京都中央信用金庫(中信)被害者の会

このブログは、京都中央信用金庫(中信)被害者の会を立ち上げるに当たり開きました。

大阪高裁13民判決のおかしさについて⑥-1 ~3-1 民事訴訟法228条4項の「署名」・「押印」についてのこれまでの理解が変わったのか?(その1)

2020年08月20日 16時45分30秒 | 日記

今回の記事では,「民事訴訟法228条4項の「署名」・「押印」についてのこれまでの理解が変わったのか?」ということについて説明します。

 

まず,大阪高裁13民判決は,

①「本件条件変更契約書1における同控訴人ら作成部分が同人らの自署によらないとしても,これは代筆にすぎないと認めるのが相当」(原判決45頁)
②「控訴人H及び控訴人Sの作成部分については,それぞれの署名部分は自署によるものではないが,名下にある印影が登録印章により顕出されたものであることは当事者間に争いがないから,反証のない限り,当該印影は両控訴人らの意思に基づいて顕出されたものと推定されるから,当該文書は真正に成立したものと推定されることになる(同法同条項)。」(原判決41頁)

と判断しています。

そして,民事訴訟法228条4項には,

「私文書は,本人又はその代理人の署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」

と規定されています。

ここにいう代理人は適正な代理人という意味であり,本人と同等ということが前提です。これが,この規定についての従来からの法解釈です。
しかし,本件では,中信からは「代理人」により押印されたとの主張も立証もされていませんので,「代理人」については除外して考えるべきです。

そして,変更契約書という書面に記入されたHさんとSさんの筆跡について,大阪高裁13民判決は,上記のように「代筆」と認定しました。さらに,民事訴訟法228条4項を適用しました。

この点,中信側は以下のように考えていました。

「甲17の「H」「S」と「M子」の字体は同一と考えられ,甲1,甲2,甲3,甲4,甲5のM子が自筆であることを認めている筆跡からも,M子の筆跡によると考えられ,M子が署名代行または代理したものと考えられる(原告準備書面15p3ア)。」(平成26年8月12日付被上告人中信準備書面(19)22頁)

まず,中信は,契約締結者が誰かについて,「考えられる」と言っていて可能性の推測を述べるに過ぎず,具体的な事実主張をしていません。少なくとも,甲17号証の変更契約書を含め全ての債権書類について(全ての訴訟で明らかとなっているように,すべて筆跡が偽造されていました。),中信側からは,代理権の立証はありません。(ⅰ)

また,甲17号証の変更契約書につき,HさんやSさんの自署ではないことに争いはありません。(ⅱ)

さらに,Hさんが押印していない旨,中信は主張していました。(ⅲ)

加えて,HさんやSさんとの契約締結をしたという経緯についても一切主張はしていませんでした。むしろ,中信は,M子と「考えられる」と中信は考えているようでした。また,本人に無断でなされた契約であることについて,中信職員のOさんの証言も存在します。(ⅳ)

このような状況ですので,本件で,代理人による契約締結かを問題とする必要性は全くないのです。つまり,代理人か否かの点から民事訴訟法228条4項による推定を問題とする前提を欠いているのです。

にもかかわらず,大阪高裁13民判決は,上記のとおり特段の理由を付け加えることなく「代筆」と認定しています。しかし,これは,単なる偽造です。

この「代筆」か偽造かどうかは,本件訴訟自体の判決に大きくかかわる争点です。

そして,適法な「代筆」と認定されるための必須条件は,代筆権限が立証されるということが大前提です。しかし,この点についての立証はされていません。なので,単なる偽造なのです。

(次回に続く)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