,ワクチン誘発性免疫が,変異株の出現によって影響を受けるかどうかということであり,そのためには,液性および細胞性免疫反応双方の評価が必要である.この評価は,アルファ株およびベータ株に対して行われ,これ等の変異株は,ある程度は液性免疫を逃れることができるが,CD4特異的T細胞活性には影響しないことが示された.それでも,公衆衛生上の意思決定に役立つ情報を与えるためには,そのような分析評価に改善を加える転換点が必要である.その一方で,中和抗体が感染防御に関係しうるものであり,高い質の単離ウイルスが得られるや,中和性の評価が,相対的に素早く行われるときには,VOCsの減少した中和能は,重要なスクリーニング評価になりうるかも知れない.

It is likely that SARS-CoV-2 will continue to circulate and evolve and that a system analogous to the global influenza virus surveillance network will be needed. This is a network of national influenza centers and WHO collaborating centers that collect data on influenza-like illness trends and provide genetic and antigenic characterization data on a representative selection of viruses circulating in a more or less standardized manner. This information is aggregated globally and is used to decide whether and when the vaccine composition for the next season needs to be adapted. However, whereas the global influenza surveillance system has been largely reactive by selecting newly emerging antigenic variants identified during epidemics to generate vaccines for the next season, high-throughput global virus genome sequencing efforts also allow more forward-looking approaches. When robust assays are developed to quantify immune responses to SARS-CoV-2 after infection and vaccination, such assays may be used to test the effect of all amino acid substitutions observed in global surveillance studies on  immune escape, in real time. Examples of such studies are already available for immune escape changes resulting from substitutions in the receptor-binding domain of the spike protein, but additional assays can be developed, including assays for other antibody targets in the spike protein (for example, the N-terminal domain) and for T cell immunity. Robust, standardized and validated assays to measure viral immune escape based on genome sequence data and population immunity studies can provide information on vaccine effectiveness against emerging variants. The development of these assays would allow for timely risk assessment and a more immediate response in the case of emergence of VOCs with increased diversity of responses to vaccines.

SARS-CoV-2の流行拡大が続き,進化を続けて,地球規模のインフルエンザウイルス監視ネットワークと類似のシステムが必要とされることはありそうである.インフルエンザ様の疾患の動静に関するデータを集めて,多かれ少なかれ標準化されたやり方で,流行しているウイルスの典型を選択する遺伝子的および抗原的特徴のデータを提供する,国のインフルエンザセンターやWHOと協力体制にあるセンターのことであるが,この情報は,世界中から集計されて,来るべきシーズンに向けてのワクチンの合成を適合させる必要があるのかどうか,いつ必要なのかを決めるのに使われる.世界規模のインフルエンザ監視システムは,来るべきシーズンに向けてのワクチンを作るために,流行の間に確認された,新たな抗原性を持つ変異株の選び方によって大きく左右されてきたが,高い処理能力を持つ地球規模のウイルスゲノムシーケンシングの取り組みによって,より先を見据えたアプローチが可能になる.感染やワクチン接種後の,SARS-CoV-2免疫反応を量化する確実な評価法が開発され,そのような評価は,免疫逃避に関する世界規模の監視研究で調べられたすべてのアミノ酸置換変異の影響を,リアルタイムに,検査することに使えることだろう. そのような研究のいくつかは,すでに,スパイクタンパク質の受容体結合領域における置換により変化する免疫逃避に利用できるものであるが,スパイクタンパク質における別な抗体標的(例えば,N末端領域)およびT細胞免疫に対する評価を含む,さらなる評価法が開発されている.ゲノム配列データに基づく,ウイルス免疫逃避を測る,確実で,標準化された,適格な評価法および集団免疫の研究は,出現している変異株へのワクチンの効果を知る情報を与える.これ等の評価法の開発によって,時宜を得たリスク評価,ワクチン反応の多様性を増大させるVOCsが出現した場合のより迅速な対応が可能になるだろう.

