現在、アマチュア無線をやっている局は、約40万局弱。そのうち、60歳以上のベテラン局や『再開組』の局が『推計65%』を占めている。現在は、まだ現役で頑張っていらっしゃる70歳代の局が『24%』も占めている。単純計算で、半数の12%が『すでに後期高齢者』と見た。アマチュア無線を楽しむには、多くの運用局数があった方が楽しいし、業界も潤うのだが『マーケティング的視点』が、どうも不足していると感じてしまう。
【写真:CQ出版『チャレンジアワード』参加局の年齢層を示したグラフ】
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◆長期に楽しむには『ログ』を征すべき。
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FT8を運用している私に『どこが楽しいのか?』と、
アイボール会などで、よく聞かれる。
正直なところ『運用自体、楽しいものではないが』と答えている。
確かに、コールしてリターンが返ってきたらアドレナリンは出ます。
1、CQ JF3TBM PM74
2、JF3TBM JS3ZZZ PM95
3、JS3ZZZ JF3TBM +00
4、JF3TBM JS3ZZZ -05
5、JS3ZZZ JF3TBM RR73
6、JF3TBM JS3ZZZ 73
たったこれだけの『やりとり』で、中身は楽しい要素もない。
さらに、片道15秒×6ストローク=90秒で終わる交信だ。
相手局がグリッドロケーターの『PM95』を省略してくれると、
さらに15秒も短い交信で、最短75秒で交信が完結する。
大事なのは、ここからだ。
先の記事にも書いたが『ログを征する者は・・・』である。
会社の経理部門でいえば『総勘定元帳』ともいえる。
これを電子化して、ADIFというデータのファイルを生成すると、
自身が登録している交信確認サイトにアップロードでき、
交信がクレジットされ、各種のアワード認定が得られる。
アマチュア無線を続けるには・・・。
1、DX系のアワードを目標に置いた運用
2、自作・実験
3、電信電話ごっこ(いわゆる、ラグチュー)
この3つを、上手くバランスよく組み合わせた運用をしないと、
こんな地味な道楽が、どうやって長続きするだろうか?。
前述のように、高齢者がハム人口の半分以上を占めている。
1、60歳代=40%
2、70歳代=24%
3、80歳代以上=6.0%
単純に、60歳代の半分が65歳以上の定年を過ぎた人とする。
これでも、アマチュア局の50%を占める勘定だ。
さらに、70歳代の局は『団塊世代』で、
飛びぬけて人口が多いのは周知の事実である。
現在、毎月1,000局が廃局している。
1千局×12か月=12,000局減/年
12千局×10年=120,000局減、となるのだが、
飛びぬけて人口が多い団塊世代が、
10年後には全員が後期高齢者になるばかりか、
現在の60歳代後半の人も後期高齢者になる。
中には、アマチュア無線どころではなく『要介護』の人も増える。
さらに、悲しいことだが天のお迎えがやってきてSKになられる局も。
私は、この先10年後『アマチュア無線局数は半減』と見ている。
高齢でも頑張っていらっしゃるOM局にもFT8をオススメはするのだが、
やはり、歳を重ねておられる分、自分スタイルも確立され、
加えて『もう、新しいコトを始めるのはおっくう』と聞く。
大事なのは、業界団体の取り組み方だ。
専門誌を見ていても『今月号が売れればそれでいい』としか感じない。
メーカーも『今、とにかく売れたらそれでいい』というプロモーション。
挙句は『社会貢献活動』と称してアマチュア無線を業務無線化しようと?。
私は、すでにJARLが、将来『事実上の倒産』も視野に入れている。
会員の多くが、かつての『終身会員』を占め、
全アマチュア局数の16%強である66千局しか会員になっていない。
仮に、終身会員がライフメンバーとしてQSLカードの転送手数料を払っても、
大した収入にはならないばかりか『一般社団法人』という、
開き直りにしか映らない『非営利団体』に成り下がっている始末だ。
こんな状態なら、とっととARRLの傘下に入って『日本支局』になればいい。
現在の66千局も、いずれ飽きて半減するだろう。
10年後、全アマチュア局が200千局を割り込んだと仮定して、
その15%程度がJARL会員になったとて30千局。
もう、ほとんど『発展途上国と同水準』に転落だ。
今のところ、FT8の7MHz、とりわけ国内向け7.041MHzは盛況だが、
これもIARUのバンドプランを取り入れたとしたら、
7.037MHzに移行して『CW和文局』から鬱陶しい存在になるだろう。
海外から見たら、現在の7.041MHzは『異常な騒々しさ』で、
かつてのジャパニーズテンワットのSSB帯を思い出させる状態。
俯瞰してみれば『JAだけのガラパゴス周波数』ともいえよう。
今や、2級資格まで『講習会で免許を買える』時代。
さらに、試験パスのためだけにCWの符号を覚えた上級者も増えた。
逆にいえば、CWすら『まともに運用できない、できそこない局』も目立つ。
3級資格者が全体の7%ほどを占め『イチバンオイシイ資格』なのだが、
メーカーも、専門誌も、ここにスポットを当てたマーケティングなど、
全くやれていないといっても過言ではなかろう。
本来ならば、一番分厚い層にマーケティングを仕掛けて、
そこを『育てていく』のが『業界全体の役割』のはずだが、
なんだかんだと『やらない言い訳』を並べて、
高価なHF機やANTを買ってくれそうな高齢者の上級資格者にしか目が向かない。
これで、どうやってアマチュア無線を活況させるのか、聞いてみたいものだ。
よく『アマチュア無線はキングオブホビー』とかいうのを聞く。
そんなことを思っているのは、実はアマチュア無線家だけで、
どこが趣味の王様なのか、も聞いてみたいところだ。
JARLが、かつての日本BCL連盟のような運命をたどらないことを祈るばかり。
冒頭に『ログを征す・・・』云々と書いたが、
長続きされている局は、おしなべて交信記録をきちんと記帳され、
さらに『電子化』も進んでいる。
今やADIF→ログ照合(LoTWなど)→アワード認定という流れに多くの方が乗ってほしい。
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