初任者さんができる社会科の教材研究(了)

2012-03-28 | 社会科の教材研究法
初任者さんができる社会科の教材研究について
10+αのポイントを自分の拙い実践に沿ってまとめてみました。

まとめてみる過程で、やはり新たな発見がありました。
フェイスブックでたくさんのご助言をいただくことができました。
光栄なお話をいただくこともできました。

やっぱり自身の実践を整理することは大切!
他律的自律(春休みしかできないけど・・・)を、
まだまだこれからがんばろうと思います。


最後に、社会科授業上達の近道!!

===============
・先輩の授業を参観する

・自分の授業を見てもらう

・指導書研究編を読む
==============


特にも3点目。

ここまで書いてきて、身もふたもない話かもしれませんが
指導書どおりにやってみるのも勉強です。

指導書は、ものすごいエネルギーを費やされて作られています。
全国の一流の先生方が執筆されています。
その先生方がくぐらせきた実践を元にまとめらているのです。

そういった「すばらしい財産」を、吸収しながら
自分なりの授業スタイルを作っていく事も大切なのかなぁと思っています。

私は、社会科の授業を構想するときはかならず
「研究編」と「実践編」を熟読します。
(ただ、自分なりの授業スタイルを構想してから読むことにしています。)
毎日が、勉強です。

初任者さんができる社会科の教材研究(13)

2012-03-28 | 社会科の教材研究法
初任者さんができる社会科の教材研究。
とりあえず(?)最後の10個目です。

それは、
==================
問題解決的な学習過程を意識する
==================
ということです。

「問題解決的な学習過程」という
良い意味での「パターン」をしっかり確立すると、
教師も子どもも、安心して45分授業に取り組めます。

たとえば私は問題解決的な学習過程を、
========
1「課題把握」
2「予想」
3「追究」
4「交流」
5「まとめ」
========

と考えています。


これまで本連載において、
===============
・資料の扱いに順番をつける
・資料の扱いに軽重をつける
・学習の形態を考える
===============
ということを説明してきましたが、
それらを総合させながら、
上記の問題解決的な学習過程に位置付けていくのです。

たとえば、
==================================
課題把握は、大きい資料で説明しながらやろう」

予想は、ペア学習でやらせよう」

追究は、写真資料でたっぷりと一人学びだ!」

交流は、グラフを読み取らせながらグループで結論を出させよう」

まとめは、時間がないから、あっさりとやろう」
=================================
というような感じで、
ざっくりと学習の流れを考えていきます。

最初はぎくしゃくする45分になるかもしれません。
しかし、続けていくうちに
「あれ、今子どもたちの思考をしっかり追えている時間があったぞ」
と思う瞬間がちょっと生まれてくるはずです。

そういった時間をすこしでも伸ばすようにして、
課題把握からまとめまで、児童の思考の流れを作っていきます。

オーソドックスな社会科授業の流し方を身につけたら、
後は、自分なりの社会科授業のスタイルを作っていけば良いのではないでしょうか。


本ブログ左のカテゴリー欄「社会科の言語活動」において、
「言語活動を問題解決的な学習過程に位置付ける」
と題し、8回にわたり問題解決的な学習過程を大切にした授業作りについて
説明しています。
「問題解決的な学習過程」について興味のある方は、どうぞご覧下さい。








初任者さんができる社会科の教材研究(12)

2012-03-28 | 社会科の教材研究法
初任者さんができる社会科の教材研究9つ目。

それは、
===============
板書計画を3分割法で立てる
===============
ということです。

私は最近は教材研究というと「板書計画」がメインになっています。
教科書を見ながら、A4のノートに、授業終了後の板書を書いていくのです。

板書計画を立てていく過程が教材研究に直結するので、
慣れると非常に効率的です。


板書は中身が当然大事です。
===========
「構造的な板書を!」
===========
と、初任研などでは必ず指導をされるのではないでしょうか?
しかし、「構造的」といっても意外と難しいものです。
慣れやセンスが必要です。

そこで、3分割法です。
3分割法とは、
===================
黒板を縦に三つに分ける
===================
という事です。
そして、そこに
「課題」「予想」「追究」「まとめ」
について、書き記していきます。

