先に紹介した本は、いずれも印象に残った良書ですが、特に私にとって血肉となった本を紹介します。
「創価学会の変貌」著者:柿田睦夫(敬称略、以下同じ)-公明党は創価学会の完全な支配下にあり、“現生利益”の教義に則り安倍・自民党への積極的フォローワーになったこと、政経分離という憲法上の問題・矛盾に対し事実と資料を丁寧に使い、学会の変貌を解明。戦争は良くないと言い続けた池田大作名誉会長の人望を徹底的に利用することから最近の“池田外し”変貌した創価学会の真実についても表現は穏やかだが鋭く切り込んでいる。
「戦争の真実」赤旗編集局。赤旗日刊紙、日曜版の30才代記者を中心に、真摯に取材を重ね、資料を集め会席し一生懸命アジア太平洋戦争の真実を伝えようとする態度に感銘。
「日本の戦争 歴史認識と戦争責任」「日本の戦争Ⅱ 暴走の本質」いづれも山田朗。著者はアジア太平洋戦争の研究者としては第1人者だが、戦後生まれ。軍部と官僚が敗戦後徹底的に証拠隠滅のため戦争関係の書類を焼却した中で、現存する書類や兵士が書き留めた手紙などを丁寧に収集して、戦争を解明。歴史修正主義者たちが「自虐史観」と罵り、南京大虐殺や慰安婦や民間人の虐殺等に対して「証拠がない」とか「後世の歴史家が明らかにする」とかまるで歴史の捏造を前提にするヘイトスピーチの“ノリ”で歴史を『語る』愚かさとあまりにもかけ離れた真摯さに感銘。
「国体論」白井聡。「永続敗戦論」に続き、著者独特の鋭い感性に感銘。1977年生まれの若手の行動する研究者。新しい近現代政治理論を従来にない視点からアプローチされていて、私は白井さんを注目して、期待している。
「21世紀の〈マルクス〉‐生誕200年(特集1) -新自由主義下の大学の使命(特集2)」唯物論研究協会編。 特に特集1は、青年マルクスがヘーゲルの疎外論からフォイエルバッハの疎外論へと傾倒し、やがて(人間・労働の)疎外を科学的に解明し最終的に資本論へと繋がっていった生き方がマルクス研究を通じて読み解かれている。今日AIやロボットが人類に何をもたらすか、それとも単に生産手段としてのみ資本家に活用され、多くの人類がより一層労働から疎外されてしまうのかを真剣に考えることが迫られている時、「ドイツイデオロギー」等は必読の書となるだろうと思う。それらを示唆する特集1であった。特集2も必読。