gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otonanswer/life/otonanswer-66023
一部引用
防災心理に詳しい、名古屋大学未来社会創造機構特任准教授の島崎敢さんに聞きました。
Q.台風が接近したり、大雨の予報が出たりしているときに「川を見に行く」人は、なぜ、そのような行動をとるのでしょうか。
島崎さん「『自宅が流されるんじゃないか』といった不安から、様子を見に行く人もいるでしょうが、好奇心からの人もいるのではないでしょうか。
不安に感じる人が川を見に行くのは、川の様子を見て、『まだ大丈夫だ』と不安を鎮めたいのかもしれませんし、『本当に危険そうであれば避難しよう』と思っているのかもしれません。
好奇心から見に行く人については、大災害は珍しいことなので、その場の好奇心も満たされますし、目撃者となっておけば、後にも『あのときはこうだった』的なことを語れそうです。
最近では、SNS上で投稿すると大きなリアクションがある場合もあり、ますます『見て記録に残しておきたい、発信したい』という欲求が強くなっているのかもしれません。
不安感から見に行く人を除いて、ほとんどの人は、まさか自分が流されるとは思っておらず、軽い気持ちのやじ馬根性で行っているのではないかと思います。どのくらい危険なのか、事の重大さが分かっていないが故の行動でしょう。
Q.台風の接近や大雨の中で、川や田んぼを見に行くことの危険性について改めて教えてください。
島崎さん「水の力は大変強いので、膝下ぐらいの水位でも足をすくわれます。また、自分がいる場所の雨量は大したことがなくても、上流の雨やダムの放流などで急激に水かさが増す場合もあり、その場所に取り残されることがあります。
さらに、水で穴や溝などが見えなかったり、水以外のいろいろなものが流れてきたりするのでとても危険です」
Q.台風が通過したり、雨がやんだりした後で川や田んぼを見に行く人もいます。その心理と危険性を教えてください。
島崎さん「雨がやんだら、『嵐は過ぎ去った』と思う人が多いのでしょう。それに加えて、先述した好奇心や不安感、農業の仕事の問題もあります。しかし、実際には、川の水位のピークは雨のピークより少し後ろにずれます。
流域が広い川の上流の方で降った場合などは、ずっと後になってからピークが来ることもあります。
こういうことが、あまり知られていないのも問題ですね。実際に、2015年9月の常総水害では、堤防の決壊や越水から2日以上たってから、たくさんの家が水没しています」
災いを見て身を隠す者は明敏である。しかし、経験のない者たちは進んで行って、必ず報いを身に受ける。
聖書(箴言・格言 22:3)
災いを見た明敏な者は身を隠した。進んで行った経験のない者は報いを身に受けた。
(箴言・格言 27:12)