このパターンで書いていくと、
ある程度構造的な板書ができあがります。
だれでもできる板書のパターンです。

私はノートに簡単な枠を書き、その中に、学習の過程を書き込んでいきます。

============
左が「課題」「予想」
中が「追究」
右が「まとめ」
============
というパターンが(自分の場合は)多いです。

ただ最初は、ざっくりでいいと思います。
「課題」と「まとめ」を書くだけでもいいのだと思います。



見本にはならないかもしれませんが、
自身の板書をこのブログの中から拾って
アップします。







だいたい、三分割でまとめられているのではないでしょうか。

しかし、
最初は難しい事を考えず、
「まずはノートに三つの部屋を描いてみる。」


ということを実践してみるといいかもしれません。




ちなみに
本ブログ左の「カテゴリー」欄の「授業記録」に、
6年社会科授業のほぼ全時間の板書記録を入れてあります。
それぞれ拡大して詳しく見ることができます。
(中身の質は保証できませんが・・・)

興味のある方はご覧下さい。
後日、さらに整理していく予定です。



初任者さんができる社会科の教材研究(11)

2012-03-28 | 社会科の教材研究法
初任者さんができる社会科の教材研究。
8つ目は
=============
学習形態の流れを考える
=============
ということです。

学習形態とは、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 A 教師が説明を聞く部分
 B 子どもたちが調べ学習する部分(ひとり学び)
 C 隣同士で互いに意見交換する部分(ペア学習)
 D 集団で意見を交流する部分(グループ学習)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

などが考えられます。

「これらの学習形態のいくつかが、
 バランスよく45分に組み込まれている」


ということが大事だと思います。

簡単な情報の読み取りであれば、
一人学びで、たっぷりと資料に向き合わせます。

意見が分かれそうな資料や問題について考えるときは、
隣同士のペア学習で様々な角度から意見を出させるのも
面白い活動です。

戦国時代のMVPは誰か?など、
討論をさせたいときなどはグループ学習で、結論をそれぞれ出させ、
話し合い活動を行います。

もちろん、教師がしっかり説明をし、
それをそれぞれがしっかり聞く活動も大切です。

これらの活動を45分のどこに、それぞれ位置付けるか?
それを教材研究の中で考えていきます。

一番簡単なのは、「資料」です。

教科書の資料に印を付けながら、
「ここは自分が説明しよう」





「ここは、一人学びからグループ学習へ」





「ここは、ペアで交流させよう」





「今日はグループはいらないな」

など、チェックを入れていくと良いのではないでしょうか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 A 教師が説明を聞く部分
 B 子どもたちが調べ学習する部分(ひとり学び)
 C 隣同士で互いに意見交換する部分(ペア学習)
 D 集団で意見を交流する部分(グループ学習)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

のうち、4つ全てをこなそうとすると大変です。
軽重をつけながら2~3個を組み込んでいくと良いと思います。


そのなかでも「今日のメインはCのペア学習!」などと
授業の一番の”目玉”をおさえておくと45分の組立もスムーズにいきます。

グループ学習では、
ホワイトボードを活用した活動がおすすめです。
自分も勉強し始めたばかりですが、いいなぁと思っています。
これからがんばります。








初任者さんができる社会科の教材研究(10)

2012-03-27 | 社会科の教材研究法
ブログを打っている最中に、
風呂からあがった妻(とりあえず社会科教師)が
パソコンを覗き込んで一言。

========================
国語とおんなじように、
教科書を何回も音読するのが大切なんじゃないの?
========================

たしかにそれも、、重要かもしれません。

声に出して教科書を何度も読んでみる。
簡単にできる教材研究ですね。

オマケでした。

初任者さんができる社会科の教材研究(9)

2012-03-27 | 社会科の教材研究法
教材研究方法7つ目は、
=======================
自分のこととして考えさせるまとめを工夫する
=======================
ということです。

これは、教材研究において
「授業の終末」部分で意識していきます。

たとえば、
=============
・自分が○○だったら~~
・もし○○をするならば~~
=============
といった「仮定形」で考えさせていきます。

