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『ブラック企業-日本を食いつぶす妖怪』著者・今野晴貴さんにきく 「代わりはいくらでもいるんだ」

2013-01-18 | 労働
尾崎豊 - COLD JAIL NIGHT.wmv


『ブラック企業―日本を食いつぶす妖怪』の著者 今野晴貴さんにきく

社会に出る前に実態と対処法知ろう

代わりはいくらでもいるんだ!

 就職活動が本格化しています。景気悪化でますます厳しい就職事情。ようやく内定が決まった会社が身も心も壊されてしまう「ブラック企業」だったら―。『ブラック企業―日本を食いつぶす妖怪』の著者で若者の格差・労働問題に取り組むNPО法人(特定非営利活動法人)PОSSE(ポッセ)代表の今野晴貴さんに聞きました。加來恵子記者

 ブラック企業とは長期雇用を前提とせず、新卒者を正社員として採用し、違法な働かせ方で心も体も壊れるまで使いつぶす企業のことを指します。今や正社員になったとしても安心できないのが現状です。
 その被害相談の一例は次のようなものです。
 企業にとって「使える人」以外の人に「カウンセリング」と称して、いかに能力がないのかと責め立て、どんなことを考えて生きてきたのか、親はどんな育て方をしてきたのかと問いただし、その反省文を毎日要求。その結果、精神的に追い詰められ、「自己都合」退職というかたちをとり辞めさせていきます。

3つのパターン
①選別型
 例えば1000人規模の会社に、辞めさせることを前提に毎年200人を採用する企業。
②使い捨て型
 長時間・低賃金労働をさせる企業。「最低月20万円」とうたっていても、実際は80時間以上のサービス残業をして初めて支払われる金額だったりする。社員を過労死寸前または、過労死まで追い込む企業。
③無秩序型
 「辞めてもいくらでも代わりはいる」という労働市場を背景に会社自体がパワハラやセクハラを放置している企業。

異質な存在

 これまでも、企業には長時間労働やサービス残業などといった問題はありましたが、少なくとも若手を育成し、育てていくことを通じて、利益に結びつけようとする意識はありました。
 しかし、使い捨てることを前提に「正社員」採用するという、従来の日本型雇用ともまったく異質な企業が出てきたということです。

実践的学習

 社会に出る前に知っておくべき知識として、「労働者の権利」があります。高校の「公民」で団結権や団体交渉権などを学んだだけでは不十分です。生活科(家庭科)でやっているように、もっと実践的なものとして学ぶ必要があります。
 例えば私が生活科で学んだ「クーリングオフ制度」ですが、「2週間以内だったら契約はなかったことにできる」など、消費者教育では実践的に教えます。企業の実態やブラック企業の具体的事例から現実的な対処の方法を学んでから社会に出ることが必要になってきていると思います。
 また、被害にあった場合には私たちがやっているような労働相談にかかったり、まともな労働組合などに相談することをお勧めします。

親も教師も

 「正社員には長時間労働はあっても使い捨てにはしないだろう」という認識を捨て、「正社員でも安心できない」悪らつな企業が存在するのだということを、就活を見守る教師や親たちの共通の認識にして、社会全体で問題に向き合う必要があります。
 例えば、「ブラック」だと思ったけど、ほかに内定が取れずに選択の余地なく入社した後で相談に来て、後悔から自分を責める人もいます。でも、決して本人が悪いわけではありません。

国をあげて

 過労死やうつ病問題を解決するためにも労働時間を規制することが急務です。過労死やうつ病を引き起こし、若者を使い捨てながら利益を上げている企業は、社会的には大きなマイナスです。精神疾患をつくって医療費がかかれば、社会全体としては高コストになります。
 長い目で見れば、人を育てて会社を発展させなければ、企業として成り立たなくなるでしょう。少子化の日本。ブラック企業対策は経済界も含めて、国をあげてやらなければならない課題であるといえます。

今野晴貴(こんの・はるき)
 1983年宮城県生まれ。2006年中央大学法学部在籍中に都内の大学生・若手社会人を中心にNPО法人PОSSEを設立し、現在代表を務める。

(しんぶん赤旗日曜版 2013年1月20日号)

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