思考を促す社会科授業(10)

2012-07-14 | 思考を促す社会科授業
 社会科授業における、思考を促すための最後の言語活動。それは、
【話し合い】です。これまで、資料から様々な事象を【読み取り】、
それらの【再構成】を経て、【表現・説明】していくことを述べて
きました。その集大成として、これまでブラッシュアップしてきた
事象について皆で情報交流し合いながら、知識を深めていく活動が、
【話し合い】となります。

 例えば、6年生の歴史学習。戦国時代の単元における「まとめ」
の場面で、以下のような学習活動を行います。
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自分たちが戦国時代に生まれて、全国統一を目指すとします。
「どんなこと」を大切にして、全国統一していきますか。
”全国統一に大切なことベスト3”をまとめましょう。
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 子どもたちは、これまで読み取ってきた知識を総動員し、それら
をランク付けしながら、自身の考えを表現していきます。
 根拠を基に書かせるので、一人ひとりのランキング内容は多様で
す。自分が戦国大名ならというシミュレートも興味・関心を多いに
高めます。例えば、
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千葉さんの「全国統一に大切なことベスト3」

1)「鉄砲の使用」 → 戦いに勝つ事がまず大事
2)「仏教の弾圧」 → 民衆の反乱を抑える
3)「楽市・楽座」 → 経済を発展させる。
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等、それぞれに個性的な考えが完成します。「ランキング」の中に
ある箇条書き要素が、児童の思考をうまくまとめることにもつなが
っていくでしょう。
 しかし、ここで単にランキングするだけでいいのでしょうか?そ
れはあまりにも、もったいないと思います。
 
 ではどうするか?
 それぞれの意見を【話し合い】を通して、交流させます。そして、
自分にない新しい考えに触れる活動を通して、多様な知識に気づか
せていくのです。

 「誰の考えが一番、全国統一に近いか」を話し合う事で、たくさ
んの幅広い意見に触れ、さらに戦国時代についての理解を広げる事
ができるでしょう。
 「学級で一番有力だった意見」を絞り込む活動は、児童の思考の
さらなる掘り下げを促すことになるでしょう。
 このように、【話し合い】を行う事で、自分たちの得た知識を、
「広げ、深める」ことができるのです。

 もちろん【話し合い】は、上記のような単元をとおした大きな学
習過程の中だけで行うものではありません。日常の授業の中で、隣
同士ペアを作り、意見を交換するだけでも【話し合い】は成立しま
す。地道な活動こそが大切であると考えます。
 ポイントは、【話し合い】へ移行する前に、【読み取り】【再構
成】【表現・説明】などの言語活動の素地があることです。そのよ
うな場面を意図的・計画的に設定する事で、子どもたちの思考をよ
り広げ、そして深め、新たな知識を獲得させることができるのです。