子どもが、学習したことを「身近」に感じながら
まとめていくとで、
さらなる知識の定着を図っていくのです。

===========================
・岩手県にリニアモーターカーを敷設するとしたら?
・もし自分が戦国大名だったら何を一番大切にするか?
・10年後の自分に車選びのアドバイスをするとしたら?
・豊臣秀吉にインタビューしてみよう。
・もし自分がスーパーマーケットの店長だったら?
===========================

【10年後の自分への手紙を書いてみよう】



【全国統一に必要な事は?】



ワークシートはあくまでも具体的に紹介するために示した例であり、
実際は、ノートに一言書くだけでも十分です。
まとめを、ちょっぴり工夫するだけで、
社会科好きの子どもも増えていくと思います。






初任者さんができる社会科の教材研究(8)

2012-03-27 | 社会科の教材研究法
社会科の教材研究法6つ目。
それは、
================
webのイメージ検索を活用する
================
ということです。

イメージ検索については、以前の学級通信の記事
で、紹介しました。
キーワードを打ち込むと、それに関連する画像が
web上から一気に集められる便利な機能です。


そのイメージ検索を、何に使うか?
それは、
===================
授業の小ネタを収集する
===================
授業のアイデアを膨らませる
===================
授業にオリジナリティーを出す
===================

というためにです。


たとえば6年歴史単元。
戦後の日本の授業です。

長崎の平和祈年の像を活用したいと思いました。



そのときに、
googleのイメージ検索機能で
「長崎 平和 像」と打ち込みます。





すると、画面には、祈年像に関連する画像が沢山出てきます。
web上から集まってくるのです。




様々な写真群から、興味があるものをクリックし、
そのHPから情報を収集します。

たとえば、上の写真群のなかには、
祈年像の右手が拡大されてある写真がありました。

調べてみると
右腕を高々と上げ、右手の人差し指を立てている
というのにも理由があるようです。
(これは、原爆の脅威を示しているそうです。また、
 爆心地という意味ではないとのことです)

=====================
・じゃあ、水平に上げた左手の意味は?
・右足を真横に組んだ意味は?
・左足だけなぜ立てている?
・半目にしているのはなぜ?
=====================
先ほどの写真をヒントにいろいろ検索すると
今まで思いつかなかった角度で、情報が入ってきます。

これらのことを話し合ったり考えたりしていくだけで、
「平和」「戦争」についてまとめていく事にもなっていきます。

写真から授業のアイデア、インスピレーションがわいてくるのです。
(通常の)文章検索でもいいのですが、
手っ取り早いのはやはりイメージ(画像)検索です。

ちなみに、平和祈年像の画像を検索していると、
中には、プロレスラー(格闘家)の写真もヒットされます。
なぜ、プロレスラー(格闘家)が、関連しているのか?
それも、授業の小ネタとして盛り上がります。


ということで、私は授業をする前に
気になった語句については、よく
「イメージ検索」
をかけて教材研究をしています。

すこし授業作りに余裕が出てきたら、
イメージ検索で調べてみるのも楽しいかもしれません。

・教科書の資料だけではものたりない。
・教科書をなぞるだけでは嫌だ。
・自分のこだわりを授業に出したい。


そんなときに役立つのが、このイメージ検索です。

(今回は妙に長い記事になってしまいました・・・・。
 サクッと読める内容を心がけていたのに、反省です)





初任者さんができる社会科の教材研究(7)

2012-03-27 | 社会科の教材研究法
初任者さんができる社会科の教材研究
5つ目です(ようやく半分・・・・!)

