旅慣れた二人のお気に入り

北から南から有名な場所を巡り 旅行した中でのすばらしき大きな感動を得られたお気に入りの場所です。

十界修行・魔除けの呪文

2010-02-15 13:32:27 | 日記



 出羽三山を霊場とする山岳信仰の中心地、羽黒山

 この地では、山中の堂に籠り、苦行と擬死再生を体験する十界修行が行われる
 峯入りはこの十界修行を入峯者個々の心身 階梯(かいてい)としてとらえ修行を重ねてゆく。

 十界修行という心身の階梯とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅(しゅら)・人間
 天・声聞(しょうもん)・縁覚(えんかく)・菩薩・如来(仏)をいう十界。

 地獄の行は 道場内の清掃や雑務がはじまり
、飢餓の行は 断食に入る。
 畜生の行は 修行は「苔の行」ともよばれ、手を洗うことも洗面も沐浴も許されない。
       体に苔が着いたように垢(あか)がたまるという。
 修羅の行は 人間の闘争心を現す山伏同士が相撲をとる。
 人道の行は なんらかの罪を犯してしか生きることが出来ない、
       人間にとって唯一の道であるという、懺悔をくり返す行。

 厳しい修行の実態は、真夜中、早朝と睡眠時間に関係のない起床と勤行
 さらに「南蛮いぶし」とよばれる試練、本尊の前で百回におよぶ「五体投地」の礼
 「固打木(こうちぎ)の作法」とよばれる呪術的な所作がある。

 魔除けの呪文

 山中でのさまざまな障害や危難に際しては、道教に源流をもつ九字護身法が駆使される
 ことも多い、山に入る時の魔除けの呪文で、修験道はこれを護身呪に発展させた、

 「臨 ・兵 ・闘 ・者 ・皆 ・陣 ・列 ・在 ・前」
 (りん・びょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)

 の九字を激しい気合いと、ともに唱える。

 修験道ではこの呪文の後半を「陳・列・在・前」と唱え、行者は人差し指と中指を
 立てる刀印(とういん)で真横・縦と交互に切りながら、気合いをかけるように
 この呪文をとなえる。

 とり憑かれたようにふらふら樹林の奥へ入って行く人や顔面蒼白のまま、全身を
 硬直させる人、山中で遭難した、まだ成仏できない人の霊が手を引くのだとも言うが
 なんでそうなるのか、誰にもわからない、こんな時にはベテランの山伏がその人の
 前に立ち九字を切ります。

 「ザンゲ、ザンゲ、六根清浄」の唱和をくり返す、
 六根は「眼・耳・鼻・舌・身・意」をいう
   (げん・に・び・ぜつ・しん)
 これは視覚能力・聴覚・嗅覚・味覚・触角・知覚と置きかえることが出来る。




修験道・柴燈護摩・千日回峰行

2010-02-15 11:16:54 | 日記
 寛治四年(1090)に白河上皇の熊野行幸の先達をつとめたことから、天台宗寺門派の
 増誉が、最初の熊野三山検校となったが寺門派による熊野修験支配のきっかけとなった。
 この増誉によって京都に聖護院(天台系)が創建され本山派修験が生まれ、
 順峯(じゅんぶ)コースの山駆けをした。

 一方真言密教で学び大峯修行で大蛇を退治したという、平安時代初期の僧聖宝
 「しょうほう・理源大師(狗留孫山本尊三人の一人である)」を派祖とする
 当山派修験は、吉野山から熊野へ向かう逆峯コースを奥駆けした。

 慣習上、本山派は(天台宗・京都聖護院が本山)採燈護摩
     当山派は(真言宗・醍醐三宝院が本山)柴燈護摩 の文字を用いる。
          この二つが主流です。

 柴燈護摩とは山伏修験の行者さんが大地に炉を作り、薪を組み上げ柴をたいて修する
       護摩法です。

 弘法大師の実弟・真雅(しんが)の弟子で弘法大師の孫弟子で醍醐寺を開創され
 𡧃多法王の勅命で修験のお山・大峰山を再興した聖宝・理源大師がはじめた
 醍醐派独自のお護摩です。

 護摩の導師を勤める事の出来る人は聖護院で修行し、伝法された人だけです。
 人体の骨の数を96本とみたて、井桁状に積み上げ焚き上げる。

 狗留孫山は真言宗・醍醐派・弘法大師(空海)・理源大師(聖宝)

 近世以降は多くの修験グループが逆峯コースで大峯山系を駆けている。

 写真は大オノを先頭に羽黒山の参道を行く一団、去年相棒と二人山形の旅で羽黒山に
 行って来ました、運よく修験者の方々と出会うことができました。

 古代から神の気配を山や森に感じ取ってきた日本人は、昔から山には神々が宿ると
 信じ、仏教が中国より伝えられると仏教と融和し、神道・儒教・道教・陰陽道等を
 も融合して、日本独自の神仏習合・権現信仰の色彩が強い、日本古来の山岳信仰が
 外来の宗教である密教・陰陽道等と集合融和し、ひとつの宗教として形成され
 主に「不動明王」「金剛蔵王権現」を本尊として祀る修験道が完成されてきた、
 今から約1300年前に誕生された役行者(神変大菩薩)を開祖と仰いでいる。

 修験道は山岳崇拝の精神を基とし、厳しい山々で修行し困苦を忍び、心身を修練し
 悟りを開いて仏果を得るという 出家・在家を問わない菩薩道、即身即仏を実修する
 日本古来の宗教です。

 修験道において、山岳は曼荼羅であり、諸尊・諸菩薩が居住する聖地とされ、故に
 霊験を信じ、仏の懐の中で修行を重ねることによって、超自然的な力を体得し、その
 法力によって衆生を済度する。
 呪術宗教的活動を行う山伏(修験者)の宗教が修験道です。

 比叡山(天台宗)千日回峰行

 天台宗の総本山である比叡山、最澄の孫弟子・相応によってはじめられた千日回峰行は
 千百余年の歴史を誇る、七年かけて山上、山下をめぐる過酷きわまりない単独の山林
 とそう行で「歩く禅」「礼拝行」ともいわれる生と死の修行システム
 生から死の直前まで生体を追い込み再び生還する行者にこそ託される利他行という
 菩薩行です。