あなろぐ

ここは私の巣穴です。自閉症の息子のことや、好きな作品のことなどを書きます。
最近のハマリものはイ・ジュンギ。愛だぜ。

人間は動物である。ただし……

2008-08-17 22:54:11 | 読書メモ
「爆笑問題のニッポンの教養」シリーズの一つ、『人間は動物である。ただし……』(講談社新書)を読みました。

北海道大の山岸俊男教授とのコラボ本です。
爆笑問題っていう人たちのお笑いにおさまらない面白さは、どこまで行くのだろう。

山岸先生の話の中で一番心にひっかかったのは、
社会における「安心」と「信頼」の違いでしたね。

たとえば戦時中の日本における「隣組」なんかは、お互いを「信頼」する必要がまったくないという意味ではとても安心なシステム。
それは、9・11以後のアメリカで盗聴や監視カメラを容認する風潮にも通じるし、つきつめれば、J・オーウェルの『1984年』(ハヤカワ文庫)のビッグ・ブラザーの世界になるんでしょう。

おそろしいですね。
人間はやはり群れで生きる動物だから、互いへの信頼がない群れの中では、究極的には生きていけないと思われてなりません。
酸鼻な事件の加害者は、たいてい信頼を失って自他の関係を狂わせてしまったひとだと感じます。

この本の最後に大書された一言が、パンドラの箱の底に残った希望のようだと思いました。
「人間は動物である。ただし、信頼に賭ける動物である。」

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