臨床の砦の続編。前回の第三波あたりから時期は少し遡って、日本でのCOVID19の発生から最初の緊急事態宣言までがメインのお話。手探りの中地域で唯一新型コロナの患者を受け入れることにした地方病院で葛藤奮闘する医師たちの物語。
「もっとも苦しいと感じたのは、医療崩壊が起きた第三波でも、デルタ株が猛威をふるった第五波でもない。正体不明のウィルスの恐怖に震えていた第一波であった事は疑いない」
「『今日は何人だって?』 "三十六人" 衝撃的な数値であった。」
この2つの登場人物の心情が、この物語の核でしょうか。ここ最近20万人を超える感染者でも、慣れたというか落ち着いたというか・・・まあ大変な状況ではあるけど、世間としてもあの頃ほどの危機感はない。ましてや先鋒に立った一部の医療関係者の方々は・・・有効な手立てもなく、周囲の助力も理解も期待できず、火鉢の焼き栗を拾わざるを得なかった状況ではやはり大変だった事は間違いない。感謝。
今だからこそ、俯瞰で見れるからこそ感じ入る強烈な人間ドラマが描かれています。何より物語のつむぎ方が相変わらず丁寧で、前作以上に心に響く作品に仕上がっているのではないかと。これを読むためには、主義主張は一旦外に置かなければいけない人も居るかも知れないけど・・・今この時期の物語なら多分外しやすいタイミングなので?そういう人にも読んでもらって、心に響いたら良いなとか思ったり・・・
非常に面白かったです。
前作感想↓
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