コンサルタント伊藤のつぶやき

コンサルタント活動を振り返り

誰でも出来る年金の上乗せ制度がスタート

2017-03-21 15:10:33 | 日記
 本年1月から確定拠出年金の個人型がスタートしました。
 私のお客様であるA社の社長からも先月、早速、問い合わせがありました。
サービス業で、社会保険のみ加入している従業員10人程度の会社で、社員から確定拠出年金の「個人型」に加入したいとの申し出があり、
「個人型年金加入申出書」等の記入をお願いされたとのことでした。社長自身、全く、確定拠出年金の内容を把握しておらず、
私に相談を持ちかけてきました。

 確定拠出年金といっても良く分からない人が多いと思います。少し説明をさせていただきます。
確定拠出年金は企業(主に大企業)から給付される掛け金を従業員が自己責任で、運用する
「企業型」年金制度が10数年前に始まりました(自営業者等の個人型年金も以前からありましたが)。

これは、大企業が厚生年金基金の財源不足を改善する措置として従業員の「自己責任」により、退職金が増減する、
企業にとって、リスクがある確定給付からノーリスクとなる確定拠出を選択することから始まった制度です。

多くの企業が導入していますが、今でも評判は良いとは言えません。
そもそも退職金を自己責任で運用する意識がまだ、日本においては、希薄なのかもしれませんね。

 しかしながら、これからの日本の年金は国民年金である基礎年金、さらには二階建てに当たる厚生年金が、
65歳受給以後、決して増えることはありません。さらには、3階建てに当たる厚生年金基金もなくなる傾向にあります。
超高齢社会では当たり前、国民全員の意識も一致した常識となっています。

 では、どうするべきか。
国の社会保障に頼るだけでなく、自ら老後資金を長期的な視点でねん出する必要があります。
そこで、新たに主婦でも、自営、公務員でも、確定拠出年金未実施企業の社員、パート、アルバイト、
だれもが、加入できる確定拠出年金の「個人型」の加入を検討すべきです。

また、以前は、確定拠出年金「企業型」の加入者は、その企業を退職すると転職先が「企業型」を実施していない限り、
60歳まで、その資金を運用することはできず、凍結するしか方法はありませでした。

 今回、「個人型」制度がスタートし、自由に誰もが加入することとなったことは大きな前進です。
 
 ここで、「個人型」の制度内容、メリットについて少しお話します。
第1号被保険者(自営業者など)は1ヶ月68,000円、第2号被保険者(会社員など)は23,000円
を限度に掛け金を自由に設定することができます。また掛け金は60歳まで「所得控除」になります。税金が安くなるということです。
会社員が毎月23,000円掛け金で加入すると所得税は年間55,200円程度安くなります。かなり優遇されることになります。

また、運用している期間は、運用益についても税金はかかりません。

さらには60歳以後、積立金を年金で受給する場合は、公的年金等控除、一時金で受給する場合は、退職所得控除が適用され、
かなり税制上、メリットがあります。

反面、加入・管理手数料、その他事務手数料がかかることや運用により、積立金がマイナスになる可能性もあります。

私としては「自己責任」を忘れず、投資等の勉強を条件に加入を検討しても良いと思っています。

 さて、冒頭の社長に対して、コンサルタントとして、このように話をした訳ですが、
最後に、会社の「個人型年金加入申出書」等について説明をさせていただきました。
社員から、「個人型年金加入申出書」等の記入をお願いされた場合、会社としては、国民年金基金連合会への登録が必要となります。
加入者の加入資格を証明する義務を会社が負うことになります。その際は事業主証明を拒否することなく、前向きに対応していくようお願いします。

また、加入者は「給与天引き」「口座振替」のどちらかを選択することが出来ます。会社が代行して給与天引きするとなると、
給与明細の変更、源泉の調整、さらには掛け金額の変更時の申請等、給与関係での手間が増えます。中小零細企業では荷がかなり重くなります。
加入者自身の口座振替がもっとも会社にとっては都合が良いかもしれません。

このような事をアドバイスさせていただきました。

最後に社長から一言。「会社にとって、個人型年金の手続きに対するメリットはあるの?」
私「メリットはありません。しかしながら、個人の自立(自律)、自身の資産形成の意識が芽生えることは会社にとって、良い事なのもしれません。
この際、従業員の将来に対するキャリアの考え方を知る良い機会になるかもしれませんね。」

退職金、年金が増えないなかで、個人の自立(自律)、資産運用、是非とも若いうちから考えなくてはいけない時代に入りました。
50歳を過ぎると年金受給をかなり意識し始めます。
これを機会に考えること、私は大変意義あることだと思います。