お帰りなさい。
義母の新盆が終わりました。
義父が亡くなってから、私の役目は毎年、きゅうりとナスで「精霊馬(しょうりょううま)」をつくる事です。
最初はただ泣きながらつくっていたけれど、やがて、お父さんが乗りやすいような形のきゅうりを選んだり、家に迷わずに帰ってこれるようにお豆で目をつけたり・・・。
「お父さん、今年の馬はどう? 目を大きくしてみたんだよ。」
いつしか、お父さんに話しかけながらつくるのが、楽しみになっていました。
「お父さん、今年はお母さんと一緒だから、二人で乗りやすいように大きなきゅうりを探してきたよ。早く帰ってきて。」
「お母さん、できるだけ長くいて欲しいから一番重いナスを選んだの。向こうに戻るときはこの牛でゆっくり戻って。たくさん話したいことがあるの。」
お父さん、お母さんのいつもの席に、みんなと同じ食事を用意しました。
みんなでたくさん話をしました。
送り火のときは少し辛かったけれど、お父さんも今年からはお母さんと一緒だから寂しくないよね。
また来年。
来年の夏は、もっと乗りやすい精霊馬つくるからね。
待ってる。