きょうも鱒釣り

「きょうも鱒釣り」は故人である芦澤一洋さんの著書です。
この言葉が大好きです。

大事な忘れ物(WVB発眼卵放流) (2018/11/3)

2018-11-15 | 日々の出来事

さて、今日はJFFのWVBによる鬼怒川発眼卵放流です。

(支流の埋設ポイント上空から)
まずは、ちょっとWVBに関して説明しますね。
JFFでは、毎年、全国数か所で各漁協と協力し、WVB(Whitlock-Vibert Box)を使った発眼卵放流を行っています。

このWVBは1950年代初め、フランスの水産研究者Richard CE Vibert博士が開発しました。そして1970年代にアメリカのフライフィッシャーDave Whitlock氏が、改良を行ったものです。上段には発眼卵を入れ、孵化するとスリットの幅の差により外には出ず下段に移動します。稚魚が卵嚢から栄養を吸収するとさらにスリムになり、WVBの外に出ることができます。
要するにちゃんと泳げるようになるまでは安全なWVBの中で外敵から守ることができるので、効率よく目的の渓魚を増やせることになるわけです。
詳細は、以下のFFIのページを見ていただければと思います。https://flyfishersinternational.org/Conservation/Projects-Programs/Whitlock-Vibert-Box

しかし、必ずしもWVBを使った発眼卵放流がもっとも効率よく渓魚を増やせるのかは、色々な方法を試してみないとわかりませんので、その辺の詳し研究は、学者にお任せします。渓魚の増殖方法には、発眼卵放流、稚魚放流、成魚放流、産卵床の整備、親魚放流など、色々ありますが、JFFでは、その中のWVBを使った繁殖の技術の確立と継承を目的に毎年行っています。
釣り人なら渓魚を愛する気持ちは同じだと思いますが、こう言った活動を行うことにより、釣り場環境に対するより一層の関心と、渓魚に対するさらなる愛が深まるものと思っていますので、そこが一番大事だと思います。
ということでもし興味がある方は、JFFに問い合わせてみてください。
ただし、昨今、外来種の問題や、渓魚など在来の固有種保存の重要性もあり、むやみな放流活動は、釣り人のエゴイズムと称され、釣りそのものが否定されかねません。そのため、放流を行う場合は、河川などを管理する漁協、漁協が無い河川においては、少なくとも地方自治体などと協力、賛同を得ることが絶対的な条件になり、けして個人、釣りのクラブなどの思惑で行うことは許されないと思います。
その点を理解したうえで問い合わせを行っていただければと思います。

さて、本来の日記ですが、前の日記で書いた通り、那須から移動して、待ち合わせ場所に向かいます。毎年、鬼怒川の本流と支流にWVBを埋設しますが、鬼怒川漁協の地域支部と一緒に行っていますので、前調整をしたのですが、今年からなんと支流と本流で支部が分かれてしまったそうで、2つの支部と調整を行う必要が出て、準備はちょっと手間が増えてしまいました。担当してくれた栃木のOさんからその話を聞いてちょっとびっくり、まあ、それでも今年も実施できることになり、まずは支流に移動です。
まずはヤマメの発眼卵の仕分けをしようとしましたが、なんと、WVBがありません。

(ちょっと時間がかかりましたがやっとスタート)
色々と手配して、当日の準備も昨夜行って朝早くから待ち合わせ場所に来ていたOさんですが、なんと大事なWVBをもって来るのを忘れてしまったようで、かなり動揺しています。
取りにいかない事には始まらないので、動揺しているOさんに一人で取りに行かせるわけにもいかず、ボクの車で一緒に取りに行くことにしました。
県内とはいえ南東方面なので、1時間ちょっとかかりOさん宅に到着すると、やっぱりWVBだけ倉庫に置いたままとなっていました。WBVを積み込み、放流ポイントに戻ってきたのは、ちょうど14時頃となり、やっと発眼卵の仕分けを開始です。

(今年のヤマメの発眼卵です)
待っていた仲間は、カジカ釣りを楽しんでいたそうですからちょっと安心です。
すでに埋設の小石集めや場所決めは完了していたので、発眼卵をWVBに詰め込んで1時間もかからず、支流は完了です。

(はい、支流の埋設はここです)
さて、本流ですが、今年は上流のダム湖の清掃のため、ずっとダムの放水が続いていたためか、流れは濁りがかなりあり、ヘドロのようノロが岸際に多く、ちょっと結果が期待できるのか心配でしたが、こればっかりはやってみないとわからない点もあるので、流れの早めのところに埋設しました。

(本流はちょっと沖目に)
今回は、支流はさて置き、本流の方はどのぐらいの発眼率を保つことができるのか心配ですが、なんとか16時には完了しました。

(完了はもう夕方に。。)
お昼も食べる時間がなかったので、お腹がすきましたが、無事終わってほっと一息の発眼卵放流でした。
今回も支流に1万粒、本流に1万粒埋設しました。WVBを使った発眼卵放流の場合、孵化率はかなり高く大体90%以上、稚魚となって泳ぎだしてから大きく成長できるのは、たぶん3割程度とみて、2年後には支流と本流に各3000匹くらいのヤマメが増えるはずなんですが、なかなか釣れませんね。
結局はヤマメが増えて沢山釣れることを期待している一人の釣り人なのですが、そこに至る過程に関して、河川環境がこのままでよいのかとか、今の増殖の考え方で良いのか、などなど、少しは考えるようになりWVBを使った発眼卵放流を行う事の意味はあるのかなと思っています。

コメント
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