コンサルタント伊藤のつぶやき

コンサルタント活動を振り返り

労使紛争決裂後にいやがらせ

2012-10-10 09:59:04 | 日記
ようやく涼しい季節となりました。しかしながら秋は、あっという間に通り過ぎそうです。
短い秋を存分に楽しみたいと思います。11月にはマラソンレースにも参加する予定です。

さて、今月は労働局でのあっせん・調停についての話をさせていただきます。
私のお客様に、運送業の会社がありますが、試用期間終了を待たずに社員が退職したことから大きな労使紛争に発展したケースです。
運転手として採用した30歳の元従業員が、「勧奨退職」されたとして労働局にあっせん・調停をしたと社長から相談がありました。

話を聞くと、この運転手の技能は素晴らしいのですが、運転マナーが良くないようです。
交通ルールも守らず、荒い運転を度々しているところを職場の従業員、得意先で見られ、
社長の耳にもこのような情報が届いていたようです。

そこで、採用後1か月経過し、試用期間(この会社では2か月の試用期間を設けています。)終了前に、
一度、正社員として勤務出来るかどうか判断するため、1対1の面談を元従業員としたようです。概要は以下のようなことです。

社長 「働いて1か月になるが、運転マナーが悪いと他の従業員が言っているぞ。車の看板に社名も入っていることからもう少し、
運転マナーの向上に取り組まないと正社員には出来ないよ。」

従業員「辞職しろ。ということですか。」

社長「そんなことは言っていない。今は人手が足らないのだよ。君の運転技能は素晴らしいのだから運転マナーを直して頑張ってくれよ。」
従業員「正社員にはしてくれないのですか。」

社長「今の運転ではダメダ。」

従業員「では辞めます。」

このような話があり、従業員は翌日から出社せず、後日、労働局からあっせん・調停の文書がきたそうです。
あくまで社長の話だけなので、これが100%真実とは言えないと思いますが、社長の言い分はあくまでも「自己都合退職」です。
ただし、「退職届」の提出がなく、元従業員は「勧奨退職」されたとして給料の2か月程度の慰謝料を要求してきました。
社長にも多少の落ち度があることから、私としては、月給のごく一部を「和解金」として支払うことをアドバイスしました。
しかしながら、会社側と元従業員側に金額の差があり、あっせん・調停は不成立となりました。

ここまではよくある話だと思います。

その後、労働局を出て、歩いていたところ、元従業員は後ろから走ってきて、追い抜きざまに「バカヤロー。なめるなよ。」と言い、
工事用の三角コーンを思い切り蹴飛ばしていきました。
さらに私と社長が乗っている車を後ろから付け、煽ること、40分。
ハラハラ、ドキドキ、途中、車を止めて相手に注意することも考えましたが、結果、何事もなく、本当に疲れました。

数時間後、労働局から連絡がありました。元従業員から連絡があり、再度、よく考えた結果、調停を受諾したとのことでした。
いやー、あの悪夢の40分。こちらが慰謝料を貰いたい気持ちになりました。
本当に悪質なケースだと思います。

労使紛争は今後も増加していきます。
紛争の予防としては、日頃の労使のコミュニケーションが基本ですが、問題社員対策について就業規則の整備、業務指導、コミュニケーションの取り方など
会社も対策を講じる必要があると思います。

また私たち労働問題の専門家に求められるのは、法律、判例を勉強することは、当然。
正義感を持ち、客観的に物事を見て、判断する能力を持たなければならないと思っています。

正しくジャッジする心も忘れてはいけないと思います。