
※ 先日の記事『予測精度評価の不誠実さ:AI日本株式オープン(絶対収益追求型)』で使用した、配当込みTOPIXの日次データについてのメモ書きです。
配当込みTOPIXの日次データ(時系列)は、JPXのホームページに掲載されていました。
JPX:統計月報『3 株価指数・株価平均』(2010年1月~)
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/monthly/
2010年1月の月報には、2009年12月末時点の値も掲載されていましたので、
上記サイトでは、2009.12.30 ~ の日次データが取得出来ました。
それ以前の値を取得するには、有料となるようです:
JPX:データクラウド『配当込みTOPIX』
http://db-ec.jpx.co.jp/category/C037/IN12CP01.html
なお、2013年9月からは、「税引後配当込み TOPIX:TOPIX Net Total Return Index」も公表されるようになっており
この値であれば、Investing.comでも見ることが出来るようでした(2014年3月10日~):
https://jp.investing.com/indices/topix-net-total-return
TOPIX(プライスリターン) と 配当込みTOPIX(トータルリターン)の比較
下図は、TOPIXと配当込みTOPIXの累積日次リターンの推移を見たものです。
累積リターンの差は、2009年12月30日を基点に、2018年1月末比で、37.09%の差がついていました。
なお、指数の値は以下のようになっています。
・TOPIX:907.59(2009年12月末)⇒ 1,836.71(2018年1月末)
・配当込みTOPIX:1,116.60(2009年12月末)⇒ 2,673.82(2018年1月末)
ちなみに、累積リターンの差の推移をみると、一瞬、
「あれ、階段状になっていない?」「配当は貰うだけなのに、リターン差が縮まっている時期がある?」
と疑問に思ったのですが、考えてみれば、これは、リターンを『累積』しているためでした(いわゆる「複利効果」)。
下図は、TOPIXと配当込みTOPIXの累和日次リターンの推移を見たものですが、最初にイメージしたのは『累和』の方でした。
※ 約8年で配当分が+16.82%の収益になっていますので、年率にすると+2.1%程度でした。
☞ 参照:toushin-〇「もしも「配当込みTOPIX」に連動するファンドを、信託報酬2.16%(年率)で組成したら?」(追記:2018.5.24)
なお、日次リターンの差をみると、実は、若干ですが、プラスになっている日が結構多くありました。
ただ、これは、指数の表示桁数(丸め誤差)の影響によるもので、ほとんどは無視できる程、非常に小さな値(≒0)だと思います。
しかし、中には、誤差にしては、それなりに大きな差が生じているものがありました。
つまりは、配当込みのリターンであるのに、配当無しのリターンよりも小さくなる日がありました。
調べてみると、どうやら、配当込みTOPIXの算出方法に起因するもののようです。
JPX『東証指数算出要領:予想配当金と決算短信で公表された配当金の差異による微調整』
http://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/tvdivq00000030ne-att/cal_3_topix.pdf
実際、差が比較的に大きかった日というのは、6月や12月の「7日」でした。
ちょうど、TOPIXと配当込みTOPIXの月次リターンを比較すると、3月決算企業の期末配当・中間配当がある3月、9月に差が大きくなっていました(下図)。
そのため、配当金差異の微調整の影響は、トータルでみると、その3か月後である6・12月の7日に、若干出ることがあったようです。
取得データのチェック
配当込みTOPIXの日次データは、JPXのサイトから取得出来るとはいえ、pdf形式なので、取得ミスも考えられます。
そこで、以下のようにして、データチェックをしてみました。
- 2009年12月30日を基点に累積日次リターンを計算
- この累積日次リターンを使って、各月の月次リターンを逆算
- 例:2018年1月の月次リターン=(2018年1月末までの累積日次リターン+1)÷(2017年12月末までの累積日次リターン+1)-1
- 月次リターンを、公表されている『期間投資収益率』の値と比較し、一致するか確認
- 日次データにどこかで間違いがあれば、この値にはズレが生じてくるはずなので、全ての月で一致するかチェック
確認したところ、問題はなさそうでした。