「勝負」には、勝ちと負けしかない。最後の最後に訪れたチャンスつかんだ勝者と敗者とでは、これほどまでに天と地ほどの差があるのだろうか?
ほんとうに残酷すぎて心痛んだ。4年前の世界最終予選よりさらに残酷だった。
ゲーム直後に全日本選手代表して、勝っても負けても毎ゲームTVインタビューに応じてくれた大神と吉田には心から感謝したい。立派過ぎてもう言葉が出ない。大神が下を見たまま泣きじゃくりながらも搾り出してくれた言葉がこの敗戦のすべて物語ってくれた。
「もういいよ、はやく開放してあげてよ。」、今後(未来)のことなんて今考えることのできる状況じゃないよ・・・彼女らは一番わかってるよ。この敗戦がどれだけ痛い意味もってるか。
どんだけ責任感強いんだろう?
4年に一度というオリンピック出場の意味を誰よりもわかっている。この気持ちの強靭さで彼女らは自身のすべて懸けていかにバスケ取り組んできたのか、生きてきたのか。アテネからの8年間、この日勝つためにどれほど厳しい練習に明け暮れ、怪我から尋常でないリハビリ重ねてきたことだろう。この8年間のすべて否定されてしまうかのような敗戦、ショックは計り知れないだろう。
女子バスケット世界最終予選ノックアウトラウンド2 最終決定戦 カナダ 71-63 日本
日本出だしのディフェンス(マンツーマン)が少し中途半端だった。ベンチの指示は全員でインサイド重視の守り、選手の意識は前日韓国戦のようにアウトサイドもプレッシャーかけるかのような守りであったように見えた。カナダのオフェンスはポストプレイからと徹底していた。シュートリズムも完璧だった。インサイド1対1を一人で守れないことが明白であったから早目のポストへのヘルプ、カバーもう少し先手先手で仕掛けられなかったろうか・・・出だしの0-11は重たい足かせになった。カナダはいけるという勢い出て、カナダ#7のスリーが1ゲーム通しで大事な局面であんなに決まるとは・・・日本にとって最大の想定外だった。
それにしてもカナダは日本のオフェンス決め所をよく抑えた(準備した)マンツーだった。チェコのように体大きいのに足がよく動く。最初の6分間楽にアウトサイドシュート打てる状況作れなかった感じだ。前半カナダオフェンスはアグレッシブで外のスリーもあんなに入るものなのか?と思えるほど内外角のバランスよい攻撃だった。リバウンドも198のセンターだけでなく、よく飛び込んでくるしバックコート陣もロングリバウンド備えてる。普通あれだけリバウンド数、差がつけばもっと得点開くものだが、その分日本は相手にTO誘発させて何とか一桁の得点差で追いかける展開になった。
2ピリに2-3ゾーン引いて相手のシュートリズム少し狂わせたが、ディフェンスリバウンドに苦労した。ゾーンではギャップに飛び込まれボックスアウトできない。3ピリ途中まで引っ張りすぎたかもしれないが、そのあとマンツーへのチェンジングも決め手に欠けた。もう体力的にも限界にきてる足はどうにもならなかった感じする。3点~6点差が終盤どうにも重すぎて逆転するきっかけ、雰囲気つかめないままリバウンド支配されてゲームをコントロールされてしまった。
(日本バスケットボール協会HP現地レポートからの戦況)
『 ウォームアップから大きな声で自らを奮い立たせ、気合いみなぎるハヤブサジャパン。しかし、気負いすぎたか試合開始から5連続でカナダにシュートを決められ、0-11と一方的に攻められます。たまらず日本はタイムアウトを要求。直後の攻撃で、#13大神選手がようやく初得点を決めます。ターンオーバーを誘う好ディフェンスから、#8田中選手の3Pシュートが決まり、追い上げにかかった日本でしたが、第1ピリオドだけで75%と高確率でシュートを決めたカナダが11-21とリード。しかし第2ピリオド、日本の連続シュートからスタートし、さらにディフェンスでは前からプレッシャーをかけ、点差を一桁まで詰めます。日本のディフェンスを縫うように、カナダは7番が連続3Pシュートが重くのし掛かります。日本も途中交代でコートに入った#7矢野選手が、いきなり3Pシュートを決め対抗し、31-37と6点差まで迫って前半終了。
後半開始早々、カナダは7番の3Pシュート、さらに連続で加点され、第3ピリオド途中には35-49、14点差と再び点差を開けられます。第3ピリオド残り間際、#12吉田選手のコントロールから最後は#6間宮選手がブザービーターを決め42-52、10点を追いかけ、最後の10分に望みを賭けます。第4ピリオド、#8田中選手の3Pシュートから幸先良くスタートし、一気に51-54と3点差まで迫った日本。しかし、7番の3Pシュートで引き離されると残り時間も迫る中、なかなか思うように得点をつなげられず。最後は、ファウルゲームに持ち込み、相手のフリースローは落ちるも日本は得点につなげることができず、63-71で最後の試合を飾ることはできませんでした。同時に、オリンピック出場の夢も打ち破られました。 』
日本のシューター#8田中選手は、ほんとうに引退してしまうのだろうか?