それは
====================
地図帳を使うチャンスをさぐる
====================
簡単に言うと、
教科書に出てくる地図及び地名は、
確実にチェックをする
ということです。

たとえば教科書にこのように記述があったとします。


そうしたら、必ず北九州市について教師が事前に地図帳を引きます。
すると、北九州市の周りには工場の地図記号がたくさんある事が分かります。


子どもたちが授業中に実際に地図帳を調べる事で、
そこから、「北九州市」と「エコタウン」の関わりについて
興味をもつことができるはずです。

また、子どもたちが地図帳を引くだけで、様々なつぶやきが生まれます。
そのつぶやきを拾っていくことで、授業を紡いでいく事も可能です。
教科書にも地図はありますが、実際に引く事でより深く、幅広く
情報を収集することができるはずです。


地図帳を使う事には、もう一つ利点があります。
それは、
=================
授業にアクセントを生む
==================

ということです。

社会科授業が苦手な方ほど、説明が長くなり、
講義形式の45分になりがちです。
子どもたちにとっては、ひたすら受け身の授業になってしまいます。
(↑自分にとっても耳が痛い話でありますが・・・)

そのときに、一度でも、地図帳を活用することがあれば、
それは(受動的な時間が強制的に)能動的な時間となります。

2分~5分程度の短い時間ではありますが、
子どもたちが一斉に地図帳を調べる事で、
授業の中にメリハリをつけることができるのです。


教材研究の中で
「今回も地図帳を必ず使うぞ!」
という意識を強く持って取り組むことをお勧めします。

地図帳を使う”チャンス”は、
見開き2ページの中にいくつもいくつもあるはずです。


初任者さんができる社会科の教材研究(6)

2012-03-26 | 社会科の教材研究法
社会科教材研究の4つ目。

それは、
=============
教科書資料のランク付け
=============
を行うという事です。

社会科の学習会や研修会で、よく
=======================
教科書の資料は全て扱わなくてはならないのか?
=======================

ということが話題に上がります。

これにはいろいろな考え方があります。
先日の研究発表会では

========================
「その時間で扱えなくても、単元を通して
 (行ったり来たりしながら)触れれば良い」
========================

という意見も出されました。

なるほど!と納得します。
しかし、それは社会科授業が堪能な方のテクニックかもしれません。
社会科が苦手な先生にとっては逆に難しいのかも?とも思いました。

私個人としては、
=========================
授業において、教科書見開き2ページの資料には
(基本的に)45分の中で、全て触れる、扱う!!
=========================
ということを徹底しています。
授業に無駄な事を入れなければ、
全ての資料を扱って丁度45分が終了する
ということが感覚でわかるようになりました。

ただ、「全ての資料」というと量も膨大です。
ですから、さきほど述べたように「ランク付け」を行うのです。

=======================
1)メイン資料
 →たっぷり時間をかけて読み取らせる資料

2)サブ資料
 →ちょっと立ち止まって考えさせる資料

3)ちょっぴり触れる資料
 →ほんの一瞬、解説程度でふれる資料
=======================

教科書のコピーに、このように番号を振っていきます。


======================
・授業で扱う順に番号をふる
・重要度にあわせて丸の大きさを変える
・あくまでも目安であって、細かくこだわらない
======================

ということがポイントです。

とにかく、全ての資料には「必然性」があります。
「なんで、こんな資料がポンと出てきているのかなぁ?」
その必然性をしっかり確認していく事が
教材研究においてもっとも重要なのだと思います。



初任者さんができる社会科の教材研究(5)

2012-03-26 | 社会科の教材研究法
教材研究の方法3つ目は、

===========
重要語句をおさえる
===========

ということです。
一単位時間で
「児童に確実に習得させる事項/語句は何か?」
ということをしっかりおさえます。

しかし、社会科の教科書には、
算数や理科のように大事な言葉が
太字で示されていません。

どのようにするかというと、
まずは
教科書巻末の「さくいん」欄を調べます。

※新学習指導要領で「知識の習得/活用」が重要視されたことから、
 どの教科書にも「さくいん」欄が復活したのです。


授業予定のページにおいて、さくいんに明記されている語句があれば、
その語句を中心に授業を進めていきます。
また、中心発問や調べ学習も、その語句に沿って構想していきます。

「さくいん」以外でしらべるとすると、あとは「テスト」です。
単元に入る前に、テストをざっと見ます。

そして、記述や選択で問われている「語句」をおさえるのです。
※とくにも”記述”で問われる語句は重要度が高い場合が多いです。



前回の「まとめ」の際も書きましたが、
こういった重要語句を使って
======================
「○字以内で、今日のまとめを書きなさい」
======================
という指示も、単元によっては有効な場合があります。
(特に6年生歴史単元など)