茨城県中央部~北部一円でバス事業を展開する茨城交通(みちのりホールディングス傘下)は、2023年12月をめどに、「Visaのタッチ決済」やQRコード決済(PayPay、メルペイ、d払い、au PAY、LINE Payなど)を導入します。
http://www.ibako.co.jp/contents/newsrelease/2022/08/25095.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC027GM0S2A800C2000000/
同社は既にバスICカードシステムを導入していますが、2019年5月に同社に統合された旧日立電鉄交通サービスのエリア(主に日立市内)と、元からの茨城交通のエリアでは全く互換性のないシステムを導入している上、
・「でんてつハイカード」・・・旧日立電鉄交通サービスのエリアで導入。日本の交通系ICカードで一般的な「FeliCa」ではなく、よりコストの安い「MIFARE」ベースのシステム
・「いばっピ」・・・もとからの茨城交通のエリアで導入。「FeliCa」ベース
SuicaやPASMOなどの全国相互利用対象ICカードも使えないという状態が続いていました。全面的に全国相互利用対象ICカードを使えるようにするという選択肢もあったわけですが、コスト面などから採用せず、キャッシュレスな手段として「地元の日常的な利用客には割引制度のあるいばっピ、他地域からの利用客には(割引制度はないが汎用的な)Visaのタッチ決済やQRコード決済で対応」という二本立てにすることとしたようです。
ちなみに、日立電鉄交通サービスはかつて日立製作所傘下の企業で、それ故に同社が主導権を握る形で独自のシステム(注)を導入していましたが、2017年12月に日立製作所が保有する全株式をみちのりホールディングスが買い取り、その1年半後にエリアが隣接する茨城交通と統合する形となったものの、いったん構築したシステムは簡単には変更できないので複数方式の併存が続いていたものです。
(注)ICカード以外の独自システムとして「整理券」があります。旧日立電鉄交通サービスのエリアでは、「乗車時の整理券が一般的な紙製ではなくプラスチック製であり、使い捨てではなく利用者が運賃箱に投入後にバス会社側で再利用可能」となっています。但しそのプラスチック製整理券上には整理券番号は印字されない(整理券に組み込まれたICチップに書き込まれているのでシステム側では把握できている)ので、利用者は頭で覚えた上で前方の運賃表を見て運賃を準備する必要があります。導入は「でんてつハイカード」と同じ2007年であり、おそらくICカードシステムの統一とともに消え去るものと思われます・・・すでにプラスチック製整理券の劣化は相当進んでいますが・・・