ピットブルのハヤコ

ハヤコとかあさん

満足

2013-07-30 | かあさん

ハヤコが私の顔を、感情を一緒に押し付け舐める。

ケーキの箱舐めするかのように。

 

ハヤコは、一通り、私が「ストップ」というまで、私の顔を、狂った表情で舐めまわす。

 

ハヤコは、しばらくの我慢が解かれたようで、満足な、「いつも」の緩慢な顔をする。

 

それで、私は、一緒に、緩慢になった、    さっきの出来事だ。

 


低姿勢

2013-07-30 | かあさん

たぶん、今日もハヤコは、心苦しい姿でシゴトから帰った私を、出迎えてくれるのだろう。

出迎え?いやいや、うれしさ8割、2割逃げたい気持ちのはずだ。

そう、想像しながら、iphoneのカメラを起動させて「ただいま」と大きく声に出して帰る。

案の定、ハヤコはいつもに遅れて玄関に姿を現す、「おかえり」と「ごめん」を混ぜた空気を体に纏って。

ハヤコは、我慢が短くなっている、もう、嫌なのだ、手に異物を付けられることが。

ハヤコは、私がいなくなったら、とっとと傷に塗られた薬とガーゼ包帯をとる。

私は、もう諦めている、傷もだいぶん赤みが褪せてきて、ハヤコもガーゼがなければひどく舐めない。

お互いの「頃合い」なのかもしれない。

せめてもの、短い間だけでも薬を塗ってやる。

ハヤコも、せめて短い間だけ我慢している。

 

でも、ハヤコの恐怖は、まだ消え失せてない。

Img_0903

Img_0904


私を出迎えてくれる姿は、ここ数十日、常に低姿勢だ。

3日前、私は、ハヤコを咎めるのを止めた。

ハヤコをこれ以上追い込まないことを、自分に戒めた。

 

でも、まだ、ハヤコは、私に怒られる原因と状況を、恐怖に感じている。

 

       言葉に、苦しむ。

 


人間

2013-07-28 | かあさん

とうとう、口に、言葉に出してしまった。

「ハヤコが人間だったらいいのに。」

 

これを意味することを、たぶん、だれか、わかってくれる方が、いるのではないか。

 

我が家には、人間の子供がいない。

ハヤコを、度に、車で待たす。買い物、食事、連れまわす割に、待たせる。

人間世界では、仕方のないことだ、それくらいは分っている、だって、スーパーや百貨店に、盲導犬でもない犬が、入れる訳がない。

 

度に、ハヤコに言い聞かす、「お買いものだ、はちゃん、くるまでお留守番だ、お願いね、頼むよ。」

 

ハヤコは、我慢の慣れっ子だ。

たぶん、ハヤコは、我が家の誰より、「我慢」をたくさん、しているのではないかと、思う。

 

私は、空想的で予測的な、「だったら」の世界、あまり、好きでない、現実的でないからだ。

 

でも、ハヤコのことになると、心が弱く緩む。

「ハヤコが人間だったら、一緒にご飯が食べられるのに。」

「ハヤコが人間だったら、一緒に、買い物に行けるのに。」

 

終いには、お願いをしそうになる、ハヤコが、人間で一緒に、どこでも行けたら、いいのに、と。

Dsc_0697

 


どこ

2013-07-22 | ハヤコ

Img_0792

Img_0794

Img_0796

Img_0797

きょうね、とうさんとかあさんとさんぽにいったの。

アタシね、とうさんがいっしょでねうれしくってね、とうさんとはしったの。

かあさんはね、おそいの。

かあさんあとからくるんだ、とうさんとはしってたらね、ぷぷぷってくるまがなったの。

そしたらかあさんね、うしろから「はやとさんだっ、ハヤコっ」っていうの!

アタシね、さがしたの、「はやとさん」さがしたの、でもね、いなかったよ。

「はやとさん」どこにいたのかな、さがしたのに。

でてきてくれなかったよ、どこにいたのかな?

