コンサルタント伊藤のつぶやき

コンサルタント活動を振り返り

今求められる強みを活かした人材の育成

2019-01-23 11:08:51 | 日記
私のお客様は、ほとんどが中小企業ですが、最近の話題は「人手不足」に関することが多くなっています。
これは日本全体の問題でもあるのですが、「外国人労働者」で全て解決できる問題ではありません。
「人手不足」の要因としては主に2つあると思います。

1つ目は事業規模拡大、売上向上に伴う人材、人手の不足。これはある意味非常に恵まれた企業です。
2つ目は退職率の高い企業。採用しても定着せずに採用と退職の繰り返しをしている企業。
私も過去にこのような企業数社とお付き合いがありましたが、いずれも事業規模の縮小、倒産、廃業等に至っています。

これらの全ての企業に共通しているのは、「会社全体がネガティブ」になっていることです。
具体的には「経営者、上司、部下の悪口」「人の弱みを責める」「人を行動でなく、性格で評価する」など、
組織全体が伝染病のようにネガティブ感情が蔓延しています。
このような会社は間違いなく退職者が多く、人材が育たない環境になっています。

ネガティブ感情を如何にポジティブ感情に職場を変えていくかが人材を育成する上で非常に重要で、
この点を経営者、管理者が気づき、変えることができるかが「能力開発」「人材育成」、さらには「職場活性化」の大きな課題だと思います。

今回、退職率の高い企業に対して私の経験、考え方をお話ししたいと思います。
退職率を改善、定着率を向上させるには個々の「強み」を伸ばす職場環境にしていく必要があります。
私が関係している企業には、必ず、「キャリア教育」の必要性について話をし、職場に組み入れるための研修などを実施することにしています。
特に個々の「強み」について、まずは自分自身が気づき、周りが認める必要があります。

具体的には自分自身が大切にしている「価値観」を他人とのコミュニケーションを通じて、ゲームなどで自分自身が気づくような研修を実施しています。
これにより他人との価値観の相違が理解できるとともに、価値観により自身の強みを理解することができます。

さらに業務と関連させることにより経営者、上司、部下、同僚等との信頼関係、モチベーションを向上させることができます。
ここで大切なことは日頃の「コミュニケーション」をどうするかです。

相手が「気持ちの良い言葉」として受け取ることが大切であり、良い言葉を経営者、管理者、上司などは考えていく必要があります。
例えば、「否定語」などは使わない事です。「そんな暇はない」「なぜ出来ない」「能力がない」など。また行動ではなく、性格を非難すること
「ねちねちしている」「生意気」「気が弱い」「暗い」などもモチベーションを低下させる要因となります。

昨年、スポーツ団体等において、地位の高い者が弱い者に対する「パワハラ」が大きなニュースとなりました。
パワハラに関して、社会の見る目は非常に厳しいものとなっています。現在の「パワハラ」は、弱者が強者になる傾向もありますが、
経営者、管理職、リーダーで「指揮命令型」のタイプの人は、注意しなければならないことがあります。
指揮命令しているつもりが時には暴言になる可能性があるということです。人は感情で左右されます。

良かれと思って言った言葉が、時には暴言になります。暴言に聞こえます。信頼関係がない場合にはパワハラに発展していく可能性があります。
今はネットもあり、あっというまに外部に情報が流れます。情報が流れた後は会社にとって大きなマイナスとなります。
他人は感情で動きます。理解しても納得することが出来ない場合も多々あります。

今を生きる私たちにとって、「相手を尊重する」ことが大切なこととなりつつある中で、ネットの普及、相互のコミュニケーション不足により、
精神的に脆い人、傷つきやすい人も増加しています。

時代が変わり、グローバル化のなかで、経営はワンマンのみで継続することが困難になっています。
これからは「気持ち良いこと」「自己効力感」を高め、「強み」を自分で理解し、周りの者がそれを認め、
個々の強みを伸ばして、職場の活性化に繋げていく方法が最善と考えます。強みを伸ばし、弱みを自覚させ、個人が前向きな発言、行動が出来るような職場にしていく。

その中で強みを発揮した行動については「労い」「誉める」ことを習慣化していくことです。

良い行動、苦労した仕事をした結果、労いの言葉、誉められることは人間にとって、最大の喜びです。
相手の強みを認め、本人が「何をすべきか」考え、答えを出し、結果、責任を伴うような「コミュニケーション」が職場の中で行われれば必ず人は育ちます。

私はコンサルタントとして、今年もこれを引き続き実践していくつもりです。
さらに就業規則で明記されている「表彰制度」についても、より良い運用を考えてきたいと思います。
勤続年数も大切ですが、会社に対して、良い行動、顧客に喜ばれるような行動、貢献した者に対して
年齢、勤続年数に拘わらず表彰するような職場環境にすることを会社と一緒になって考えていこうと思っています。

最後に少し古い話ですが、昭和30年代~40年代にかけて学校、会社内で挨拶の実践を促す「オアシス運動」というものがありました。
オアシスとは「おはよう」「ありがとう」「失礼します」「すみません」のそれぞれの最初の1文字をつなげたものですが、今でも十分活用できると思っています。

まずはちょっとした挨拶から心をこめて気持ち良い言葉をかけてみてはどうでしょうか。人間関係も変わっていくはずです。

最後までお読みいただき、有難うございました。 
伊藤経営労務コンサルタント事務所 ito-hiko@mua.biglobe.ne.jp