週末に本県に接近する恐れのある台風27号。多くの催しが予定されている季節だけに、イベントの中止が相次ぎ、担当者は対応に追われた。紅葉の盛りでかき 入れ時の県北の観光地は、台風の進路に気をもむ。県や市町も警戒を強め、住民の命を守る情報の発信などに万全を期した。
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26日開催予定だった「第19回宇都宮歩け歩け大会」は24日、実行委員会が中止を決断した。事務局は事前申込者約1200人のほか、関係機関などへの電話連絡に追われた。
大会は「雨天決行、荒天中止」を定め、中止は初めて。事務局は「昨年より申込者が多かっただけに残念。徴収した参加料500円の返還方法をどうするか」と頭を悩ます。
約10万人が訪れる那須塩原市の一大イベント「那須野巻狩まつり」。実行委員会は「雨が収まっても風が残るかもしれない」と26、27の両日の中止を決定した。中止は那須水害の年以来15年ぶりだ。
このほか「足利そば祭り」(26、27日)、「鹿沼ふれあいウォーク」(26日)など各地で催しが中止される。25日に最終判断される催しもある。
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奥日光は中禅寺湖畔が鮮やかに色づいている。中禅寺温泉旅館協同組合の岸野孝昭理事長は「10月はかき入れ時だが、悪天候が続き苦戦中。見ごろの週末は崩れないでほしい」と願う。紅葉前線については「気温が高く色は長く持ちそう。足を運んでほしい」と呼び掛けた。
那須町観光協会の星史会長は「週末は宿泊施設にキャンセルが出ている」と空が恨めしそう。本県に最接近した16日の台風26号では倒木による通行止めの混乱もあっただけに不安が募る。ただ「紅葉の色づきは鮮やか。何とか台風がそれてくれれば」と晴天を待ちわびている。
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県は23、24の両日、県内市町に対して、県などが出す土砂災害警戒情報を確実に受信し適切な対応を取るよう、電子メールと電話で徹底した。伊豆大島(東京都大島町)で情報のファクスが約6時間放置されたためだ。「当然のことだが、万全を期す」と説明する。