Img_0809
 

 


不機嫌

2013-07-21 | かあさん

とうさんが帰ってきた。

ハヤコととうさんを車で迎えに行く、その足でハヤコの病院へとまた向かった。

昨日、4回目の縫合から1週間が経ち先生に傷口を見てもらい、だいぶんくっついていて大丈夫ということでガーゼも当てなかった、そうはいえハヤコがベロリと舐めていたので家に帰ってガーゼをまいてやった。

しかし、ハヤコは私が昼寝をしている間に、また傷口を開いた、傷の内側に糸があって見えなかったのが、ピロっと1.5㎝ほど半開きの傷口から出ていた。

 

半開きの傷を先生は、これ以上は塞がず、肉を盛る薬をつけ包帯で巻いた。

しかたがない。

 

病院を出て、とうさんと昼ごはんを食べにお店へ入る、ハヤコはエンジンをかけたままのクーラーをきかせた車でお留守番。

その間、30分の間にハヤコはさっき巻いてもらった包帯を全部とり、半開きを全開にさせていた。

 

諦めていたとはいえ、私はハヤコを怒った、せめてもの半開きで済むかと思っていたのに!「なんなのこれは!?」

ハヤコは、ビビる。

そしてとうさんに縋る。

とうさんは、笑ってる、「ハヤ怒られた~、かあさんに怒られたね~」

 

 

実は、ハヤコは数日前3歳になっていた。

気を取り直して、ハヤコの誕生日ケーキを買いに行った。

夜、ごはん食べてからお祝いしようと、小さいイチゴのホールケーキ、ちゃんとロウソク3本と「はやこちゃんおたんじょうびおめでとう」メッセージ付きにしてもらった。

 

ところがそのケーキ、とうさんが落とした。

Img_0761

私は、びっくりする。

そして、今度はとうさんが怒られた。

「どうなってんだこのおやこは!!もう!!もう!!もう!!」

 

とうさんが怒られているのだが、ハヤコも怒られた気分になっている、とうさんとハヤコは寄り添って私の怒りが通り過ぎるのを待っていた。

Img_0766

夜を待つことなく、ハヤコと私とばあちゃんで、生ぬるいケーキを食べた。

Img_0771

Img_0781

Img_0786

ハヤコが大好きなケーキ、とうさんのおかげで箱舐めができた。

ハヤコととうさんが引き起こした私の不機嫌は、食べられたケーキと一緒に無くなっていった。

 


冷気

2013-07-17 | かあさん

Img_0756

ハヤコは今日も30分の散歩で帰ることに同意した。

「かえってもいいよ」、そう言う。

ハヤ号、スズキエブリーワゴンの後ろの荷台のドアを開け、ハヤコに言う、「乗って」。

ハヤコ、ひょい、ひょい、ひょいと車の一番後ろの荷台から一番前の助手席に渡り着き、真っ直ぐ向いて座る。

待っている、冷気が出てくるのを待っている。

私は少し呆れながら、エンジンをかけてやる。

 


真夏

2013-07-16 | かあさん

ハヤコが教えてくれる。

「真夏」が来たと。

 
Dsc_0614

誘った散歩も、「いくまぁかなー」。

ハヤコの広島弁を標準語にするとたぶん、「いかないでおこうかなー」、か、「いこうかなぁー、いかないかなぁー」。

 

散歩に誘ったが、今日は玄関のタイルで私を待っている、ただ休んでるのだか、行く気がないのだか。

 

「重い腰」を上げて、私の「うんどう」に付き合うハヤコ、30分で帰ると主張する。

 

私は、季節を実感した。

「真夏」が来ている。

 


うんどう

2013-07-15 | かあさん

私の「うんどう」は一応続いている、ただ、「反動」が出かけている、「飽き」だ。

だから、ちょっと息を抜いた、そしたら、どこまでも抜き続けそうな勢いだが・・・・・。

 

Img_0693

ばあちゃんを誘って、私の避暑地へと。

私は、ハヤコと「うんどう」として、ちょっと涼しい山間部で 私なりの早歩きをと、思い。

 

