どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

震災・ユートピア2

2011-07-11 21:17:46 | インポート
この本の3分の1が、ハリケーンカトリーナなのだ。そこまで衝撃的な事件であったようだ。
まず極初期にデマが発生する。黒人が暴動を起こしている(のちにこれは間違いであったと解る)それを市長が信じてしまってテレビに向かってそれを話してしまう。州兵や警察が動員されニューオリンズは封鎖されてしまうのだ。これでは合衆国の危機管理を担当するFEMAもどうしようもない。
マスコミまでこの文脈での報道が続き、無法地帯のイメージが出来てしまう。日本の報道でもそうだった。実際それらしい映像に、それらしいキャプションがつくと簡単にネガティブイメージが出来上がる。
そして中では白人が民兵を編成し自治警備をはじめるが、逃げている黒人を撃ち殺すなど、人種偏見のおく底がワーっと吹き出していた。脱出用のバスには黒人は乗れず、徒歩で脱出しようとする人を威嚇射撃する。
現実には暴動は無く、無人になったスーパーから必要物資が略奪(著者はこの程度は略奪とは言わない、だれがテレビを欲しいと思うか、と批判している)されただけだった。警察が手引きをした例もあるらしい。
それでも市民たちはドームで助け合い、団結して暮らしていたと言っている。
結論の部分は深いもので、震災の復興の考え方になるものだった。
さて現在ニューオリンズはどうなったか。もの凄い数の起業家が増えているらしい。あのお粗末な震災対応から、自助努力の大切さと震災後の生活のため、新しいビジネスにチャレンジする人が増えている。これに関してはダイヤモンドオンラインの記事がある。あわせて読むと日本の復興も視点が変わると思う。
http://diamond.jp/articles/-/13067
この本はいろんな事を考えさせるが、海外の事例だからと切り捨てる前に考えなければ行けない。この本で書き出されているのは社会のひずみや矛盾を、災害などの一時的なもので緩和するのではなく、永続的な社会にするためにどうすればいいのかを問うている。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