ピアノを長年弾いてきて、
ここ一番というときに自分の持っているものを全部出せるというのは、
それもその人の能力だと思う。
ステージでミスタッチをせずに表現力を発揮するには、
どんな心構えが大事かというと、
練習で120%の事をやっておくということ。
それは今までの経験の中から実感したことだ。
私は教室で教えていた生徒さんが「発表会、緊張する」と言った時、
いつも「先生だってめっちゃドキドキするよ」と答えていた。
大勢の知らない人の前で演奏するなんて、
緊張もせず、ドキドキしない人はいないと思う。
その対策は”人という字を3回書いて飲み込む”というようなおまじないではなく、
自分自身が”あれだけ練習したんだから”と思えるという自信しかない。
ステージは一発勝負だ。
音楽はそれだからこそ瞬間に耀いて美しい。
一音弾くと、もうその音は過ぎ去ってまた次の音が奏でられる。
その繰り返しが一つづつ美しいから、音楽は人の心を打つのだと思う。
よくフィギュアスケートの浅田真央さんがインタビューで、
「ノーミスの演技」「パーフェクトな滑り」という言い方をしていたけれど、
それも音楽と全く同じ意味だったと思う。
そしてそれを言えるのは120%の練習があったから。
そんなパフォーマンスを発揮できるのは、
超プロであってもアマチュアであっても、
自信を持てるほどの訓練と練習しかない。
それは誰の目にも触れないところで地道に行うことであって、
みんな誰もがその努力なしには、音楽の高みには到達できない。
今朝、賛美歌のコードを付けていて、
「もっといいコードがあるんじゃないか?」
そう考えていたとき、それも私のパフォーマンスだな・・・と思った。
くぅ