ハヤコが3回目の傷口の縫合、医療用接着剤&ホッチキスを私が寝ている間を狙って取り外してから、私は、すぐには病院に行かなかった。
もう、もう一回はない、でも、そう思いながら傷口を見ると瑞々している、ちょっと心揺らぐがどうせぱっくりした傷口をゆっくり塞ぐことしかないと、前に貰っておいた薬がある、それを丹念につけてやる、病院へは一日置いて、私がお休みの日に行こうと。
その間、ハヤコは私を諦めさせてくれていた。
ハヤコはなんと、傷保護のためにと買ったブーツまで、夜中、とうさんの部屋へわざわざ移動して、ブーツの主要部分を破壊し、傷を露わにして舐めまわしていた。
このブーツまでわざわざ壊すハヤコの思いに、私は、諦めを感じた、「だめだこりゃ」。
私が憤慨した時は、ブーツが一日早く届いていれば違っていたのではないかと思い、ひどく悔やんだが、・・・ハヤコはその悔やみを諦めに換えてくれた。
仮にブーツが一日早く届いていても、ハヤコ、ヤッてただろう・・・、そう思わせてくれた。
私は、壊されたブーツを見て、諦めがついたのだ。
だけど、だけど、私の諦め加減は先生の診察範囲に入っておらず、神妙な顔つきで、もう一度縫合する方法を考えてくれ、先生、私の反応はどこまで見えているだろうか?ううんと小さく唸りながら、考えながら何か言っている。
どうやら、もう一度、縫合する、ホッチキスでなく、いつか溶ける糸で内側から縫っちゃうぞ、私にはそう、聞こえた、もう一度縫合してもらえるのではないかと。
私は、先生の本意を知りはしないが、「お願いします。」
急きょ、ハヤコは動物病院へ預けられ、鎮静剤で眠らされ、縫合してもらった。
私は、鬼になる、ハヤコが傷を開かないよう、鬼になるのだ!
ハヤコの傷、開いただけでなく、舐めたことによるのか、傷口が炎症で赤くボコリと盛り上がっている。
犬の「舐めて治す」とういう、私が小さいころから耳にして信じていたことは、ハヤコには、適応されていないのか、それとも、「舐めて治す」は、誤った知識なのか、よくわからん。
せっかく、4回閉じてもらったのだ、今度こそ、今度こそ。