コンサルタント伊藤のつぶやき

コンサルタント活動を振り返り

問題解決の前に問題を発見すること

2019-09-27 10:40:56 | 日記
先日、問題解決力の高め方について中堅社員を対象に研修を実施しました。
そもそも問題とは「あるべき姿と現状が乖離している」状態をいいます。あるべき姿とは、理想、目標などです。
理想、目標を常日頃からイメージしておくことが必要で、そのうえで、現状を認識する努力をしなければなりません。
「問題意識」がないと現状を認識、問題を発見することはできません。

問題を発見するとは、大きな問題になる前に発見、解決するということです。今、この瞬間です。
「重要性」、「緊急性」がない問題、事柄に気づくことが出来るかどうかです。
ここが大切と受講生にお話ししましたが、ここが出来ていない企業は大変な問題に発展する可能性があります。

特に歴史ある企業や問題を意識化する慣習がない企業においては、経営上の問題、人事上の問題など数多くの問題があるにも拘わらず、
新たな発想、全体を俯瞰する見方、問題意識の欠如等により、後々大きな問題になることが多いようです。問題が発覚してからでは手遅れで、
気付いた時は倒産等、「時すでに遅し」です。

問題は皆が感じている共通、客観的な事項もありますが、ある人には感じ、他の人には問題だと感じられない主観的なものもあります。
やはり普段から「問題意識」を高く持つ意識がないと問題を感じることが出来ず、問題を発見することは出来ません。
意識を高く持つことと、問題意識を向上させるには日頃のコミュニケーションが大切になります。
会社全体で風通しの良い環境を作り、問題の芽を早く取り去る必要があります。

現に起きているクレーム処理等は別として、見えている問題を社員全員が共有すること、
さらには、見えていない問題をあえて探したり、設定したりして問題を考えていく必要があります。
見えていない「探索型」「設定型」については、少なくとも中堅社員、管理職、経営者が考えていくことが経営戦略上、重要なことだと思います。

人間の成長に欠かせない一つとして「気づく力」がありますが、これを磨くには物の見方を日頃から広くしていくことが必要です。
物の見方を広くする方法として、1つは頭を初期化する「初期化思考」です。
今までの経験、地位をリセットし、冷静、客観的に白紙から考えてみることです。自分を捨て、無になり、ゼロから物事を見るということです。

また、問題になっていることを書きだし、似たような事柄をグルーピングすることにより、頭が整理できます。
「短期・中期・長期」的な問題に区分したり、「理想・現実」のギャップを理解し、理想と現実に区分する、
自分から見た「主体」と他者から見た「客体」に区分し、見方を変えて見てみる。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、
「起きている現象」を「全体の構造」の中で考えてみる。さらには「時間」毎に区分し、時系列で考えるなど、
柔軟な物の見方、意識を持つと、問題に気づく可能性が高くなると思います。

問題を発見、解決していく方法として西洋の哲学者の思考法は参考になる点が多いと思います。
機会があれば、哲学者の考えと問題を発見、解決する手法とを今後、紹介していきたいと思います。
何か難しい話になりましたが、問題を認識する方法としてもっと、具体的に日頃から心がけることはどのようなことでしょうか。

私が受講生にお話ししたのは「不」から考えてみようということです。
例えば「不満」、「うちの会社は、経営方針が不明確だよね。」「経営陣が何を考えているか分からないようね」
「不信」、「会社の方針がコロコロ変わり、不信になるよね。」
「不潔」、「うちの工場は整理整頓が出来ていなくて不潔だよね」
「不快」、「うちの会社は挨拶が出来ていなく、不快になるよね」
その他「不振」、「不安」、「不便」など「不」の付く単語を考えてみるのも問題を発見する上で非常に良いアプローチだと思います。

小林製薬ではこのような方法で「熱さまシート」や「のどぬーる」を企画、商品化したようです。
問題を認識したうえで、問題解決とは
「原因」を探り、問題を引き起こしている原因を分析し、「課題設定」、原因の中で解決対象としたものを課題とし、
「解決策立案」、課題解決の施策を立案する。という流れで問題を解決していきます。

原因を探る方法としてトヨタが実施している「なぜなぜ分析」等を活用すると良いと思います。
トヨタでは5回の「なぜ」を実施しています。その他論理的思考であるロジックツリーがあります。
問題の原因解明や、解決策立案のために、問題を論理的に関連した要素ごとにツリー上にMECE、モレなくダブりなく分解していく方法です。
これらを活用し、問題解決にあたっていくことが大切です。

以上、問題解決のプロセスについても簡単にお話ししましたが、説明していない手法等もまだあります。
しかしながら、今回のブログでは割愛させていただきます。研修では問題解決に至るプロセスについて、「事例」を使って、
「発散と収束」により、グループ毎に考え、発表して頂きました。
「発散と収束」とは、簡単に言うとチーム内で意見を出しやすい環境を作り、意見をチームとしてまとめることです。
つまり良いアイデアを出すことを目的としています。

結論として、問題発見は「事実」を把握、問題解決は「アイデア」を出すことと締め括りました。
質疑応答では、受講生から「無意識」から「意識化」への転換が重要なことだとの意見もありました。

グローバル化、技術革新が進展する中、新たな問題発見・解決は今後、益々重要になると思われます。
「気づき」を大切に、会社全体で風通しの良いコミュニケーション環境を作ることを心がけてみてはどうでしょうか。

最後までお読みいただき、有難うございました。 
伊藤経営労務コンサルタント事務所 ito-hiko@mua.biglobe.ne.jp