ばあちゃん、普段「足が痛い」と言って、歩かない、が、今日は騙されたようだろう。

ばあちゃんを誘いはしたが、実は、一緒に歩くと思ってもいなかった、1時間ほど、どこか涼しいところで待ってるだろうと思っていた。

が、「歩く」と言った。

 

私の早歩きでも普段の速度でもない、ハヤコの速度でもない、ばあちゃんのちょっと頑張った速度だ。

Img_0715_6

私の好きな吉和。

ばあちゃんの速度くらいでは、大して汗をかかない、空気がキレイで涼しいのだ。

 

一時間半、約2キロ半をゆったり歩いた。

これはこれで、いいものだ。

 


諦めの先の希望

2013-07-14 | かあさん

ハヤコが3回目の傷口の縫合、医療用接着剤&ホッチキスを私が寝ている間を狙って取り外してから、私は、すぐには病院に行かなかった。

もう、もう一回はない、でも、そう思いながら傷口を見ると瑞々している、ちょっと心揺らぐがどうせぱっくりした傷口をゆっくり塞ぐことしかないと、前に貰っておいた薬がある、それを丹念につけてやる、病院へは一日置いて、私がお休みの日に行こうと。

その間、ハヤコは私を諦めさせてくれていた。

 

ハヤコはなんと、傷保護のためにと買ったブーツまで、夜中、とうさんの部屋へわざわざ移動して、ブーツの主要部分を破壊し、傷を露わにして舐めまわしていた。 

Dsc_0575_3

Dsc_0578

Dsc_0594_3Dsc_0595

私は、怒らなかった。

このブーツまでわざわざ壊すハヤコの思いに、私は、諦めを感じた、「だめだこりゃ」。

 

私が憤慨した時は、ブーツが一日早く届いていれば違っていたのではないかと思い、ひどく悔やんだが、・・・ハヤコはその悔やみを諦めに換えてくれた。

仮にブーツが一日早く届いていても、ハヤコ、ヤッてただろう・・・、そう思わせてくれた。

私は、壊されたブーツを見て、諦めがついたのだ。

 

Dsc_0608

だけど、だけど、私の諦め加減は先生の診察範囲に入っておらず、神妙な顔つきで、もう一度縫合する方法を考えてくれ、先生、私の反応はどこまで見えているだろうか?ううんと小さく唸りながら、考えながら何か言っている。

どうやら、もう一度、縫合する、ホッチキスでなく、いつか溶ける糸で内側から縫っちゃうぞ、私にはそう、聞こえた、もう一度縫合してもらえるのではないかと。

私は、先生の本意を知りはしないが、「お願いします。」

 

急きょ、ハヤコは動物病院へ預けられ、鎮静剤で眠らされ、縫合してもらった。

 

私は、鬼になる、ハヤコが傷を開かないよう、鬼になるのだ!

 

ハヤコの傷、開いただけでなく、舐めたことによるのか、傷口が炎症で赤くボコリと盛り上がっている。

犬の「舐めて治す」とういう、私が小さいころから耳にして信じていたことは、ハヤコには、適応されていないのか、それとも、「舐めて治す」は、誤った知識なのか、よくわからん。

せっかく、4回閉じてもらったのだ、今度こそ、今度こそ。

 


安堵

2013-07-12 | かあさん

Img_0639

Img_0645

Img_0672

昨日の私の憤怒、ハヤコはどう処理していたのか。

それは、私がエラそげに「こうだ」と言えるわけがない、ハヤコの心内だ。

 

ハヤコは、私の帰りを、喜ぶ。

散歩も、行く。

一緒に遊ぶ。

 

頭がパーでないハヤコ、昨日のことはすっかり忘れてなかったことになってない、微妙に神経を使っていることが、分かる。

 

ハヤコと私は、それを感じていながらも、必要として近くで存在に安堵する。

そうして、時間が過ぎ、私とハヤコの時間が、つくられていくのだろう。