オールスターウィークエンドから一週間、後半戦どこか風向きが変わってきた。
昨日9連勝中のヒートがユタ・ジャズのホームで1点差負け、本日7連勝中のサンダーがアトランタ・ホークスのホームで競り負けた。
アウェイとはいえ、どうして敗けたんだろうか?素直に探ってみたい。
マイアミ・ヒート(28勝8敗) 98-99 ユタ・ジャズ(17勝18敗)
1ピリ 26-27 2ピリ 18-30 3ピリ 27-21 4ピリ 27-21
ヒートスターター:ガードD.WadeとM.Chalmers、センターJ.Anthony、フォワードL.JamesとS.Battier
ジャズスターター:ガードG.HaywardとD.Harris、センターA.Jefferson、フォワードJ.HowardとP.Millsap
マイアミはビッグスリーの一人C.ボッシュ(PF)がこのゲームまで2試合出場できないことがわかっていた。代わりに出場したS.Battierは32分、FGはすべて3Ptによる6/7で18得点と活躍した。レブロンはいつも以上に、44分・10Reb・35得点、ウェイドも36分・31得点である。3人で84得点もしてどうして敗けるのか?
残り出場した6人で14得点(4点2人、3点、2点、1点、0点)しか取れていない。ウェイドは試合後、次のようなコメントをしてる。
『今のチームは全員が自信に満ちている。誰1人として試合に集中していなかった選手はいない。チームには攻守に貢献出来る選手が揃っているし、どんな状況になっても持ち直せる自信がある。特にロードゲームではね、逆転するチャンスはあったけれどね。ただ、終盤は自分達のやりたいようになかなか実行出来なかった。』
ちょっと無理したコメントじゃないかな。ヒート9人の選手得点、貢献度を見るととてもそんな風に思えないのだが・・・
ヒートが敗れたゲームの特徴には、次の3つの共通項があるように思われる。
① チームとしてのトータルリバウンドが相手より10前後以上少ない。
② ペイント内の得点が意外に取れていなく、速攻による得点が一桁である。
③ 二桁得点が3人以下である。
このゲーム、①はヒート32本対ジャズ50本とジャズが18本も多くRebを獲得している。
②は、ペイント内得点:ヒート38点対ジャズ52点、速攻による得点:ヒート7点対ジャズ10点、
③は、ヒート3人(ジャズ6人)と当てはまる。
チームFG試投数をみれば、いかにジャズがセカンドチャンスものにしたかわかる。
ヒートFG:37本成功/75本試投(49.3%)、ジャズFG:38本成功/90本試投(42.2%)
その内、3Ptは、ヒート:8/17(47.1%)、ジャズ:3/10(30.0%)だからヒートの方がシューティングアベレージは全然いい。
TO(ターンオーバー)はお互い少なく11個と同じ、Stl(スティール)も9本:8本と遜色ない。
あと少し差がついたところは、FT(フリースロー)でジャズが勝負所で効果的にFTをもらっていた。
FTは、ヒート:16/22(72.7%)、ジャズ:20/27(74.1%)
『ヒートは第4Q残り26秒に、レブロン・ジェイムスが試合の行方をほぼ決めるジャンパーを沈めて97-94とすると、その12秒後にはドウェイン・ウェイドがフリースロー1本(2本中)を沈めて98-96とした。ハリスの3Pプレイで逆転された後、ラストショットを託されたはずのジェイムスは、ジョッシュ・ハワードとポール・ミルサップからダブルチームをされ、オープン状態だったウドニス・ハスレムにパス。ハスレムは惜しくもショットを外し、ジャズの勝利が確定した。ジェイムスは、「色々と批判されることはわかっている。でも、俺は勝つために最適と思える判断をしたまで。誰よりも勝ちたいのは俺だったからね」とコメント。』
2分30秒くらいのゲームハイライト映像には、最後のレブロン⇒ハスレムへのパスとともに、オールスターゲームでの同様なラストシーンが映し出された。残り4秒しかないのに、ダブルチームというのはそうなりかけてただけで決してシュートが打てない状況ではないように見えたが・・・
最後の最後、このあたりに猛獣レブロンの数少ない精神性の弱さを垣間見た感じがする。これはひょっとするとヒートというチームがチャンピオンになるために抱えてる大きな問題かもしれない。

オクラホマシティ・サンダー(29勝8敗) 90-97 アトランタ・ホークス(22勝15敗)
