【70才のタッチ・アンド・ブースト】ーイソじいの”山””遍路””闘病””ファミリー”ー

【新連載】 『四国曼荼羅花遍路-通し打ち45日の マイウェイ』

四国曼荼羅花遍路-通し打ち45日の マイウェイ エピローグその2

2023-02-21 13:39:26 | 四国曼荼羅花遍路 通し打ち45日のマイウェイ エピローグ
エピローグ その2です。次回のブログアップ(カテゴリーが代わりますが)まで、エ
ピローグその1、その2、をトップにアップします。近日中にカテゴリーを変えて記事
をアップします。

----- 以下エピローグ その2 本文-----

      お役立ち情報(…かな?)
 お役立ち情報、(…かな?)と思うことをいくつか報告します。いずれもあくまで
私の場合であって、決して『普遍的正解』ではありませんので、あくまでご参考まで
に御笑見頂ければと思います。
 まず、何よりも第一に足元、履物です。歩き遍路の無念のリタイアで一番多いのは
おそらく履物が合わず、結果足の激痛でリタイアということかと思います。20年前の
自転車遍路の時は、徳島県の平等寺から薬王寺へ向かう国道で、金剛杖を頼りに足を
引きずり、泣きながら少しずつ歩を進める若者に出会いました。その時は何も声掛け
もできなかったのですが、いまだに忘れられません。私自身白峯寺から最後の結願だ
けはと思いパートナーと歩いて遍路をしましたが、登山靴を履いて行ったため、足指
が白化するほどにダメージを受け、87番長尾寺で無念のリタイアを決断しました。た
だ、その時はリタイアのバスの便を調べに営業所へ寄ったところ、結願の寺大窪寺ま
での路線バス(現在はコミュニティバスになっている)を教えてもらい、何とか結願
に至りましたが。今回も、徳島県で焼山寺から降りてきた宿で、通し打ちで来た遍路
さんが靴が合わずひどいマメに耐え切れず、ここでリタイアと言っておられたり、観
音寺市の本山寺でお会いした方はかなりの健脚のようでしたが、結構なウォーキング
シューズを履いておられたのですが、やはりそれが合わず足痛で、徳島の遍路ころが
し手前で断念し、思案しながらJRを利用して逆打ちで交通機関利用遍路をしてここ
(本山寺)まで来たけれど、この先は無理かと思っている、とのこと。その方は、そ
の時の私の足元がカジュアル・サンダルだったのを見て、『結構ラフで不謹慎』とも
思いつつ、興味を持ち声を掛けてきたとのことでした。
 私の足元はと言うと、前回の教訓もあり絶対足にフィットして足にストレスを掛け
ないもの。私はかなり酷い外反母趾であり、かつ偏平足の甲高で、市販の靴では全く
足にフィットしません。今回も履き慣れたウォーキングシューズを履いてきたのです
が、早くも2日目には足が悲鳴を上げました。
 3日目には持参のカジュアル・サンダルに履き替えて吉野川の開拓農地や潜水橋な
どを歩いて遍路をしましたが、これが大正解でした。4日目は遍路ころがしでサンダル
では無理なのでやむなくウォーキングシューズ、しかしそれも焼山寺の境内ではサン
ダルに履き替えました。この先考えれば多少地道でも可能な限りサンダルで、それが
超変形足の私にはフィットしています。但しサンダルと言ってもスポーツ系で、滑り
にくく踵はベルトなどがきっちりついたものが必要かと思います。ウォーキングシュ
ーズは宿毛まできて家に送り返し、布製の柔らかい安価なスクールシューズのような
スニーカーを仕入れ、イチかバチかで以後の遍路の山道ではシューズに履き替えまし
たが、これも正解で、すぐに足に馴染んで足痛に悩まされることはありませんでし
た。大阪から履いてきたサンダルはやはり道中でへたってしまいました。ところが道
中スポーツ系のカジュアル・サンダルの置いてあるスポーツ品店がなく、宇和島まで
行ってやっと代わりのサンダルを仕入れました。まったく『正統派』ではなく、いい
年してラフな感じですが、私はそんな足元で今回は大成功。

  2番目のお役立ち(…かな?)情報は地図です。
 地図は必須で、今回は「四国遍路ひとり歩き同行二人 地図編」(へんろ道保存協
力会監修・発行、本文中『遍路地図』と表記)を使用しました。遍路地図は詳細で最
新の情報が載せられ、巻末には遍路宿の紹介と連絡先も掲載され、大変重宝しまし
た。ただ、これは個人の認知機能の問題でしょうが、私の場合は『北が上』の地図で
ないと位置、方向のイメージが全くといっていいほど分からなくなります。遍路地図
は地図のページのスペースに合わせ、次の札所までの道を方角と地図上の上下左右と
関係なくランダムに書かれています。私の場合、日本中もっと言えば北半球では日中
でしたら晴れていればどこに行っても方角が分かります。日差しと時間と景色でほぼ
間違いなく東西南北はわかります。山に行くときはあらかじめ地図を見て、どの方角
に山、平地の展望、尾根、谷とかイメージができて行動します。所属していた山岳会
でも私の役割は、歩荷(荷物担ぎ)とルートファウンディング(道探し)でした。そ
のため今回の遍路地図では大いにパニクリました。59番札所 国分寺から 60番札所 横
峰寺へ向かう道では、間違いなく東に向いて歩いているはずなのに、瀬戸内海が右手
に続いています。川や入り江ではありません、間違いなく瀬戸内海であることが分か
ってパニクリました。1時間以上前に今治の市街を離れたのですが、再び市街地が近
づいてきました。やむなく分けが分からない状態で大きくUターンして、再び1時間以
上かけて、やっと左側に瀬戸内海を見ながら自分の気持ちもフィットしながら東へと
向かう遍路を実感することができました。遍路地図では北が下、つまり真逆の方角で
書かれています。
 これらは、遍路地図が不備と言うことでは全くありません。多分ナビゲーターなど
に慣れておられる方には分かり易い地図なんだろうなあ、と思います。これほどでは
ないけれど、道迷いの小パニックは何度もあり、都度地元の方にお世話になりまし
た。個々人の地図情報に対する認知機能と言うか慣れの問題と思いますが、私のよう
にかたくなに『上が北』の人間には少ししんどい地図ですので、老婆心ながら。

