風に吹かれても!雨にうたれても!

桜田淳子さんの幸せを願うとともに、良き70年代の心を少しでも残したいと思います。

渾身のステージ

2012-08-09 15:19:34 | 日記
奇跡の2分8秒だった。

淳子さんには、驚かされる。
それほど77年の紅白での『気まぐれヴィーナス』は完璧だった。

出だしこそ、紅白を盛り上げるアドリブらしき演出があったが、それとて、指の先まで神経の行き届いた細やかさが感じられた。
白組に向かってすっと伸びていく腕のしなりに、白組の男性陣もドキッとしたのではないだろうか。

片足をあげた時の膝の高さは、その年ホームラン王世界一になった王の一本足打法を思わせる高さと安定感だった。

その手足の細さは、デッサンのように繊細に、時と共に、滑らかに、しかも正確に動きを刻んでいく。

曲間のモンローウォークも少なめであるが、なまめかしい。縦に開く唇の動きもいい。

思わず、横向きに少し膝を折り、手はスカートを抑え、顔はこちらを向き、ため息をつく、そんなモンローをイメージしてしまった。

歌唱も最高だった。後半、多少声の伸びが不安定になりかけたが、800m全力疾走すれば息も弾むんだことだろう。それとて、すぐ挽回して気にならなかった。

これが『アイドル』桜田淳子だ。
改めてその集中力には、驚かされる。

『立つているだけで天才』だといった、天才阿久悠が見抜いた素質、
戦略家堀プロの堀氏が早くから恐れた理由がわかるだろうか。

この歌唱シーンは、まだまだ語りたいが、『姿が表す美』をYouTubeなどで感じてもらいたいと思う。

ただどうしてもこれだけは語っておきたい。
淳子さんにとって10代最後の大晦日、一つのけじめとして、最高のパフォーマンス を残したかったんだと思う。

そして、淳子さんを育てた阿久悠さんが求めた
『天使』から『モンロー』までの成長
をキチンした形で演じたかった。お礼も含めて。

なにより、青春時代のアイドルとしての完成をファンに残したかったのではないか。言葉ではなく、最高のステージという形で。

そんな思いが感じられる渾身のステージだった。

この後、阿久悠作品にけじめをつけ、
『しあわせ芝居』で新境地を開き、歌手として円熟期を迎えていく状況を垣間見るにつけ、その思いを深くする。

余談だが、紅白で、事務所の先輩都はるみさんが、先頭に立ち、誰よりも応援している風景を見るにつけ、淳子さんを支えてくれていたありがたさが心にしみる。

それにしても、才能の到達点を見てみたかったのは、私だけだろうか。

追伸
若い淳子ファンの方々は、その美学に魅せられても、危うい選択をしない、判断力をもてるだろうか。
天才桜田淳子の挑戦に、正しく向き合えてもらえたら、こんなに嬉しいことはない。

イワタヤイセタン

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