1ピリ 24-27 2ピリ 23-26 3ピリ 28-23 4ピリ 15-21
サンダースターター:ガードR.WestbrookとD.Cook、センターK.Perkins、フォワードK.DurantとS.Ibaka
ホークススターター:ガードJ.TeagueとK.Hinrich、センターZ.Pachulia、フォワードJ.SmithとM.Williams
サンダーという若い爆発力あるチームは、いまのNBAではとても魅力的なチームだ。過去に似たようなチームを探すのが難しい。オールスターゲームでも大活躍したK.デュラントとR.ウェストブルックはよく走るし、よく攻めて素晴らしいゴールハンターである。しかし、時としてこの2人の歯車が少し狂うとチーム全体がすべて狂いはじめてしまう傾向が出る。勝ったゲームの中でも、突然としてロースコアになるピリオドがある。
サンダーは次の点でヒートと似た傾向がある。
① 基本的にアウトサイド中心のオフェンスチームで、速攻からの得点やアーリーオフェンスを仕掛ける傾向が強い
② ペイント内での得点が少なく、3ポイントシュート不調なときは苦しいゲーム展開になる
③ TO(ターンオーバー)が多く、TOからの失点が数少ない負けゲームになる要因である
①と②は結局、言い方を変えただけで同じことである。要するにサンダーのチームカラーは、ハーフコートで特にチームディフェンスを粘り強く頑張って、確実なハーフコートオフェンスをインサイドのピボットマンを活用するところから始めるバスケの原理・原則から離れた特徴を持っている。シーズン序盤、2ゲームほどフルでサンダーのゲームを見たが、いわゆるゲームを作る(コントロールする)PGが不在とおもえるようなチームで、ガードのウェストブルックとフォワードのデュラントのどちらかがオフェンスの在り方を瞬時にフリーランスに決めてしまう感じがする。それだけこの2人が才能あふれる選手だから、型にはまるオフェンスよりこの2人の感性に任せたバスケの方がチームもさらに伸びる可能性あると思う。ウェストブルックは、SGとして自由にやらせるともっと生きるかもしれないと思うほどだ。しかしそれではチームにPGできる主力選手いないだけにPGという役割をウェストブルックが担うしかないのだろう。いろいろTOの欠点等を指摘されるが、2月に入ってからはPGとして大分安定してきたのではないだろうか。
『一方のサンダーは、ターンオーバー21から22点をホークスに許す等、ミスから自滅。連勝を7で止めた。
今季は1試合平均16.9ターンオーバー(リーグ1位)を記録する等、ウェスタン・カンファレンス首位を走り好調を維持しているが、明確な改善点を露呈している。スコット・ブルックスHCは、「改善しないといけない。以前からずっと話していることで、チームとしても努力している。我々は攻撃的なチームだから、こういうミスは仕方がない部分もある。ただ、NBAの試合で20回を超えるターンオーバーは許容出来ない」とコメント。ケビン・デュラントは、「終盤の競り合いで勝ってきた試合は多いし、今日は運が無かっただけ。タフな負けだけれど、先に進んでいかないとね」と、気持ちを切り替えた。』

このゲーム、いまやホークス真のエースに成長した#5J.スミスが大爆発、すごい存在感を示した。30得点12Reb。開幕序盤から比較すると、今のホークスは大変な状況である。エース2人が大きな怪我で離脱してる。センターのA.HorfordとJ.Johnson。シーズン序盤、この2人がいるホークスにブルズは2戦して1勝1敗ととても苦しいゲームを余儀なくされた。ペイサーズや76ersのようにベンチメンバーも含めて全員バスケで頑張るところがある。
このゲームを決定づけたのは、サンダーTO21回対ホークスTO12回。TOによる失点がサンダー22点対ホークス16点。ペイント内得点がサンダー26点対ホークス42点。速攻による得点は、20点対4点でサンダーが圧倒している。
いろいろ言っても、ヒートもサンダーも絶対的エースが複数いるアドバンテージはやはり他のチームからすると脅威である。シーズン後半もプレイオフもイースト・ウェストの大本命であることに変わりないと思う。短縮シーズンとはいえ、66ゲームも消化する中には、こういうゲームもある。ホームコート相手が大声援に乗り相手のツボに嵌ってしまうような・・・今後もこの2チームから目が離せないことに変わりない。