
勝負の世界で生きてる人たちには、「やられたら、やり返す」という意識がどこか必ずある。
我々はそれをリベンジだとかよく言うが、たぶんそんな軽々しいものでない。プライドに火が付いたとかいうレベルでもないと思う。できうる限りの準備・研究を重ねて、次の勝負来る日を虎視眈々とクールに密かに楽しみに待つ。全身全霊ある1点にすべて懸けるみたいなときがあるのだろう。
ニックスが7連勝の口火を切った初戦がネッツ戦だった。リンはいつもの控えでベンチスタートして、あれよあれよという間に36分25得点のNBA初ブレイクゲームになった。そのとき、ネッツのデロン・ウィリアムスは無名選手リンに対して当たり前だが何の情報もなく、控えの控え選手というイメージでノーマーク、何の警戒心もなくきっとなめていたのだろう。同じポジション(PG)でマッチアップして「あれっ」、「えっ」という間にやられてしまった。その次のゲームからリンはご存じの通り初スタメンを果たし結果を出し続けた。デロンはきっと苦々しい思いでリンの大活躍を見ていたのだろう。デロンも正直にやり返したこのゲーム後次のようにコメントしてる。
『 マッチアップしたウィリアムスはニックスとの再戦を何よりも楽しみにしていたようで、カレンダーにマークしていたという。
「普段なら特定の試合には関心もないけれど、彼(リン)との初対戦の後、ツイッターで『ジェレミー・リンがデロン・ウィリアムスに勝った』なんていう書き込みを頻繁に目にしたから、やる気になったよ。だからカレンダーにもマークしておいたんだ」と、ウィリアムス。ウィリアムスとリンのマッチアップは、第3Q終了までに36-11とウィリアムスが圧倒。リンも試合を通して21得点、9アシスト、7リバウンドを記録したが、FG18本中7本とシュートタッチを掴めなかった。』
ニュージャジー・ネッツ(10勝24敗) 100-92 ニューヨーク・ニックス(16勝17敗)
デロン・ウィリアムス 34分 38得点 PG:10/22 3Pt:8/14 6PF(ファールアウト)
ジェレミー・リン 36分 21得点 9Ast 7Reb 3TO 4Stl 6PF(ファールアウト)
お互い熱くなる部分があったのか、チーム一の得点を挙げながら2人ともファールアウトしてるところが面白い。ファールを多くするということは悪いことばかりでない。むしろ積極的にディフェンスしてる証拠でもある。デロンの並々ならぬ「こいつ絶対止めてやる」という姿勢を感じる。才能あふれる選手がチーム成績低迷の中、己の存在を知らしめるようなギラギラガツガツしたプレイを見たかった。今シーズンまだネッツVSニックスが1ゲーム残っている。R.シーズン最終盤の4月18日残り5ゲーム、PO直前にニュージャージーで。今度はリンがデロンとは異なるやり方でやり返す番だ。
この試合、もうひとつ楽しみな要素があった。今シーズン鳴り物入りでニックスに移籍したエース級カーメロが怪我から久しぶりの復帰。リンがPGとしてブレイクし激変したチームにどう対応するのかという点。カーメロは単にセルフィッシュな選手でないことがスコアからよくわかった。37分、FG:4/11、3Pt:0/0、11得点。怪我をする前、一人で30本前後あれだけ打ちまくっていたメロが・・・このゲーム、ニックスのチームFG%が低くて負けはしたが、明らかにチームの方向性が変化してる。メロはチームの柱としてリンのゲームメイクに未来のニックスを懸けているなと。そのためには、前にも述べたが、A.スタウダマイヤーとT.チャンドラーのインサイドを活用しなくてはならない。このゲーム、チャンドラーはFGが4/5、8Reb、14得点で物足りない。A.マイヤーもFGが7/17、4Reb、17得点とRebが少なすぎる。この4人がうまく機能してきたとき、ニックスはきっと5割を超えてプレイオフで怖いチームになると予想する。
少し勢いのなくなったホークスを1ピリオドスタードダッシュでものにしたみたいだが、ローズ復帰にも素直に喜べない感じのひやひやするローズプレイ(ぺネトレイトドライブ)がたびたび起こる。いざゲームになると背中の痛みや怪我のことなんか忘れてしまうのだろう。彼の本能が脳の理性を飛び越えてしまうようなプレイだ。ほんとうはオールスターウィークエンドも休んでほしいのだが・・・イースタンのスターターPGとしてプレイしてしまうんだろう。レブロンやウェイド、ハワードにどんどんボール預けてアシストに徹してもらいたいな・・・
アトランタ・ホークス(19勝13敗) 79-90 シカゴ・ブルズ(26勝8敗)