Other potential indicators of increased public health risk are changes in transmissibility, changes in disease severity, reduced detection by diagnostic assays and reduced susceptibility to drugs and/or therapeutics. For each of these parameters, several assays and study types are available that should be further developed, standardized and assessed for their suitability for use in rapid risk assessment. Examples include the use of panels of viral antigens to screen for potentially reduced sensitivity of widely used rapid tests and the development of well-characterized reference sera for neutralization assays and reference viruses to be used in competition assays for each of the different variants, as mutations will continue to occur in VOCs and VOIs after their initial detection. Given the fact that SARS-CoV-2 may rapidly acquire mutations mapping to the spike protein upon inoculation in animals, human organoids potentially represent a powerful tool to further characterize SARS-CoV-2 variants. Recent studies, for example, have indicated that the Alpha variant, in comparison to an ancestral SARS-CoV-2 clade B virus, produces higher levels of infectious virus late in infection and has higher replicative fitness in human airway, alveolar and intestinal organoid models. These assays should also be performed in a timely fashion because the increasing volume of sequencing data otherwise has the potential to become a burden instead of a valuable source of information.

その他で,増大する公衆衛生上のリスクの指標となり得るのは,伝染性の変化,重症性疾患の変化,診断分析での検出の低下および薬や治療の双方かその一方での反応感受性の低下である.各パラメータに対して,さらに発展させて,標準化し,迅速なリスク評価への適合性を評価する必要があるが,いくつかの分析や研究タイプが利用できる.最初に検出されたのちのVOCsやVOIsにおいて,突然変異は起こり続けるだろうから,広く使われる迅速検査の感応性を低下させる可能性をスクリーンするための,ウイルス抗原のパネルの使用および中和分析のためのよく特徴付けられた参照血清の開発,異なる変異株に対する競合分析に使われる参照ウイルスを含む例が考えられる.SARS-CoV-2が,動物に植え付けたスパイクタンパク質と対応させた変異を素早く獲得するという事実が得られれば,ヒト・オルガノイドは,SARS-COV-2変異をさらによく特徴づけるための,強力なツールとなるかも知れない.例えば,最近の研究で,アルファ株は,先代のSARS-CoV-2クレードBウイルスと比較して,感染後によりレベルの高い伝染しやすいウイルスを産出しており,ヒトの気道,肺胞および腸のオルガノイド模型において,より高い複製適合性を持っていることが示された.シーケンシングデータの量が増えれば,価値のある情報資源どころか負担となる可能性があるのだから,これ等の分析は,また,時宜にあったやり方でなされなければならない.

Whenever possible, this work should be conducted without the use of full-length infectious SARS-CoV-2, for example, by using virus pseudotypes. However, some phenotypes, such as virulence and transmission, cannot be investigated without infectious viruses. Conclusive evidence for other experiments (for example, assays for immune escape) may also require use of infectious viruses. These experiments, conducted under the appropriate biosafety level 3 conditions, are crucial to keep intervention strategies up to date in the interest of public health and animal health. Key recommendations are summarized in Box 1. In combination, globally representative genomic surveillance linked with experimental data to validate signals from genomic data will provide a critical step forward in surveillance of current and potential pandemic threats.

可能なときには,この作業は,例えば,ウイルス擬型を使って,全長伝染性SARS-CoV-2を使うことなしに進めれれるべきだが,毒性や伝染性といった,いくつかの表現型は,伝染性ウイルスなしには調べられない.別な実験(例えば,免疫逃避の分析)の確実な証拠のためには,伝染性ウイルスを使うことも必要になる.バイオセーフティーレベル3の条件下で進められる,これ等の実験は,公衆衛生や動物の健康への利益に関して,最新の介入戦略を保つことがとても重要である.重要な推奨事項は,Box 1にまとめてある.考え合わせれば,ゲノムデータからの兆候を確認する実験データに結びついた世界の代表的なゲノム監視は,現在および来るべきパンデミックの脅威の監視に向けた重要なステップとなるだろう.

 

*** 補体活性化経路(activating pathway of complements) --- 補体系の諸成分が,一連の化学反応のカスケード(cascade(分かれ滝), 多くは酵素が関係する情報増幅反応形式)によって様々な生物作用を持つ活性因子(活性因子群)を生じる過程.(1) 古典経路,(2) 第二経路,および(3) レクチン経路の3経路がある.レクチン経路,この系は,抗体を介さずに細菌成分により,補体(主として血清成分)の活性化が起こることから,自然免疫系の一つとして注目されている.