桜田淳子さんの『Thanks45』のブックレットの冒頭に、『過去は未来につながっている』とある。
過去も未来も時間の中にある。
ここで、表現されているのは、精一杯歌い続けたということだと思う。
歌唱シーンの一つ一つには魂が感じられる。
しかも、より高いものを求め続けたということだ。
もちろん、山口百恵さんも、そのことに変わりはない。
よく似た二人の分岐点には何があるのだろうか。
それは、『時間』というものだろう。
山口百恵さんは、1980年に最盛期を迎え、トップのまま引退した。
頂点で時間はとまった。
そして、再び回り続けることは無い。
トップなのだから、それで、十分満足できるものである。
桜田淳子さんは、デビュー前から、目標を定め努力を重ねた。
まわりのスタッフも、そんな彼女を高みに連れていきたいと願っていた。
それは、リサイタルの音源を聞けばよくわかる。
テレビでの歌唱シーンをはるかに凌駕するものである。
彼女の歌声はもちろんだが、バンドとの一体感、躍動感が素晴らしい。
よく人馬一体というが、その呼吸には息をのむといっても過言ではない。
音の一つ一つが生き物のように感じられる。
聞けば聞くほど、新鮮な発見がある。
同世代の僕らは、その歌を聴き、励まされ、共に成長しようとしていたのではないだろうか。
もちろん成長の先にいつも明かりがあるわけではない。
それでも、日々成長することに意味がある。
もちろん、成長の過程で別れがある。
僕らは『淳子さんから卒業した』、『卒業させてもらった』が、それは、淳子さん自身が望むことだったと思う。
後年、テレビ局などで、『淳子さんのファンでした』と、よく声を掛けられたそうだ。
『だったんですね』と笑いながら返事をされたそうだが、そういうことだと思う。
別れは、次の成長につながるのだから、決して悲しいことではない。
桜田淳子さんの時計が永遠に回り続けるように、僕らの時計も永遠に回り続ける。
そして、将来の人たちの時計もまた回し始めるだろう。
それでいいのだと思う。
『過去は未来につながっている』
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