よしーの世界

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朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論  橘玲

2022-03-17 08:55:14 | 
徹頭徹尾、キチンとしたデータ(公開済み)を元にした論理的な展開に大いに頷ける内容でした。以前

から不思議だったのは、最近若い世代に自民党を支持する人が多いことで、著者は「同一労働同一賃金」

「女性が活躍する社会」等、安倍政権でリベラルな政策を押し出し、それに対峙する旧民主党・民進党、

共産党が保守の安倍政権に先を越されたことの結果だと言う。疑問が一つ解消しました。


私も世界は保守化していると常々感じている一人ですが、著者によれば実は世界はリベラル化していて

昔に比べて、すでに保守自体が少数派に転じ、それが話題の中心になっているだけだと指摘する(勿論

具体的な事例を上げている)。そして問題は社会全体の高齢化により「リベラルの保守化」が顕著にな

ったことで、既得権益を手放さない人たちがマスコミの中枢に居座り、若い世代に見離されていると。


驚いたのは「正義とは快楽である」という現代脳科学による定義。道徳的な不正を働いた者をバッシン

グすることは、セックスと同じような快楽をもたらすということで、何と、道徳に反した者を罰すると、

それを見ただけでドーパミンが放出されるというのだ。ネトウヨが病理現象=正義依存症に陥るのと同

様。「反安倍」「反原発」で延々呪詛の言葉を書き連ねるのも、タレントの不倫糾弾する週刊誌も同類

だという。


本書ではリベラルな層が世界で富裕層に多く、「きれいごと」が氾濫し、「うさん臭さ」に変化してい

く。すでに高齢化し、リッチなリベラル層は既得権をがっちり手中にし、変化を望まない。これが多数

のリッチでない層の「リベラルぎらい」を増加させることに繋がる。少し難しい個所もありますが、政

治家をはじめ、沢山の人に是非読んでほしい良書である。


    朝日ぎらい   橘玲          朝日新聞出版
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