gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/sukusuku/life/sukusuku-42563
一部引用
病気や障害のある家族の介護や世話をしている子どもを「ヤングケアラー」と呼ぶ。「高校生の25人に1人がヤングケアラー」との調査結果が昨年発表され、注目を集めた。
介護に追われて孤独やストレスを感じたり、勉強時間が十分に取れなかったりと、子どもの生活への影響も心配されている。
排せつ介助も 当たり前と思っていた
「子どもとして扱って、話を聞いてほしかった」。岐阜市出身の塩谷(えんや)友香さん(24)=大阪府在住=は、8歳から認知症の祖父を、12歳からは難病を患う母も介護してきた。
「自分は当たり前だと思っていたし、周囲の大人も『えらいね』『すごいね』という反応だった」と振り返る。
当時、塩谷さんは両親との3人暮らし。祖父は祖母、叔父と近くに住んでおり、70代後半で認知症と診断された。祖母も体調が良くなかったため、叔父が夜勤でいない間、
折り合いが悪かった母の代わりに、8歳だった塩谷さんが祖父を介護することに。週末に泊まりがけで排せつの介助などをした。深夜に祖父が「家に帰る」と外に出ようとするのを必死でなだめたこともあったという。
さらに12歳の時、母が難病のパーキンソン病を発症。父は仕事で忙しく、塩谷さんが食事の介助などを担った。母は精神的にも不安定で、取り乱した状態になることも。それから祖父が82歳で亡くなるまでの2年間、平日は母、週末は祖父の世話に追われた。
塩谷さんはストレスで髪の毛を抜くのがくせに。中学生の時には、後頭部の毛がごっそり抜け落ちた。同級生に「落ち武者」とからかわれ、なるべく人に会わないようにわざと遅刻して登校した。「学校に行きたくなかったけど、家で1日中、母といる方がしんどかった」
厚生労働省は、ヤングケアラーを「年齢や成長の度合いに見合わない責任や負担を負い、家族の介護や世話をすることで自らの育ちや教育に影響を及ぼしている18歳未満の子ども」と定義。埼玉県が昨年、県内の高校2年生約5万人に聞いた調査では、25人に1人が「ヤングケアラーである・だった」と回答した。
一方、厚労省の2019年度の調査では、市町村が設けている要保護児童対策地域協議会の5割強がヤングケアラーの概念を認識していなかった。
厚労省は2020年度、全国規模のヤングケアラー実態調査を初めて実施。近く結果をまとめ、支援策を検討していく方針だ。