  その他気付いたお役立ち情報ですが、『荷物の先送り』も有効でした。
 歩き遍路ですと遍路宿泊まりでも荷物の重量は10kg程度にはなってしまいます。私
の場合、モバイルパソコンにケーブル類も持参ですので10kg超になります。そんな
時、3~5日先の宿泊所でビジネスホテルなどの商業施設の場合不要不急の荷物は、そ
の宿泊先に先送りしました。荷物は当面の着替え、タオル類、スニーカーかサンダル
の履き替え用、あと行動食とポカリスェットくらいで、軽くしていきました。但し、
これも送り先が商業施設の場合のみで、天候の加減で遅れても連絡だけで対応してい
ただける場合に限ります。旅館、民宿、ハウスさんなどは個人あるいはご家族で管理
されているところが多く、荷物を『送りつける』とかえってご迷惑をかけるかもしれ
ませんので、重々ご配慮を。
 
  もうひとつ。これも私の場合は、と言うことですが、マイペースで行くのが通し
  打ちの秘訣の一つかなあと言うことです。
 最初の計画した時には、全長1,300~1,400km、45日間連続歩き通すのは脊柱管狭
窄症、網膜剥離術後、黄斑上膜等のリスクが気になり、おおむね3勤1休の予定を立て
ました。実際は室戸半島を回るまではそのペースでしたが、慣れてくると遍路が楽し
くなってきて、松山を過ぎてからは高松まで1休は無し。それでも快調に遍路を続け
ることができました。マイペースは道中でも。私は宗教の教義とかは不案内で、実は
般若心経も唱えられません。それでも山岳修験の寺へ行ってじっくりと山の雰囲気に
浸ったり、山岳修験の由来なんかを何とか碑銘を読んでみたり、寺の僧侶さんがおら
れたら話をお聞きしたり、古代宗教や行者の世界に思いを馳せたりもしました。勿論
遍路中によく四国、近在の方にお声掛けを頂くのですが、そんなときもゆっくりお話
をさせていただくのも好きです。私にはこれらのことが自分の遍路のマイウェイの中
に捻じり込まれて、それらが新しい財産になってきたように思います。今回も遍路中
に親しくなっていろいろと話した方もいましたが、通し打ちとなると、いつのタイミ
ングでも「ここからは、それではマイペースで。」「See you again.」
を躊躇しません。マイペースが結願への秘訣だろう、と本当に思います。もしパート
ナーと一緒に結願まで、というときは、フィジカル、メンタル、社会的諸条件すべて
ハンデのある方に合わせる、遍路中の興味関心は無条件で相手に合わす、等のまた違
った『覚悟』が必要です。これも今回通し打ちをしたうえで、新たに実感したことで
す。

 他にもお役立ち情報(…かな?)と思うかともありますが、本文をお読みいただい
た方でご質問等がありましたら、分かる範囲でお答えさせていただきますので、どう
ぞご連絡いただけましたら、お答えいたします

 長々とエピローグを書きました。本文もろとも拙い文書でしたが、プロローグでも
書いたように本文は私の通し打ちの記録として留めておきたいことを、プライベート
ブック(私本)にして纏めました。最終原稿の版下の状態にまで自分でワードとテキ
ストの貼り付けで作成し、印刷・製本を業者さんにお願いしました。ということで長
い時間がかかり、拙い文書も奇麗にならずとても社会に公開できるものには全く至っ
ていないのは、重々承知しております。にもかかわらずお読みいただいた方、本の製
作にご協力いただいた皆様には感謝をいくらしても及ばないでしょうが、改めてお礼
と感謝の意をお伝えしたいと思います。
 そして何よりも、四国遍路通し打ちで私のマイペースにもかかわらず、本当に心の
こもったおもてなしを頂いた四国の皆様に深く感謝をいたし、そのいくらかでも受容
して頂けましたら望外の喜びです。
                                   (完)


※参考資料・文献
 「四国遍路ひとり歩き同行二人・地図編」(へんろみち保存協力会・第12版)
 「四国遍路の世界」(愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター  ちくま新書)
 「歩く旅シリーズ 四国八十八ヵ所を歩く」(山と渓谷社  2000年4月初版 第1刷)
 「四国遍路 作法とお経の意味」(百万人に、お遍路を伝える会  1番札所霊山寺内)
   他各札所、遍路サロンで頂いた配布資料等

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