TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

特別講演会「自然災害から命を守るために ~東日本大震災にみる命の分岐点~」

2011-05-13 23:54:10 | 用語集
東三河地域防災研究協議会研究成果発表会および特別講演会
地域防災研究協議会は豊橋市をはじめとした東三河の市と大学とで連携し、地域の特性を考慮した、防災対策・技術の調査研究を行い、災害に強い地域づくりを推進するための研究を行っていますが、3・11以降、非常にタイムリーな話題ということで、豊橋市の公会堂には、多くの市民の方々が集まりました。

特別講演では釜石市で津波防災に取組んでおられる片田先生(群馬大)のお話を聞くことができました。
片田先生が取組まれている子ども達への防災教育は、「10年経てば、子どもが大人になり、もう10年経てば親になる。」という10年一区切りで2回という時間のデザインでもあります。
子ども達からはじめて地域全体に防災意識を浸透させるという壮大な試みとその熱意にとても共感しました。
なによりも、釜石の街を襲ったとてつもない規模の津波被害の中で、小中学生約3,000人の命を救うことができたという実績はとても価値があるものだと感じました。

お話の中で、繰り返し言われていた3つの心構え。
①想定にとらわれるな:
想定は防災行政上の防御の目標であって、単なるシナリオのひとつ。天災の規模は想定できないが、津波はいつか絶対に来るということ。今回、ハザードマップ内の人の多くがいち早く逃げて生き延びたが、ハザードマップ外の人は油断してしまった。

②状況に応じて最善をつくせ:
過去の経験は役に立たない。人の寿命はせいぜい100年程度、今回の地震は1000年に1回の規模。流れている時間が違う。その状況において最善を考え、行動することが命をつなぐことにつながる。

③率先避難者たれ:
最初に「逃げる」という勇気を持て。誰か最初に逃げ出せば、多くの人が続いて逃げることができる。「津波てんでんこ」=「いのちてんでんこ」


×「脅しの防災教育」→恐怖はすぐに忘れるという人間の性(さが)
×「知識の防災教育」→想定にとらわれることの危険性
○「姿勢の防災教育」→主体的に物事を考え、行動すること。それが「人が死なない防災」である。


終始、現場の臨場感のある話しぶりで被災地の非常にリアルな体験に引き込まれるような内容でした。
今回の講演は、津波防災ということだけでなく、教育研究や建築などのプロジェクトに対する考え方・姿勢としても非常に勉強になりました。
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