

心地よい「音楽」にとっぷりと浸かってきた。妻とふたりで4時間近くも吹奏楽を聴いてきたのだ。しかも高校生の力強くて雄大な音楽である。
知り合いから「ぜひ行ってください」と入場券をいただいたのだ。某高校吹奏楽班の定期演奏会である。寡聞にして、このような定期演奏会があるとは知らなかった。券を見れば「第36回」とある。もうずいぶんと昔から開催していたのに、初めての演奏鑑賞であった。
某高校は私の母校でもある。当時から吹奏楽班が活躍していたのか記憶にない。管弦楽班はあったようにも思うが、記憶力減退のボケ老人には定かではない。50年以上も昔のことである。しかも当時、私は音楽に全く関心がなかったのだから、覚えていないのも無理はない。であるから、今回演奏した高校生は後輩になるが、自分の孫と同じ世代の若者たちである。
会場に入って、まずびっくりした。たかが高校生(失礼の段はお許しいただきたい)の演奏会であると思っていたのに、会場は超満員であったのだ。当然に中高校生も多かったが、老人たちも目立った。お隣の席にも、私らと同じぐらいの年代の老夫婦が座っていた。
演奏が始まってまたびっくりだ。高校生の演奏とは思えないすばらしい演奏であった。高校3年生であっても、入学してまだ2年ちょっとしか経っていない。それなのに――。ましては2年生、1年生のみなさんも混じっているのだから、これは驚きだ。ずいぶんと練習されたことだと感心しきりである。
演奏は、「交響曲「海」~3つの交響曲的スケッチより」「歌劇「ラ・ボエーム」より」など、ふだんあまり耳にしない曲を聴かせてもらった。もう感激の一語に尽きる。心まで揺さぶられるような感動を覚えたのだ。音楽って、これほど素晴らしかったのかと再認識させられたほどである。
演奏会の中では、オリジナルダンスを交えたり、唱を交えたりとずいぶん工夫された構成になっていて、少しも飽きさせなかった。終り頃に時計を見て「あれ、もう5時近くになるのだ!」と気づいたぐらいだ。
若者たちから、いっぱい、いっぱいの感動と生きる勇気をもらった。楽しい時間を過ごすことができたことを本当に感謝したい。
たかが高校生とはしたないことを口にしたが、「ひたむきに情熱を持って、自分の命を吹き込んで演奏する」人たちこそが「感動を与えられる人たち」であり、まったく年齢には関係がないと悟ったことであった。
すばらしかった演奏をありがとう! 感動を与えてくれてありがとう! 心豊かになり、さらに元気が湧いてきた。彼らに大きな拍手を贈りたい。そして、感謝!