
戸隠地質化石博物館にて
先週の教室での勉強に引き続いて、今回は現地での学習となった。いや、今日ではなく昨日行ってきたのだ。昨日も雨が心配であったが、帰るころに少し雨がぱらついたぐらいで、暑くもなく学ぶにも歩くにもよい一日であった。
今回の講座は、戸隠山や飯縄山の生い立ちや化石などから歴史を学び――、いうなれば「古きをたずね、新しきを知る」2回にわたる教養講座。訪れた戸隠地質化石博物館では、実際の化石を見学しながら学芸員の先生からいろいろと教わる。
「約2千万年前は、戸隠周辺は海の中でした――」。なるほど! こんな貝や鯨などの化石を見れば納得。でも、あまりにも昔々のことゆえにぴんとこない。
館内に、こどもたちの声もする。小学生であろうか、学校で勉強に来ているのであろう。こうした博物館で体系的に学ぶことが一番理解しやすい。
昔を思い出す。中学校のころであったろうか、理科の実験室の戸棚にいくつかの化石があったように思うが、学んだという記憶があまりない。古きものにあまり興味がないこともあるが、遊び盛りのこどもにとって化石は「ただの石ころ」と同じであったのであろうか?
そのあと近くのお寺さんへより、「鬼女紅葉」の物語を聞く。謡曲にもなっているくらいだから、この辺鄙な「戸隠」と「鬼女紅葉」は、京の都で相当に有名であったのであろうと想像する。

説明を聞きながら園内を散策
最後に、戸隠森林植物園を尋ねる。この森林植物園には何回も来たことはあるが、気ままに鳥の声を聞き、植物を観て歩いただけであった。今回は植物の先生がご一緒だ。「先生、この花は?」とか、「この植物は?」と、歩きながら受講生からの質問が多かった。先生は、いちいち丁寧に答えていたが、専門家とはいえよくぞ知っているものだと感心する。

「あれは熊の食事した跡」
園内のところどころに水芭蕉を踏み荒らした跡が見つかった。先生は、「あれは水芭蕉の実を熊が食べた跡」だという。水芭蕉の実が好きなのだとか。「ここは熊の領域ですから、熊が出ても不思議ではない」とも言う。道理で、受講生仲間の何人かはリュックに熊除けの鈴をつけていた。
久しぶりに森林浴をし、森の空気を胸いっぱいに吸うことができた。たいへん気持ちがよい。講座で勉強することはよいことだが、たまにはリラックスして森を歩くのも悪くはないな――と主催者に感謝した一日であった。