コンサルタント伊藤のつぶやき

コンサルタント活動を振り返り

12月からストレスチェック制度が始まります。

2015-07-10 14:12:24 | 日記
 先日、メンタルヘルス予防・対策の一環として、改正労働安全衛生法を踏まえたストレスチェック制度の講習会を実施しました。
ストレスチェック制度は急に法律で義務化されたわけでなく、従来から厚生労働省の指針で推進されていたもので、今回、事業所規模で
50人以上の会社が義務化となった次第です。

 最近はメンタルヘルスの相談も増加しています。うつ病等の従業員がいないという会社は聞いたことがないくらい
社内のメンタルヘルス予防・対策は大きな課題になっています。
 
 内閣府の調査によると、勤務問題が原因・動機の一つと推定される自殺者数は、平成26年は2,227人います。
原因・動機の詳細別にみると、「仕事疲れ」が3割を占め、次いで、「職場の人間関係」「仕事の失敗」「職場環境の変化」
が主な原因となっています。

また、平成25年度の厚生労働省の調査によると精神障害の労災請求件数が1,409件(前年度比152件増)と過去最多 となりました。
これらについては10年以上も前から増加しており、厚生労働省では4つケアでストレスチェックの推進をしていました。

4つのケアとは、従業員自身でストレスへの気づき、対処などを実施するセルフケア、
管理者による職場環境の改善、個別の相談、職場復帰支援などを実施するラインケア、
産業医、衛生管理者などが従業員へ実施する教育研修、民間のEAP会社などを活用したメンタルヘルスサービスによる事業場外資源によるケアです。

また、ここ数年で「労働契約法」という法律もでき、「安全配慮義務」も明確化されました。

 会社にとって、メンタルヘルス予防・対策は非常に大きな課題となり、ようやく義務化となった次第です。
 ここで、講習会、さらには相談業務で、ストレスチェック制度に対する質問、誤解、主なポイントを上げてみようと思います。

 1つは、目的です。ストレスチェック制度の目的は、あくまでも従業員自身の「気づき」であり、メンタルヘルス不調になることを
未然に防止することが大きな目的です。

 会社によっては、会社がメンタルヘルス不調者を把握、見つけることが目的であるとの勘違いをしているところがあります。
第一の目的が会社側でなく、個人の側の気づきの促進であることから「個人情報」が守られ、高いストレスがあり、
会社側に面談の了解を出すまでは、会社側から個人のストレス内容を知ることはありません。

 2つ目は、「衛生委員会」で具体的な内容を決定していくこととなります。衛生委員会は形だけ、という会社は結構、多いみたいです。
目的、実施方法、周知、記録の保存方法、集団分析の集計方法等細かく決めていく必要がありますが、
これを機会に「衛生委員会」の積極的な活用、たとえば、産業医、看護師の更なる活用、産業カウンセラー、社会保険労務士などの
専門家を新たに活用することを検討すべきです。

 3つ目は、努力義務ですが「集団分析」の実施です。部署ごとの集団を分析し、高ストレスの多い職場を把握し、
職場環境を改善していくことも検討すべきと思います。

うつ病等の従業員がいないという会社は聞いたことがありません。この際、職場の問題を整理し、職場の活性化につなげたらどうでしょうか。

原因を把握後、改善に向け、メンタルヘルス研修をはじめ、カウンセリング(傾聴)研修、ハラスメント、
コミュニケーション研修の検討、キャリア開発支援、リーダーシップを発揮できる職場づくりとして人事・教育制度の検討など、
職場改善、職場の活性化に向けて、ストレスチェック制度を活用してはどうでしょうか。