この最終予選5試合でもっとも安定して高確率でスリー決めてくれた。田中選手の競技人生は大怪我(両足前十字靭帯断裂)と過酷なリハビリとで都合2年間バスケのできない日々送った持ち主だ。ほんとうにご苦労様。
『 ●#8 田中 利佳選手(JXサンフラワーズ)
出だしが良くなくて、そのままカナダに勢いを持って行かれてしまいました。最後は追いつく思いでプレイしてましたが、あと一歩、力が足りなかったです。オリンピックに行きたかったですが、ここで終わることに悔いはないです。ありがとうございました。 』
『 ●#12 吉田 亜沙美選手(JXサンフラワーズ)
ディフェンスは良かったのですが、その後のオフェンスのミスや足が止まってしまいました。3点差まで追い上げた時に引き離されたのは、カナダの選手の方が気持ちが強かったのだと思います。今日のゲームの最初は「インサイドを守れ」という指示だったのですが、どうしても3Pシュートを気に過ぎて外に開いてしまったことでインサイドから簡単にやられてしまい、崩れてしまいました。昨日の韓国戦では1発目のディフェンスが良く、自分たちのブレイクにつなげる展開ができましたが、それが今日は出せませんでした。今日の試合は自分たちのバスケットができませんでした。 』
いよいよ吉田選手たち世代と下の世代たちが全日本中心になる時代が近づいてるような気がする。しっかり休んだらまた未来見据えて始動してください。
『 ●#7 矢野 良子選手(トヨタ自動車アンテロープス)
欲を言えば、もう少し自分が流れを変えられば良かった、という部分はあります。ゲームの最初が悪いとなかなかペースをつかめないです。もう終わってしまったので、いろいろ言っても仕方がありません。自分にとってはこの大会が最後だと思っていました。その中で自分の仕事はできたと思っていますので、本当に悔いはありません。
前回の世界最終予選は悔いの残る試合でした。今回はコートに出たら自分に出来ることをやろうと思って、1本1本を最後だと思ってプレイしていました。その点は4年前とは違って、悔いなくできたと思います。
(後輩たちへ向けて)やっぱり何かが懸かるような試合は、気持ちの面でしっかり持ってるつもりでも、出だしで0-4などと先手を取られてしまうと、簡単に1本を返せないパターンになってしまいます。ゲームの入り方が悪い試合は、最後まで引きずることが多いです。その時に思い切り良くシュートに行ったり、前からプレッシャーをかけるディフェンスをするなど、悪い流れを切るプレイができる選手が出てくれば、そして気持ちが前に出てくれば、出だしが悪くても試合を通して流れをもっと自分たちに引き寄せることができるはずです。若い選手たちには、気持ちを前に出すことや粘ることをこの試合で学んでくれていたら良いなと思います。 』
矢野選手もほとうにご苦労様、長い間全日本引っ張ってくれました。全日本は引退しても、WJBLではできる限りプレイして後輩たちにまだ伝えてもらいたいことがたくさんある。
『 ●#13 大神 雄子キャプテン(JXサンフラワーズ)
北京オリンピックを逃してから、何が足りないのかなと思ってこの4年間、いろいろなことをやってみようと取り組んできましたが、まさか世界最終予選前に怪我をするとは思っていませんでした。これも何か自分に与えられた試練だと思い、この3ヶ月間ロンドンオリンピックだけを目指してきたのですが、このような結果になってしまいました。自分の4年間の行動や取り組み方、どこまでやっていけば良いのか、間違えだらけだったのではないかというようないろんな思いが今はあります。日本代表としてこのユニフォームを着ている限り、結果を求められるので、本当に責任を感じています。 』
いまはただただゆっくりと休んで心身ともに回復に専念してください。まだまだ大神選手の力と精神力は全日本に必要です。日本バスケ界がプロ化されるまで、プロ初年度コートで溌剌とした姿見せてください。
これからまた4年後の2016リオデジャネイロ(ブラジル)オリンピックまで長い道のりのスタート切る。今度は大神世代が大ベテランで吉田世代が中堅ベテラン、間宮から長岡世代が躍動してどのような全日本女子チームができるのだろうか?
つくづく感じた世界高さの壁、この高さを乗り超えるようなバスケ追究しない限り日本バスケに未来はない。